チガヤとは?その生態と駆除方法を紹介!難防除雑草に有効な除草剤は?

チガヤとは?その生態と駆除方法を紹介!難防除雑草に有効な除草剤は?

根絶が難しいとされる雑草のひとつに「チガヤ」があります。日本では「万葉集」などにも詠まれ古くよりなじみのある植物ですが、現代ではその旺盛な繁殖力ゆえに嫌われ者となることが多いようです。この記事ではチガヤの生態や特徴をはじめ、効果的な駆除方法などをご紹介します。

記事の目次

  1. 1.チガヤの特徴や生態
  2. 2.チガヤの防除が困難な理由
  3. 3.チガヤの防除方法①除草剤
  4. 4.チガヤの防除方法②防草シート
  5. 5.食用としてのチガヤ
  6. 6.漢方としてのチガヤ
  7. 7.チガヤと古典
  8. 8.チガヤの花言葉
  9. 9.まとめ

チガヤの防除方法②防草シート

手っ取り早いのは防草シート

出典:写真AC

薬剤は極力使用したくないという場合はやはり防草シートを使うのが一番手っ取り早い方法です。ただし、チガヤのような強靭な雑草に対して織物素材や密度の低い不織布素材のシートを使うと芽が突き抜けることがあるので極力避け、繊維密度の高い製品を使うようにしましょう。

防草シートの正しい敷き方(動画の紹介)

防草シートを敷く前の注意点

シートを敷く前には必ずチガヤやその他の雑草を地下茎まですべて刈取ってからにします。※チガヤは長さ1cm・幅数ミリの根茎があれば再生します。シートはできるだけ5月の連休中か、遅くとも5月中には敷き終えるようにしましょう。近所にチガヤの群生地がある場合、チガヤの綿毛が飛来しますが、シーズン前にあらかじめ防草シートを敷くことで、飛来してきた綿毛(種)の発芽を抑えることができます。

食用としてのチガヤ

チガヤを食べることってできる?

チガヤはサトウキビの近縁種なので、地面近くでまだ葉鞘に包まれている若い花穂を噛むとほのかに甘味のある汁が出てきます。穂が葉鞘から完全に出る前の、すべすべの生まれたての赤子のような花穂を剥いて口に含んでみてはいかがでしょうか。(甘味は、ほのかなものです。)

食用には適さない

チガヤは若い穂の他に、根茎の新芽にも甘味があるといいます。しかし、食用として製品化されていないのをみると、手間暇かけて製品化するほどの魅力はないということなのでしょうね。ハーブとして親しまれているレモングラスのように、葉に爽やかな香りでもあればチガヤも違う活路を見いだせたと思いますが、こと「食べる」点では適さないようです。

ちまきの「ち」はチガヤの「チ」?

出典:写真AC

私たちが食べる「ちまき(糀)」といえば笹の葉でくるまれた和菓子をイメージしますが、平安時代にまで遡ると、笹ではなくチガヤの葉を巻いて食べるのが普通でした。なぜチガヤを用いたかというと、その時代におけるチガヤが「神聖」なもの、または「霊力」を持っているものと見なされていたからです。漢字に関しても現在の「粽」ではなく「茅巻き」の文字を当てていました。「茅巻き」の「ち」、一文字だけがかろうじて残った現代の「ちまき」は、それぞれの土地で様々な植物の葉で包まれ、時代とともに変化してきたようです。

漢方としてのチガヤ

食べることに関しては今までも、そしてこれからも大きな期待は持てそうにないチガヤですが、漢方では「利尿・止血・消炎」といった効能があります。薬用とする部分は根茎で、地上部が褐色に変わる晩秋に根茎を掘り上げ、細かいヒゲ根を取り除いたうえで陰干しにし、よく乾燥させて用います。

民間療法としてのチガヤ

漢方と同じように民間療法でも「利尿・むくみ・消炎」を目的として使用されます。

乾燥させた根茎10gを600㏄の水で火にかける
30分ほど時間をかけて約半量になるまで煮出す
煎じたものを一日3回に分けて飲むようにする

「食べることはできない」とはいえ、ここまで利用価値があるのなら十分ですよね。

チガヤの利用方法

さて、ここまで「駆除」だ「防除」だのとチガヤにとって風当たりの強い話をしてきましたが、万葉の昔から共にあった植物なのでこれからも末永く、良好な関係を築いていきたいものです。チガヤの生態を生かした様々な活用方法がすでに実現化されているので、ご紹介します。

土留としての利用

そのひとつが「土留」としての活用方法です。チガヤの地下茎をしっかり張り巡らし土を掴むという特徴を生かし、あぜ道や護岸のような傾斜した土地の土留として威力を発揮してもらおうというものです。実際に、今から30年以上も前に台風による被害で決壊してしまった小貝川(流域:栃木県、茨城県)の土手には、その後チガヤが植えられ今では見事に群生しています。

チガヤと古典

出典:写真AC

歌人にも愛されたチガヤ

2019年4月1日、平成に変わる新元号「令和」発表時に話題となった奈良時代の書物『万葉集』ですが、チガヤはじつに26首も詠まれているというから驚きます。他に『新古今和歌集』『日本書紀』『枕草子』『源氏物語』などの古典にも「茅(ちがや)」「浅茅(ちがや)」「茅花(つばな)」と名を変えて登場しています。日本人とチガヤがどれだけ密接に関わってきたのかをあらためて先達に教えられているような思いがします。

チガヤの花言葉

出典:写真AC

チガヤの花言葉は「子供の守護神」または「守護神」です。チガヤに花言葉なんて一見不釣り合いなようにも感じますが、これはチガヤのイメージにピッタリですね。生育環境次第では1m近くなるうえに綿毛で覆われた花穂をてっぺんに携えているのですから、これはもうどこからどう見ても子供の守護神だと言えるのではないでしょうか。「子供の守護神」、頼もしい限りです。

まとめ

出典:写真AC

チガヤの生態や効果的な防除・駆除方法、そしてチガヤと人との関わりについてご紹介しました。そのつき合いは意外に古く、密接だったことがおわかりいただけたと思います。もし今度の休日に河川敷を散歩することがあれば、風に揺れるチガヤの白い穂や、風に乗る綿毛を探してみてはいかがでしょうか?

cyokirator
ライター

cyokirator

時折思うんです。じつはこちらが植物に育てられているんじゃないかって……。

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