カモガヤによる花粉症被害
カモガヤは2015年3月に国の外来種の扱いとして「産業管理外来種」という、産業的に重要な種であるものの必要以上に生息分布を拡げないよう指定をうけています。なぜ、ここまで注意しなければいけないのか解説していきます。
イネ科花粉症の原因
花粉症原因植物といえばスギを思い浮かべるでしょうが、イネ科植物の花粉もアレルギー症状の原因になります。この症状を「イネ科花粉症」といい、カモガヤ(オーチャードグラス)やオニウシノケグサ(トールフェスク)、オオアワガエリ(チモシー)といったイネ科牧草が主な原因植物です。
カモガヤは世界三大花粉症植物
カモガヤは、スギやブタクサとならぶ世界三大花粉症植物に数えられており、イギリス国民の20%以上が有病者となっているほどです。ヨーロッパ地域でイネ科花粉症が分布しているのは、肉牛や乳牛を放牧しながら飼育する生産者が多くおり、放牧用の牧草としてカモガヤがよく栽培されているためと考えられます。
ボタニ子
世界で初めて花粉症が認定されたのも、このカモガヤ由来のイネ科花粉症からだったんだよ。
イネ科花粉症の症状
イネ科花粉症の症状はくしゃみや鼻水、鼻づまりが中心ですが、スギ花粉症よりも目のかゆみや充血などアレルギー症状が強いです。また、直接触れることで手がかぶれたり喉がイガイガすることもあります。イネ科花粉症のピーク時期は夏のため、スギ花粉症と連続して発症しないよう、発病者は継続的な対策が必要です。
ボタ爺
スギ花粉症と併発する人もいるため、自らのアレルギー抗体検査をして対策するのが大事じゃぞ。
イネ科花粉症の対策
カモガヤの花粉アレルギー対策として、まずは開花時期に近寄らないことが有効です。イネ科植物の花粉は広範囲に飛散せず、半径10m範囲程度とされてます。そのため、カモガヤの穂を見つければ近寄らず、夏時期のジョギングコースなどの変更といった対策が有効です。
カモガヤの防除対策
カモガヤが庭など生活領域に自生している場合は、抜き取りなどの対策が必要です。雑草としての強靭さはそこまでないため、抜き取りや除草剤散布によって簡単に駆除できます。もっと簡単に対策する方法としては、春時期の茎葉部分の刈り取りです。出穂予定の茎が無くなってしまうため、開花することができなくなります。
ボタニ子
次はカモガヤの牧草としての特徴についてだよ。
出典:筆者撮影