エノコログサの食用
エノコログサの食用について
雑草としてのエノコログサについて解説してきましたが、実はエノコログサは食べられる雑草です。食べられる部位はふさふさの穂の部分で、穀物のように鈴なりに実った子穂を脱穀して食用にします。食べる物が少ない時代は、エノコログサのような雑草も貴重な食料源だったそうです。
ボタ爺
犬や猫も貴重な食物繊維を摂るためにエノコログサを食べることもあるぞ。
エノコログサはアワのご先祖
エノコログサを食用にできるのは、そもそもエノコログサが粟の先祖だからです。粟は五穀豊穣の『五穀』、米・麦・豆・粟・黍のひとつに数えられ、米と比べるとタンパク質や脂質が高くミネラルも豊富です。日本では米よりも早い段階で栽培がはじめられ、昭和初期までは一般家庭でも食用されていました。粟の栽培圃場にエノコログサが近くにいると交雑種が生まれることから、両種が非常に近い関係だとうかがえます。
エノコログサの食べ方
エノコログサの食べ方の手順
- 小穂の大きくなったエノコログサを選別
- 手で軽くこすったり、穂を叩いたりして脱穀する
- ふるいにかけたり、水に浮かせたりしてふさふさの毛をわける
- フライパンで香ばしい匂いがするまで炒める
食べ方の手順は上記のとおりです。おいしい食べ方のコツとしては、炒めた後に粉末にしたり煎じたりすることで風味を味わえます。このように正しい食べ方を押さえておけば、エノコログサからポップコーンのような香ばしい味がします。ただ、食感はさくさくしたものとは異なり、歯ごたえのある胡麻のような硬い感じですので、そのままの状態で食べるのはおすすめできません。
ボタニ子
昔の人は飢饉や干ばつで食べる物に頻繁に困っていたから、さまざまな植物の食べ方を知っていたんだろうね。
まとめ
遊びの道具としてのイメージの強いエノコログサが、実は食用にできる植物で、しかも粟のご先祖だったのは驚きですね。一部の雑草はエノコログサのように穀物のご先祖だったものがあり、「シコクビエ」のオヒシバや「トウジンビエ」のチカラシバ、「ヒエ」のノビエなどがあげられます。これらの雑草も、近年は豊富なミネラル分や低グルテンということで評価が高まってきているので、たかが雑草と思われることも少なくなるかもしれませんね。
出典:AC