コナカイガラムシの駆除方法
①手で捕る・つぶす
コナカイガラムシは発見のたびに手で取り除いたり、ハブラシなどで潰したりすることで対策できます。1匹のコナカイガラムシは数百の卵を産むため、1匹の駆除が将来の発生数削減につながります。ふ化幼虫は1mmと肉眼ではわからないぐらい大きさですが、2~3mmの大きさになると若い芽や葉柄、剪定した切り口に集まってくるため、慣れれば見つけることは簡単です。
ボタ爺
②農薬散布
農薬散布によってコナカイガラムシを駆除できます。しかし、コナカイガラムシの幼虫と成虫はロウ物質で身体を守っているため水をはじき薬剤が効きません。卵も綿状のロウ物質で守られており、同様です。そのため、卵から産まれてロウ物質に覆われるまでのわずかな期間を狙う必要があります。
コナカイガラムシの防除適期はふ化後10日
コナカイガラムシは春~夏の時期にふ化します。幼虫が卵から出てきた日から数えて10日後に農薬散布すると、効果的に幼虫の数が減らせます。剪定切り口に幼虫がいるのを何度も発見するときは、最初の散布に加えてさらに1週間後にも2回目を散布するとよいでしょう。
コナカイガラムシに効果のある薬剤の種類
薬剤の種類 | 効果の速さ | 天敵への影響 | 持続性 | 農薬名 |
有機リン剤 | 即効的 | 影響大 | 短い | スミチオン乳剤、スプラサイド水和剤 ダーズバン水和剤、DDVP乳剤 |
カーバメート剤 | 即効的 | 影響大 | 短い | デナポン水和剤 |
ネオニコチノイド剤 | 即効的 | 影響中 | 長い | モスピラン水和剤、アクタラ顆粒水溶剤 スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤 ダントツ水溶剤 |
脱皮阻害剤 | 遅い | 影響小 | やや短い | アプロード剤 |
マシン油 | 即効的 | 影響小 | 短い | 機械油乳剤、ハーベストオイル ラビサンスプレー |
農薬の特徴
- 有機リン・カーバメート系は即効性の殺虫剤。幅広い害虫に効果がある
- ネオニコチノイド系は直接接触した害虫だけでなく、有効成分を吸収した植物の汁からも作用する
- 脱皮阻害剤は効果が現れるまでに時間がかかるが、カイガラムシにだけ効果あるため天敵にやさしい
- マシン油は気管をふさぎ物理的に殺虫する。環境にやさしいが、果実にかかると美観を損ねる
③天敵を活用する
農薬を使ってコナカイガラムシを駆除する場合は、天敵を活用することも忘れてはいけません。即効性も高く、さまざまな昆虫を駆除する殺虫剤を用いれば一時的な被害を抑えられますが、コナカイガラムシを捕食する有益な昆虫まで減ってしまいます。そのため、なるべく天敵に影響がない薬剤を選択して、最低限の散布範囲にとどめて天敵にも活躍してもらうことが重要です。
コナカイガラムシの作物ごとの予防方法
①果物類の予防方法
コナカイガラムシはナシやブドウ、カキで多く発生します。春になると枝の断面を中心にコナカイガラムシが現れるため、発見のたびに潰して回るのがよい方法です。果物栽培ではコナカイガラムシがだらだらとふ化を繰り返すことが多いことから、農薬散布回数は1回だけでなく2回以上おこなうと効果的です。また、収穫のない冬期にマシン油を散布すると越冬中の個体を減らせます。
おすすめ農薬【アルバリン顆粒水和剤】
アルバリン顆粒水和剤
参考価格: 3,701円
果物栽培で問題となるコナカイガラムシを春時期に防除するときは、ネオニコチノイド系農薬のアルバリン顆粒水溶剤の使用がおすすめです。アルバリン顆粒水和剤はネオニコチノイド系の農薬のため、幅広い害虫に効果があるだけでなく効果が1カ月と長く持続します。また、普通農薬のため手に入りやすいのも特徴です。
有効成分 | ジノテフラン |
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容量 | 100~500g |
適用品目 | かんきつ、なし、りんご、ぶどう、かき |
使用回数 | 3回 |
アルバリン顆粒水溶剤の使い方
アルバリン顆粒水和剤で防除するときは目を保護した状態で希釈液をつくり、樹体にまんべんなく散布できるよう噴霧口が霧のようになった散布機を使用してください。薬剤が植物に吸収されることで、吸汁した昆虫にも効果があるため、枝や葉裏など隠れている場所を狙いましょう。
アルバリン顆粒水溶剤の面積ごとの散布量
アルバリン顆粒水和剤は2000倍希釈のため、下の表を参考に散布量を決めてください。
50㎡(15坪) | 100㎡(30坪) | 500㎡(151坪) | 1000㎡(303坪) | |
薬剤量 | 5~17.5g | 10~35g | 50~175g | 100~350g |
希釈水量 | 10~35L | 20~70L | 100~350L | 200~700L |
②庭木類の予防方法
庭木のコナカイガラムシは、防除時期のずれによって農薬が効かなくなるなどの問題は少ないです。幼虫発生時期にあわせて適用のある農薬を使用していれば、コナカイガラムシの密度を抑えられます。フマキラーから発売されているカダンKであれば、殺虫成分の薬剤とマシン油が含まれているため、春夏の幼虫と秋冬の成虫も駆除できます。
おすすめ農薬【カダンK】
カダンK
参考価格: 896円
カダンKはマサキ、ゲッケイジュ、マツ、つばき類、スギ、もっこく、ツゲ、ツツジ類、モクセイ、サンゴジュ、モチノキ、アオキと落葉性の庭木類に使用できます。予防効果はないため、カイガラムシに向けて50cmほど離れた場所から1~2秒間ずつ数回噴射してください。
有効成分 | マシン油・アスレリン |
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容量 | 450mL |
③観葉植物の予防方法
ベランダや室内の観葉植物でコナカイガラムシを発見したら、早期に取り除きましょう。爪楊枝やハブラシを使って植物を傷つけないようにコナカイガラムシだけをすくい落とします。流水で洗い落とすことも効果的ですが、根に隠れていることがあるため継続的な観察が必要です。
おすすめ農薬【カイガラムシエアゾール】
カイガラムシエアゾール
参考価格: 777円
カイガラムシエアゾールは適用範囲が非常に広く、庭木や観葉植物全般に対して使用できます。有効成分には浸透移行性のネオニコチノイド系が含まれており、1カ月間は殺虫効果が持続するため散布後に発生したコナカイガラムシも駆除できます。害虫が発生している箇所に向かって30cmほど離れた位置から数回噴射して使用してください。
有効成分 | クロチアニジン・フェンブロバトリン |
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容量 | 480mL |
工夫をしてコナカイガラムシを抑えよう
コナカイガラムシは庭木や観葉植物では発見したときに素早く殺虫剤を使えば駆除が簡単にできますが、果物栽培では農薬だけではどうしても完全に抑えることはできません。発生初期に最低限の農薬を使ったり、天敵を駆除しないよう冬にマシン油を散布したりして、農園のなかで自然界のバランスを保つことが重要です。そのためにも、日ごろから植物の観察を続け日々の変化に気づくようになりましょう。
観葉植物のコナカイガラムシの被害が少なければティッシュなどでふき取るのもよいぞ。ただ、強くこすって植物を傷つけないように注意するのだ。