バラの系統の種類 ③モダンローズ(4種)
1867年にフランスのギョー氏が、中国の原種バラ「ロサ・キネンシス」とハイブリッド・パーペチュアルローズ系のオールドローズを交配して、「ラ・フランス」というバラを作り出しました。大輪で美しく株立ちで四季咲き、という画期的なバラの誕生です。
「ラ・フランス」以降のバラをモダンローズと呼ぶように
そこで「ラ・フランス」以前のバラをオールドローズ、これ以降をモダンローズと大きく区分して呼ぶようになりました。ここからはそのモダンローズの品種について一つずつご紹介します。
ハイブリッド・ティー(Hybrid Tea)
ハイブリッド・ティーの特徴は、何と言ってもその花姿の美しさです。枝に一つだけ花が咲く一輪咲で、花びらは外向きにカールした剣弁咲きになります。香りも豊かなので、切り花としてもよく見かけるバラです。枝も太くしっかりと直立するので、高貴な雰囲気を漂わせて、宮殿などのフォーマルな庭に似合うバラとして昔から人気がありますね。
フロリバンダ(Floribunda)
ハイブリッドティーと並んで人気が高いのがフロリバンダです。フロリバンダとは花束を意味する言葉で、中輪の花が房咲きするので、ハイブリッドティーに比べると柔らかい雰囲気があります。強い香りはありませんが、花持ちもよくコンパクトにまとまるので自然な感じの庭が演出できますね。
ミニチュア(Miniature)
ミニチュアのバラはミニバラという名前で園芸店でよく見かけます。名前の通り花も葉も小さくてとてもかわいいバラです。病気にも強い品種が多くて、絶えず返り咲きして初冬まで咲き続けるのでミニバラは人気があります。どちらかというと鉢植えが向いているかもしれませんね。あまり大きくならないので寄せ植えにも適しています。
クライミング(Climbing)
クライミングは原種ローズのロサ・ルキアエ(テリハノイバラ)から続くつるバラの系統種です。枝をつるのように伸ばしてどんどん成長するので、壁面やアーチに這わせると一面に花を咲かせて楽しむことができます。色も豊富にあり、大輪から小輪まで多くの種類があります。
イングリッシュ・ローズ(English Roses)
イングリッシュ・ローズはイギリスのデビッド・オースティンが生み出したバラです。オールドローズの優しい雰囲気を残したまま、モダンローズの四季咲きの特徴をあわせ持っているのが特徴です。つるバラになるものからコンパクトにまとまるものまであって、比較的病気にも強いので育てやすく、とても人気があるバラです。
バラの花形の種類一覧(5種)
カップ咲き
カップ咲きとは、花弁がふんわりと柔らかく、丸みを帯びて固まるような咲き方です。横から見るとカップのように見えるのでこの名前がついています。優しい雰囲気があって可愛らしいのでとても人気のある花形です。
ロゼット咲き
ロゼット咲きは、花弁が中心から外に向かって放射状に開く咲き方です。外側は大きく、内側に入るほど小さい花びらが幾重にも重なって、咲き開くにつれて花が一段と豪華さを増していきます。イングリッシュ・ローズにはこのロゼット咲きが多くみられます。
高芯咲き
高芯咲きとは、横から見ると中央が山のように高く見える咲き方で、ハイブリッドティー系のバラによく見られます。凛とした気高さを感じさせるので、貴婦人の名前がついているバラも多いですね。花弁が外向きにカーブして、まるで剣のようにとがって見えるものを剣弁高芯咲きと呼びます。
シングル咲き
シングル咲きは花弁が一重咲きのバラです。原種ローズはほとんどがこのシングル咲きで、シンプルで素朴な美しさがありますね。咲き開くまでの楽しみは少ないのですが、ナチュラルな雰囲気があって可愛らしい咲き方です。
ポンポン咲き
ポンポン咲きは、細かな花弁がぎっしり集まっていて、ダリアや菊に似たような咲き方です。ミニバラはほとんどポンポン咲きですね。房咲きになって愛らしい雰囲気があります。
バラの樹形の種類(5種)
ブッシュ型
ブッシュ樹形は、ハイブリッドティーやフロリパンダのように枝がしっかりしていて自立しているタイプです。風にも強いですが高さがあるものは支柱を添えると安心です。
クライミング型
クライミング樹形は枝を長く伸ばすつるバラの形です。一季咲きの品種が多いのですが、中には返り咲きするタイプもあります。壁面など広く覆って誘引したい場所に適しています。
スプレー型
スプレー型は株立ちですが枝か横張りに広がるタイプです。自由に枝を伸ばしてナチュラルな雰囲気になります。花壇などに適しています。
アーチ型
アーチ型は扇状に枝を広げて伸びるタイプです。つるバラと同じような形になりますが、つるバラほど枝が伸びないのが特徴です。壁面やアーチに向いています。
グランドカバー型
グランドカバー型は株が立ち上がらずに枝が横に伸びるタイプです。フェンスやオベリスクなどでコンパクトに仕立てたい場所に向いています。
バラの香りの種類(6種)
ダマスク系
ダマスクの香りは、バラの香水の原料としてよく使われていて、一番人気のあるバラの香りです。濃厚で華やかな甘い香りで、まさにバラらしい香りと言えるのではないでしょうか。
ミルラ系
ミルラの香りは、甘い中にスパイシーさがあり、スモークのような香りもします。神聖な気持ちになって心が落ち着くので、アロマセラピーなどに使われています。イングリッシュ・ローズに多い香りです。
ティー系
ティー系の香りは、名前の通り紅茶の香りです。午後のティータイムを連想させて、心がホッと和む感じがしますね。モダンローズや中国産のバラに、この香りの品種が多くあります。
フルーティー系
フルーティー系の香りは果物の香りです。ダマスク系とティー系が混合されてできた香りと言われていて、リンゴやレモンなど、様々なフルーツの甘い香りがします。
スパイシー系
スパイシー系の香りは、甘い中に香辛料のつんとする香りが混ざり合っています。シャープなイメージの香りと言えますね。
ブルー系
ブルー系の香りはさっぱりとした爽やかな香りで、清涼感があります。青色のバラの香りなのですが、もともと青色のバラは希少なので、バラとしては珍しい香りです。
バラの色と花言葉一覧
バラには様々な色があります。そして色別に花言葉もあるので一覧にしてみました。大切な人にバラを贈るときに、ぜひ参考にしてくださいね。
花の色 | 花言葉 |
赤色 | 情熱・熱烈な恋・愛情・あなたを愛しています |
白色 | 純潔・深い尊敬・私はあなたにふさわしい |
ピンク色 | 上品・感銘・暖かい心・美しい少女 |
黄色 | 友情・平和・嫉妬・愛の薄らぎ |
オレンジ色 | 無邪気・信頼・魅惑・絆 |
紫色 | 誇り・気品・尊敬 |
青色 | 奇跡・神の祝福・夢かなう |
まとめ
このようにバラには原種バラからミニバラまで数え切れないほど多くの品種があり、それぞれに特徴があります。こうして一覧にしてみると、自分の庭のバラがどこに属しているのか、まだ見たこともないバラがほかにどれだけあるのか、など、改めてバラの世界の奥深さに気づきますね。ぜひ今度バラ園などに行かれた時は、花の美しさだけでなく、そのバラの名前の札に書かれている学名を見て系統などにも注目してみてください。お気に入りのバラがまた新たに見つかるかもしれませんよ!
<エリザベス・テイラー>