コナカイガラムシによる作物への被害
①果物類
ミカンやカキなどの果物類はさまざまな害虫の被害にあいますが、気温が高く風通しの悪い条件下ではコナカイガラムシ類の被害が拡大します。葉や果実が重なり合った箇所に隠れており、気づかないうちに大量発生していることが多いです。吸汁された箇所は、茶色や黒色に変色し、光合成が抑制されたり見た目を大きく損ねたりします。
コナカイガラムシが発生しやすい果物類
特にコナカイガラムシの被害にあいやすいのはナシやリンゴ、ブドウ、カキなどです。葉が茂っていたり果物に袋をかけたりするなど風通しが悪い環境で発生しやすくなります。被害にあうと果物の外観が悪くなるだけでなく、発生密度が高まると根に寄生をはじめ樹勢を弱らせます。また、果物の種類によって寄生される場所が異なるので注意してください。
②庭木類
コナカイガラムシは花木にも発生し、観賞用の庭木や生垣、街路樹の樹液を吸い甘いフンによって葉を黒く汚します。また、購入した苗木の土の中に生息している場合があり、後の被害発生原因につながるため、購入直後は寄生されていないか注意が必要です。長期間被害にあうと樹が弱り新芽の発生がなくなるなど、生育への影響が発生します。
コナカイガラムシが発生しやすい庭木類
科目 | 種名 | 寄生部位 |
アオイ科 | ハイビスカス | 枝・葉・根 |
ウコギ科 | ヤツデ | 葉・葉柄 |
ムクロジ科 | モミジ | 枝・幹 |
ツツジ科 | ツツジ | 葉・枝・幹 |
モッコク科 | サカキ、ヒサカキ | 枝・幹 |
バラ科 | カナメモチ、サクラ | 枝・幹 |
マツ科 | マツ | 葉 |
ヤシ科 | ヤシ | 葉・花梗 |
マメ科 | フジ | 枝・幹 |
ソテツ科 | ソテツ | 葉 |
ボタニ子
ここで紹介していない庭木類も、コナカイガラムシ以外のカイガラムシ被害を受けることはあるから、葉が汚れていたら注意が必要だよ。
③観葉植物
観葉植物はベランダや室内で栽培していてもコナカイガラムシの被害にあいます。コナカイガラムシはほとんど動かないイメージがありますが、幼虫や卵は非常に小さく、風に飛ばされたコナカイガラムシが服について、家の中へ侵入することがあります。綿のような白いゴミが観葉植物につくと、次第に表面がべた付くため早めに対処しましょう。
コナカイガラムシが発生しやすい観葉植物
科目 | 種名 | 寄生部位 |
サボテン科など | 多肉植物 | 葉・幹 |
ツリフネソウ科 | ホウセンカ | 葉の付け目 茎の分かれ目 |
ユリ科 | ユリ | 茎 |
ラン科 | ラン、カトレア | 葉 |
キジカクシ科 | ドラセナ | 新芽・葉 |
イソマツ科 | スターチス | 葉・幹 |
スベリヒユ科 | ハナスベリヒユ | 葉・茎 |
フクロソウ科 | ベラルゴニウム | 葉・茎 |
キヅタ科 | アイビー | 葉・枝 |
チャンセンシダ科 | オオタニワタリ | 葉・幹 |
トウダイグサ科 | ポインセチア、クロトン | 葉・枝・幹 |
ベンケイソウ科 | カネノナルキ、カランコエ | 葉・枝・幹 |
クワ科 | ゴムノキ | 葉・茎 |
サトイモ科 | ディフェンバキア | 葉・茎 |
出典:筆者作成資料
引用:カイガラムシ(農文協)