ジューンベリーの育て方
ジューンベリーは日当たりのよいところ、または半日陰にむく庭木です。育て方はかんたんで、園芸初心者でも少ない手入れで花や実、紅葉がみられます。また、品種によって成樹時の樹高が異なるので、植え付け場所にあった品種を選びましょう。それでは、ジューンベリーの育て方を植え付け場所、方法、水と肥料の管理、剪定の順に紹介していきます。
植え付け場所
ジューンベリーは日当たりのよい場所を選びます。乾燥に弱いため、西日しかあたらない場所では生長があまりよくないです。また、枝がほどよくしなるので風の強い場所でも大丈夫ですが、植えてから2年ほどは台風対策のために頑丈な支柱が必要です。高さのある品種は竹など、高さのない低木タイプは園芸用の支柱でしっかり支えましょう。
植え付け方法
苗木の植え付けは12月~翌2月までの落葉している状態で行います。苗木よりも一回り大きい植穴を掘り、根鉢をくずさず高めに植え付け、土を8分目まで戻します。水をそそぎドロドロになった土壌で苗木を前後にゆすり、庭の土と根鉢を密着させる水ぎめ法で行います。最後に苗の周りに水鉢になる土手を作り、支柱になる竹や資材を用いて苗を固定、水鉢に水をそそぎ植え付け完了です。
1本立ちと株立ちの仕立て変更
ジューンベリーはひこばえ(別名ベーサルシュート:根元から出る新しい枝のこと)が出やすい果樹です。庭木は多くの場合、栄養分が分散するのを防ぐために不要な枝は地際で切ります。ジューンベリーの仕立ての変更をしたい場合は、剪定によりあとから一本立ちにすることも、ひこばえを育てて株立ちにすることも可能です。
場所を移植する
ジューンベリーは移植にも比較的強い庭木です。はじめに植えた場所があわなかったり、ガーデンプランが変更になったりしたときには、移植できます。移植の時期は、落葉期の冬に行うのがよいでしょう。移植先は、日当たりのよい場所を選んでください。
水やりと肥料の管理
庭への植え付けから半年ほどは、乾燥に注意して水やりを行います。地植えして数年がたち根付いたあとは水やり不要です。しかし、夏の降雨が極端に少なく葉が黄変したときには、水切れのため株もとにたっぷり水をやりましょう。肥料は実の収穫が終わって葉がしげる8月と、12月~2月の冬剪定の年2回、骨粉などのリン酸肥料を与えます。リン酸肥料は実付きをよくする効果があります。
剪定
冬は枝抜き剪定
冬の落葉期に枝抜き剪定をします。枝の先端に花芽をつくる特徴をもつジューンベリーは、枝先の刈り込みは避けます。冬剪定では、株の内側に向いている徒長枝やひこばえの剪定を行い大きな切り口には保護剤を塗ります。また、古枝は次第に実付きが悪くなるので、4年をめどに枝の更新をするとよいでしょう。
夏は樹高をおさえる剪定
樹高を低く整えたいときには、実の収穫直後に剪定を行います。6月初旬に、枝の先端を短く剪定し、夏以降の剪定は控えましょう。なぜなら、実の収穫が終わったあとから7月末にかけて、枝の中で翌年の花芽を形成する花芽分化を行うためです。花芽分化のあとに先端を切ってしまうと、翌年花や実が少なくなります。
ジューンベリーの病害虫
6月に実が熟すと、早朝からメジロやスズメ、ヒヨドリなどの小鳥が実を食べにやってきます。庭に小鳥が遊びにきてくれるのも嬉しいですが、実を楽しみにしているならば早めに収穫しましょう。また、病害虫に強い特徴をもつジューンベリーですが、よく見かける害虫や、なりやすい病気を以下にまとめました。
ジューンベリーにつく害虫
ジューンベリーには、ハマキムシ、アブラムシ、カイガラムシ、アメリカシロヒトリなどの毛虫が葉や幹につくことがあります。これらはそれほど大きな被害を出しません。最も注意が必要なのは、テッポウムシやコウモリガの幼虫による幹の食害です。幹が折れる、枯れるなど被害があります。
ジューンベリーがなりやすい病気
ジューンベリーは日当たりと風通しがよい環境で、ほどよく保水する土壌を好む庭木です。しかし、年によっては降雨が少なかったり、乾燥が続いたりして、うどん粉病が発生します。市販の抗菌剤が使えますが、うどん粉病によって枯れることはあまりないため、葉を取り除くなどして対処し様子を見ましょう。
まとめ
花や実、紅葉と季節によりさまざまな様子を見せてくれるジューンベリーは、夏の葉っぱも美しいです。透き通った薄緑色の葉が水をはじき、真夏の庭をさわやかに演出してくれます。果樹のわりに育て方がかんたんで、わずかな剪定で樹形が整いやすい庭木、ジューンベリーをシンボルツリーの候補にぜひ、いれてみてください。
ジューンベリー栽培カレンダー(関東を例にした場合) 出典:筆者作成