カメムシとは
カメムシは春~秋にかけて発生する、臭いにおいを放つ昆虫です。寒い時期になると洗濯物にくっついていたり家の中に入ってきたりして、そのにおいに困る方も多いでしょう。また、農家にとってもカメムシは害虫です。農作物はカメムシにとって絶好の食べ物で、長細いストロー状の口を刺して中の汁を吸って傷つけます。種類も非常に多く、日本には100種類を超えるカメムシが生息しているといわれています。
カメムシの生態
カメムシの体長は5~25mmと種類によってさまざまで、色はほとんどが茶色か緑色です。中には肉食性のカメムシもいますが、ほとんどが草食性で植物の葉や茎、果実にストロー状の口を差し込み汁を吸って生活しています。
ライフサイクル
カメムシの寿命は1年~1年半です。春に卵からかえって次の年の春、または夏に産卵を終えてその生涯を閉じます。カメムシは春になると冬眠から目覚めて動き出し、7月頃までが繁殖期です。森林や草むら、畑などに生息し、夏になると活動は活発になります。秋は越冬のために暖かい場所を探す季節です。そして、冬になると集団で暖かい場所に集まって越冬します。
越冬場所
カメムシは冬になると集団で越冬します。越冬場所は落ち葉の下などの暖かい場所ですが、時には人家の中にまで侵入してきます。カーテンや押し入れの中などは、カメムシにとって絶好の越冬スポットです。また、家電の裏に隠れていることもあり、冷蔵庫や洗濯機を動かしてみると集団になったカメムシを発見するということもあります。
臭いにおい
カメムシと聞いて多くの人が「臭い」をイメージするでしょう。カメムシは外敵に襲われると、身を守るために強烈なにおいを発します。このにおいは水に溶けにくいため、洗濯物などにつくとなかなかとれません。また、毒性を含んでいるため、皮膚につくと炎症を起こす恐れがあります。
カメムシの天敵
強烈なにおいを放つカメムシですが、弱点となる天敵も存在します。カメムシを捕食する生き物、カメムシに寄生する生き物などその種類はさまざまです。
天敵①カメムシを捕食する生き物
カメムシの天敵には、捕食者としてカメムシを食べる生き物がいます。カメムシを捕食する主な生き物は、カマキリやクモ、アリ、鳥、トカゲです。しかし、カメムシが臭いにおいを放つことから好き好んで食べるわけではなく、空腹で食べ物がないときに仕方なく捕まえて食べます。人間と同じく、捕食者もカメムシのにおいに悩まされているようです。
天敵②卵への寄生虫
カメムシの成虫を食べるのではなく、カメムシの卵に自らの卵を産み付け、孵化するとカメムシの卵や幼生を食べて成長する生き物がいます。チャバネクロタマゴバチやカメムシタマゴトビコバチという寄生蜂です。これらはカメムシの卵や幼生を食べてしまうため、カメムシは繁殖できません。
天敵③卵を食べる生き物
カメムシの卵は、ほかの昆虫にとって格好の食べ物です。ゴミムシやアブの仲間はほかの昆虫の卵が大好物で、カメムシの卵も食べてくれます。寄生蜂やゴミムシのようにカメムシが卵や幼生のうちに対策してしまえば、においに悩まされることもなく安心して駆除できそうです。
天敵④人間
人間もカメムシにとっては天敵です。いくらカメムシが強烈なにおいを放つ害虫とはいえ、人間は知恵や道具をうまく使ってカメムシを駆除します。防虫剤や殺虫剤など、カメムシの弱点となる武器も使えるため、カメムシにとってみると人間は一番の天敵かもしれませんね。
カメムシの駆除方法
カメムシが家の中に入ってきてその場で対処しようとしても、うまくしないと臭いにおいをかけられてしまいます。そのため、事前に駆除方法をおさえ対策を立てておくことが重要です。
天敵の利用は難しい
カメムシの対策に天敵となる生き物を使うことは難しいのが現状です。カメムシを食べる生き物でも、カメムシを好んで食べる生き物はいません。また、卵に寄生する寄生蜂や、卵を食べ物としているゴミムシの利用方法はまだありません。そのため、カメムシ対策には人間の知恵と工夫が必要です。
殺虫剤
