バラをじゃがいもに挿すってどういうこと?
庭植えや鉢植えのバラの花は、基本的には挿し木で増やせますが、切り花の場合は難しいとされています。理由は「切り花は根がない状態で長い時間過ごすため、栄養保持ができない」からです。栄養がない枝を挿し木しても、なかなかうまく成長しません。そこでおすすめなのが「バラをじゃがいもに挿す」方法です。
バラをじゃがいもに挿す目的
バラを挿し木する際にじゃがいもにバラの茎を挿す理由は「効率よく栄養補給できるから」です。じゃがいもには、植物の成長に必要な「デンプン」や「カリウム」が豊富に含まれています。栄養を失った状態の切り花のバラを栄養豊富なじゃがいもに挿すことで、必要な栄養を集中的にバラに与えられるわけです。
バラを挿し木で育てる方法【準備】
バラの挿し木を成功させるためには、きちんと準備することが重要です。
育て方①道具をそろえる
必要な道具
- バラの茎
- じゃがいも(あまり大きくないもの)
- 植木鉢
- 土
- ペットボトル
- カッターナイフやハサミ(消毒済みのもの)
- ドライバーやキリ(消毒済みのもの)
道具選びのポイント
バラはお好みのものを選びましょう。じゃがいもの種類は何でもよいですが、小ぶりなものが植えやすいです。植木鉢は4~5号鉢ほどの大きさのものを選んでください。土は市販のバラ用の土か、赤玉土7:バーミキュライト2:ピートモス2の割合で混ぜて準備しましょう。ペットボトルは0.5L~1.5Lの容量のものが使いやすいです。
育て方②挿し穂を作る
バラの挿し穂に向いているのは、茎の真ん中から下あたりの太い部分です。枝から、花や葉を全て切り落とし、茎だけの状態にします。10cmほどの長さにカットし、土に挿すほうの茎の先端を斜めにカッターナイフで切り落としましょう。上下が分からなくならないように注意してください。これで挿し穂の完成です。
葉は全て切り落とさなくてはいけませんか?
茎の上の部分に2~3枚残す程度なら構いません。ただし、葉を多く残しすぎると葉から栄養に必要な水分が蒸発しやすくなり、枯れる危険性が高まるため注意しましょう。花やつぼみは栄養を吸収してしまうので、必ず切り落としてください。
育て方③じゃがいもに穴をあける
じゃがいもの真ん中に、バラの茎を挿すための穴を空けます。消毒済みのドライバーやキリなどを、じゃがいもの中心部まで差し込みましょう。貫通させないように注意してください。バラの茎がちょうど挿せる幅の穴になるように調整しましょう。
育て方④バラをじゃがいもに挿す
穴を空けたじゃがいもに、用意したバラの挿し穂を挿しましょう。茎には花も葉もない状態なので、上下を間違わないように注意してください。多少ぐらついていても構いませんが、できる限りしっかりと挿しましょう。
バラを挿し木で育てる方法【植え付け・管理方法】
育て方⑤植え付ける
植木鉢に6cm~7cmほど土を入れ、バラを挿したじゃがいもを置きます。じゃがいもが完全に埋まるように、上から土を入れましょう。土はまんぱんに入れる必要はありません。全体の6~7割ほどで十分です。
育て方⑥ミニ温室を作る
バラの好む環境づくりのために、ペットボトルでミニ温室を作ります。ペットボトルの底部分を切り落としましょう。フタを外し、植え付けたバラの茎に上から被せるようにして置いたら完成です。
育て方⑦水やり
バラが発根するまでは、乾燥しないように気をつけながら水やりしてください。ペットボトルの内部ではなく、外側に水をかけましょう。発根したら、ほかの植物への水やりの仕方と同様に、土表面が乾いたタイミングでたっぷりと水やりしてください。
バラを挿し木で育てる際の注意点
挿し木する時期
切り花のバラは、温室栽培のおかげで一年中手に入りますが、バラの挿し木を失敗させないためには時期を選ぶことが大切です。一般的なバラの挿し木と同様に、寒すぎず暑すぎない5月~7月か9月~11月に挿し木しましょう。
