牧草としての利用方法
カモガヤはオーチャードグラスという牧草名で世界的に広く利用されています。食べる動物はウシやヒツジ、ウサギなどの草食動物だけでなく、ネコ用の餌にもなっています。ここでは、動物の餌としてのカモガヤの利用方法について詳しく紹介していきましょう。
飼料としての利用
カモガヤの利用方法は、地面に生えている状態を餌として与える放牧利用と、大きくなった状態を干し草にする採草利用の2つです。いずれも、土壌中の栄養価が低く、多量に水を与えられる灌漑設備がない場所にて栽培がおこなわれています。
カモガヤの放牧利用
カモガヤは野菜が栽培できないような痩せた土地でも育つことが可能です。また、何度食べられても強い再生力で復活するため、カモガヤを用いることで条件の悪い土地で畜産業を営むことができました。カモガヤは春から秋の長期間に放牧できるという使い勝手の良さから、世界的な牧草として利用されています。
カモガヤの採草利用
カモガヤは1年で3回の収穫が可能です。1回目を1番草といい、収穫時期は5月の出穂期になります。2回目以降は再生草といい、夏と秋に収穫をおこないます。餌にするためには、刈り取り後に蒸れないようかき回し、日光で乾かします。カモガヤの水分が15~20%になり、手で引っ張ってちぎれるかどうかの乾き具合になったところで、収穫機械によってロール状か直方体状に梱包します。
飼料特性
カモガヤ(オーチャードグラス)の飼料特性は栽培適地の広さと栄養価と収量のバランスの良いところです。九州あたりまで栽培可能で、人気の牧草オオアワガエリ(チモシー)と比較しても収穫回数は増えますが、収量や栄養価は遜色ありません。ただ、出穂期以降は木質化がはやく餌としておいしくなくなるので、適期の刈り取りが重要です。
チモシーとオーチャードグラス乾草の栄養価比較
1番草で比較すると筋肉をつくるタンパク質はオーチャードグラスが高めで、エネルギーになるでんぷん質(NFE)はチモシーが高いです。再生草で比較するとチモシーの方が総エネルギー量(TDN)は高いです。
牧草名 | CP組成(消化率) | NFE組成(消化率) | TDN | |
オーチャード1番草 | 出穂期 | 13.0(60%) | 41.9(63%) | 60.1 |
開花期 | 10.5(56%) | 41.9(58%) | 54.7 | |
チモシー1番草 | 出穂期 | 10.1(65%) | 43.2(74%) | 62.6 |
開花期 | 8.0(51%) | 47.8(58%) | 54.9 | |
オーチャード再生草 | 15.0(63%) | 38.1(59%) | 56.4 | |
チモシー再生草 | 9.8(60%) | 46.8(62%) | 59.9 |
※CP:粗タンパク質、NFE:可溶無窒素物、TDN:可消化養分総量
ボタニ子
次はカモガヤの栽培方法についてだよ。秋からの栽培がおすすめだよ。
出典:筆者撮影