簡単かつ安全にカメムシを駆除できるのが殺虫剤です。瞬間的にカメムシを殺せるため、一家に1つあると安心できます。しかし、家の中で使用すると化学物質が飛び散る危険性があるので、なるべく屋外で使用しましょう。
熱湯や冷却剤
多くの昆虫の弱点とされているのが、急な温度変化です。熱湯や冷却剤をカメムシにかけると、急な温度変化で駆除できます。この方法だと、殺虫剤と違い化学物質は出ないので、家の中でも安心です。
ガムテープ
ガムテープにカメムシをくっつけて、そのまま包んでしまうのもカメムシ対策の1つです。まず、壁などにくっついているカメムシの背中にガムテープをつけます。次にそっとカメムシを壁から引きはがし、ガムテープでくるっと包んで閉じ込めてしまいます。ポイントは素早くやることと、ガムテープでカメムシを押しすぎないようにすることです。コツをつかめば意外と使える対策方法です。
ペットボトル
ペットボトルはカメムシ駆除の強力なアイテムです。まず、ペットボトルにカメムシの弱点となる洗剤などの液体を入れておきます。次にカメムシにペットボトルの口を押し付けて、中に落として捕獲します。捕獲したらすぐに蓋をして、においが出てこないようにしましょう。コツをつかめば素早く安全にカメムシを駆除できます。
カメムシの予防方法
カメムシの駆除方法は知っておいて損はないですが、やはりカメムシには遭遇したくないものです。日頃から対策を立てることで、カメムシへの遭遇を減らせます。
忌避剤
まずは、カメムシが家の中に入ってこないようにすることが大切です。忌避剤を家の壁や塀に散布することで、カメムシの侵入を防げます。洗濯物への被害を防ぐ場合は、物干し場にも忌避剤を散布しておきましょう。農作物への被害を防ぐためには、畑周辺にもく木酢液などを散布するのがおすすめです。
防虫ネット
ベランダからの侵入や家庭菜園への被害を減らすには、防虫ネットがおすすめです。網目の小さいものを使用すると効果を発揮します。また、忌避剤と組み合わせるとさらに効き目がアップします。
雑草や落ち葉の掃除
カメムシが生息する場所を減らすことも、カメムシ対策の1つです。カメムシは寒くなると落ち葉の下などに隠れるため、家周辺の落ち葉を掃除することでカメムシを減らせます。また、産卵場所となる雑草を刈りとっておくと、家の近くでカメムシが孵化するのを防げます。
ミントを植える
ミントなどのハーブの香りはカメムシの弱点とされています。そのため、家の中でミントを栽培すると、カメムシ対策に非常に効果的です。また、ハッカ油を使って作れるミントスプレーは、カメムシ以外の虫にも効果があるためおすすめです。
主なカメムシの種類
日本には100種類以上のカメムシが生息するといわれています。体長や色など、種類によってさまざまです。
①クサギカメムシ
クサギカメムシはよく見かけるカメムシで、黒褐色の体に黄色い斑点があるのが特徴です。モモやミカン、マメ科の植物に被害を与えます。冬には寒さを凌ぐために家の中に侵入し、問題となっています。
②マルカメムシ
マルカメムシは体長が5mmほどで、丸い体が特徴の小さなカメムシです。よく洗濯物にくっついている丸い虫は、このマルカメムシです。川の堤防や空き地に多く生息しているため、都市近郊でよく見られます。マメ科の植物に卵を産み付けるので、マメ科を栽培している人は注意しましょう。
③アオクサカメムシ
アオクサカメムシは夏になると野菜や稲、果物に被害を与えるカメムシです。体は一般的に緑色をしていますが、黄色や茶色の個体も存在します。夜に明かりを求めて、コンビニエンスストアのガラスに張り付いていることがあります。
まとめ
臭いにおいで私たちを困らせるカメムシには、天敵も存在します。しかし、成虫となったカメムシを好んで食べる生き物はいないため、天敵を利用してカメムシを駆除することは難しいのが現状です。カメムシの対策は、日頃から出会わないようにすることが大切です。もし、家の中への侵入を許してしまったら、落ち着いて冷静に対処しましょう。