管理場所
発根するまで
挿し木中のバラは、一日中日が当たらない暖かな明るい日陰を好みます。雨の当たらない軒下や、ベランダ、玄関ポーチの下などで管理しましょう。西日や直射日光に弱いので注意が必要です。暑すぎると枯れる原因になるため、夏場は風通しのよい場所に移動させるなど、特に気を配ってください。
発根後安定した後
発根し葉が茂り、株の状態が落ち着いてきたタイミングで、日当たりのよい場所に移動させましょう。ただし、強い西日や夏の直射日光には弱いため、午前中だけ日が当たる風通しのよい場所が向いています。雨水に当たるのも苦手なので、その日の天気の状態によって置き場所を変えることをおすすめします。
雑菌予防
挿し穂の状態のバラは、とてもデリケートです。使用する道具は全て清潔にしておきましょう。特に切り口から雑菌が入る可能性が高いため、バラをカットするカッターやハサミ、じゃがいもに穴を空ける道具は、アルコール除菌か熱湯消毒を済ませてから使用してください。
バラの品種に注意
植物を育てるうえで知っておきたいのが「種苗法」です。植物の新品種を作ることに対して保護を定めた日本独自の法律です。バラの場合、すでに品種登録されている苗を、個人で挿し木で増やし販売または譲渡することが禁止されています。個人で楽しむ分には大きな問題になりませんが、販売や譲渡すると法に触れる可能性があるため注意しましょう。
種苗法(しゅびょうほう、平成10年法律第83号)は、植物の新品種の創作に対する保護を定めた日本の法律。1998年5月29日に公布された。植物の新たな品種(花や農産物等)の創作をした者は、その新品種を登録することで、植物の新品種を育成する権利(育成者権)を占有することができる旨が定められている。
バラの挿し木後の経過と様子
1週間~2週間
もともとのバラの状態にもよりますが、挿し木して1週間~2週間経過すると新芽が出ます。特に手入れ方法を変える必要はありませんが、まだ発根していない状態なので、乾燥に気をつけて水やりを続けましょう。ミニ温室は継続して使用してください。
1カ月後
バラを挿し木して1カ月経過する頃、ようやく発根し始めます。発根したかどうか確認したい場合は、さらに10日ほど待ってからそっと引き抜いて確認してください。ただし、通常の挿し木と違ってじゃがいもに挿しているため、無理に引き抜くと根がちぎれる可能性があるため注意しましょう。
挿し穂を引き抜かずに発根を確認する方法はありますか?
バラを挿し木して発根するまで、最低でも1カ月かかります。バラの種類や状態によっては、もっと時間がかかる場合もあります。挿し木して2カ月頃まで様子をみましょう。茎や葉に元気がなく枯れているようであれば、発根失敗の可能性が高いです。
3カ月後
バラを挿し木して3カ月経過する頃には、葉が成長し始めます。葉の成長は根付いていることの証です。葉が茂り始めたら、水やりは土表面が乾いたら与える程度で問題ありません。あまり水を与え過ぎると根腐れする可能性もあるため注意しましょう。ミニ温室に収まらなくなったタイミングで、ペットボトルを外してください。
半年後
もともとのバラの種類や状態にもよりますが、半年ほどで安定します。種類によっては、この時点でつぼみをつけるものもあります。成長を促すため、午前中だけ日の当たる風通しのよい場所で管理しましょう。
バラをじゃがいもに挿して育ててみよう!
プレゼントなどできれいなバラの花束をもらったとき、「もっと長く楽しめたらよいのに」と思った経験のある人は多いのではないでしょうか。切り花のバラでも、じゃがいもを使うことで挿し木の成功率が高まります。きれいなバラの花が手に入ったら、ぜひじゃがいもを使って挿し木にチャレンジしてみてくださいね。