大賀ハスとは
大賀ハスとは、古代のハスの実を発芽させ開発した植物です。大賀ハスの起源は縄文時代にまでさかのぼり、発見当初は世界最古の花として、日本はもちろん海外でも大きな反響を受けました。数少なかった大賀ハスですが、分根によって増やされ、今では国内および海外の150カ所以上の地域で栽培されています。
大賀ハスの実が発見されるまで
古代ハスとも呼ばれる大賀ハスは、1951年に千葉県の東京大学検見川総合運動場内の落合遺跡で発見されました。遺跡は約35日間かけて、通称「ハス博士」である大賀一郎博士たちによって掘り進められ、合計3粒の古代ハスの実を採取しました。ちなみに最初に発見したのは、手伝いに来ていた中学校の女子生徒です。
発見された大賀ハスの実の発芽
発見された3粒の大賀ハスの実は、大賀博士の自宅で発芽処理が施されました。3つとも発芽に成功しますが、1つは発芽後に枯れてしまいます。成長した2株は千葉県農林総合研究センターに移されますが、そこでさらに1株が枯死します。残った1株は大事に育てられ、やがて葉を8枚つけるほどの大きさに成長しました。
大賀ハスが増えるまで
大賀ハスの実が発見された翌年、成長した1株のハス根を掘り下げ株分けが行われました。3つに分けられた古代ハスは、それぞれ「東京大学検見川厚生農場(現・検見川総合運動場)」「千葉県農業試験場」「千葉公園弁天池の一角(現・菖蒲園)」に移されます。そこから分根を繰り返し、古代ハスと呼ばれる最古の花は徐々に増えていきました。
千葉県の誇り「大賀ハス」
大賀ハスは、発見された千葉県の人々によって、親しみを込めて「検見川の大賀ハス」と名付けられました。千葉県の天然記念物に登録されているのと同時に、千葉の市の花にも認定されています。「ちはなちゃん」と呼ばれる大賀ハスをモチーフにしたシンボルキャラクターも登場するなど、多くの人々から愛されている、古代のロマンが詰まった花です。
大賀ハスの特徴①花
花の特徴
大賀ハスは、ハス科ハス属の水生植物です。咲き始めの花色は鮮やかなピンクですが、散るまでに色が薄くなり白っぽく変化していく姿はとても魅力的です。花の大きさは24cm~28cmほどで、通常のハスよりやや大ぶりな花を咲かせます。花びらの枚数は15~20枚ほどで、一重咲きなのが特徴です。
時間帯による花の変化
大賀ハスはほかのハスと同様に、朝に開花し昼過ぎには閉じてしまいます。花が「開いて」「閉じて」を3日間繰り返し、4日目に開花したあと散っていきます。初日から最終日まで、時間によって花の様子が微妙に変化するのが魅力的です。
開花1日目
- 朝4時~5時頃、花弁が緩み始める
- 全開せずに少しすぼまった状態で咲く
- 朝8時頃、閉じ始める
- 花色はピンク
開花2日目
- 深夜1時頃、花弁が緩み始める
- 朝7時~9時頃、全開になる
- 花色は初日より鮮やかで、花弁は黄色
- 優美な香りが強くなる
- 昼には閉じてしまう
開花3日目
- 深夜1時頃から花が開き始める
- 9時~10時頃、全開になる
- 花径が最大となり、花色は少しあせる
- 昼過ぎに閉じ始めるが、半開で終わる
開花4日目
- 朝8時頃、全開になる
- 徐々に散りはじめ、3時頃になると完全に散る
- 花色は白っぽく変化する
大賀ハスの特徴②葉
大賀ハスの茎の長さは80cm~100cm、葉の大きさは35cm~45cmです。葉の表面にはミクロサイズの毛のような突起物があり、水をはじく性質を持っています。
葉の役割
大賀ハスの葉の真ん中には穴が開いており、空洞な作りの茎を通じて、地下茎であるレンコンとつながっています。レンコンは泥の中にあり呼吸ができないため、ハスの葉に空いている穴が、重要な呼吸口になっています。
大賀ハスの特徴③地下茎
ハスの地下茎とは、いわゆる「レンコン」のことです。レンコンは食用としてなじみ深いですが、大賀ハスのレンコンはとても小さく食用に向きません。
大賀ハスの増やし方
大賀ハスは種からでも育てられますが、遺伝の関係上、必ずしも同じ品種の花が咲くとは限りません。大賀ハスを増やしたいときは、大賀ハスから採れたレンコンを使用しましょう。ただし、大賀ハスは弱く花上りもよくないため、栽培はやや難しめです。初心者の方にはおすすめしません。
大賀ハスの開花時期
大賀ハスの開花がスタートするのは6月上旬です。6月中旬~7月上旬にピークを迎え、8月上旬には咲き終えてしまいます。
見ごろの季節
大賀ハスの花の見ごろは、開花のピークの6月~7月です。開花時間が朝早いため、観賞したい方は早めに出かけましょう。花が咲いている姿も魅力的ですが、大賀ハスの葉が茂っている時期も見ごろの1つです。葉が茂るのは花が咲く前の5月~6月です。
大賀ハスが観られる場所
大賀ハスは日本各地で栽培されています。公園や池や寺など、さまざまな場所で鑑賞できます。
おすすめ①千葉公園
住所 | 〒260-0045 千葉市中央区弁天3-1-1 |
電話番号 | 043-251-5103 |
料金 | 入園無料 |
駐車場 | 無料:50台(9:00~17:00) |
アクセス | <車> 京葉道路穴川インターチェンジから約5分 <モノレール・電車> 千葉モノレール「千葉公園」駅下車 JR京成「千葉」駅徒歩10分 |
千葉公園には、大賀ハスのほかにも、ボタン、シャクヤク、桜、梅、菖蒲、モミジなど、数多くの花々が植えられています。四季を感じられる植物だけでなく、プールや野球場などもあるため、子どもから大人まで楽しめるのが魅力です。
おすすめ②古代蓮の里
住所 | 〒361-0024 埼玉県行田市大字小針2375番地1 |
電話番号 | 048-559-0770 |
入園料 | 公園利用は無料 |
駐車場 | ハス開花時期の6月中旬~8月上旬まで有料(500円~) それ以外の時期は無料 |
アクセス | <車> ・東北自動車道、羽生インターチェンジから約25分 ・関越自動車道、東松山インターチェンジから約40分 ・圏央道、白岡菖蒲インターチェンジから約35分 <JR高崎線> ・行田駅東口から行田市市内循環バス乗車 (観光拠点循環コース右・左回り、古代蓮の里で下車) ・吹上駅 北口からタクシー【約8km】 <秩父鉄道> ・行田市駅南口から行田市市内循環バス ①観光拠点循環コース右回り、古代蓮の里で下車 ②東循環コース右回り、古代蓮の里で下車 ・行田市駅南口からタクシー【約5km】 |
古代ハスの里は、大賀ハス(古代蓮)をシンボルとした公園です。夏の暑い時期でも、ゆっくりとハスの花を楽しめるように、大きな屋根付きのレストハウスが用意されているのが魅力です。蓮の花の展示館である「古代蓮会館」や、子どもが遊べる「冒険遊び場」、地上50mの「展望タワー」など、楽しめるポイントがたくさんあります。
まとめ
大賀ハスは、時間によって花の様子が変わるとても魅力的な植物です。きれいな花を咲かせるだけでなく、そのルーツにはとてもロマンがあります。夏の時期にはぜひ、世界最古の花「大賀ハス」を観に行ってみてくださいね。
出典:写真AC