赤紫蘇とは
赤紫蘇は、室内でも日陰でも育てられるため、家庭菜園に人気の野菜です。鮮度のよいと、その香りは格別です。プランターや庭で育てれば、鮮度抜群の紫蘇が手軽に味わえるでしょう。この記事では、赤紫蘇の植え方や摘み方などの栽培のコツや、青紫蘇・大葉との違いについてご紹介します。
赤紫蘇の基本情報
紫蘇の歴史は古く、一説によると縄文時代から自生していたそうです。ミントやバジル、ラベンダーと同じシソ科の多年草野菜のため、丈夫で育てやすいことが特徴の一つです。以下の基本情報をご参照ください。
学名 | Perilla frutescens var. acuta |
科名 | シソ科・シソ属 |
原産地 | ヒマラヤ地方 |
形態 | 多年草 |
栽培適温 | 20℃~25℃ |
水やり | 土の表面が乾いたらたっぷりと |
日照 | 日なたまたは半日陰 |
開花時期 | 8月下旬 |
花色 | 紫 |
草丈 | 1m弱 |
種まき | 4月~6月 |
収穫 | 6月~10月 |
耐寒性 | × |
耐暑性 | ○ |
効能
紫蘇や大葉の主な成分はβカロテン、ビタミンB、C、ミネラルです。しかし、青紫蘇と違い、赤紫蘇ならではの赤い成分「シソニン」を含んでいます。シソニンには、抗酸化作用や動脈硬化予防が期待されています。香り成分には殺菌作用があるため、古くから梅干しなどの保存食の香りづけや色付けとして使われてきました。
青じそとの違い
もともと紫蘇は赤いものが主流でした。青紫蘇は赤い紫蘇の改良品種で、主に保存目的で使われていた赤紫蘇と違い、生でもすっきりとした味わいが特徴です。大葉と呼ばれるものも、この青紫蘇の仲間です。
赤紫蘇の育て方
赤紫蘇は地植えでもプランター植えでも元気に育ちます。栽培難易度は低めといえるでしょう。また、花をたくさんつける多年草で、こぼれ種から増やすことも可能です。
育て方①用土
赤紫蘇は葉っぱを次々に収穫するため、たくさんの肥料が必要です。収穫中に肥料が切れてしまうと葉っぱが小さくなっていってしまいます。肥料切れの心配がない、新品の培養土を使いましょう。
育て方②種まき
赤紫蘇の種は日光を好む性質があるため、種まき後の覆土は薄くしましょう。発芽適温は22℃前後で、夜の気温が暖かくなってきた時期のほうが発芽は簡単です。また、発芽に多くの水分が必要なため、種をまく前に水に浸しておく、種まき後10日ほどは土を乾かさないようにたっぷりと水をあげるなどの管理が必要です。面倒だと感じる方は、苗の購入をおすすめします。
育て方③植え付け
赤紫蘇は寒さに弱く、霜に当たると途端に枯れてしまいます。苗を早く植え替えるのは、霜に当たる可能性が高いため禁物です。植え替えのベストの時期は霜の心配が完全になくなる5月です。しかし、苗が育ちすぎてしまってどうしても植え替えの必要がある場合は、不織布をかける、室内へ移動させるなど、霜の対策をしましょう。また、大きく育つため、株間を十分に確保すればどのような植え方でも大丈夫です。
育て方④肥料
赤紫蘇の栽培のはじめに、効き目がゆっくりの緩効性肥料を使いましょう。ちなみに、肥料の量に鈍感な赤紫蘇と違い青紫蘇はとても敏感です。赤紫蘇と同時に大葉や青紫蘇を育てる場合は、肥料の量や種類に気を付けましょう。
育て方⑤水やり
赤紫蘇・青紫蘇ともに乾燥は大敵のため、水やりには注意しましょう。しかし、半日影で育てている場合は水やりの管理に敏感にならなくても大丈夫です。プランターで育てる場合、真夏は半日陰や室内に移動させるのもよいでしょう。
育て方⑥摘芯
草丈が20cm~30cmほどに成長したら、主枝の先端を摘みましょう。先端を摘むことで、縦に成長しようとする力が横へと分散され、葉っぱの数を増やせます。株間を狭めた植え方をした場合は、風通しが悪くならないように、どんどん摘芯していきましょう。
赤紫蘇の収穫方法
赤紫蘇の葉っぱは梅干しのわき役やジュースとして、穂は天ぷら、実(種)はしょうゆ漬けなどでおいしく食べられるため、収穫の最初から最後までの長期間楽しめる野菜です。それぞれの収穫の時期やタイミングについて順番に説明していきます。
葉
草丈が20cm~30cmくらいで本葉が10~15枚ほど出てきたら、若い葉っぱから収穫できます。たくさん収穫してしまうと光合成量が減ってしまうため、その後の成長に支障が出てしまいます。全体のバランスを見ながら適度に収穫していきましょう。
穂
夏の終わりの8月下旬から9月ごろになると、赤紫蘇は穂を付けます。この穂を穂ジソと呼ばれ、天ぷらや刺身のつまとして食べるとおいしいです。また、穂を付けると葉っぱの成長が止まるため、できるだけ長い間葉っぱを収穫したい場合は穂を次々に収穫しましょう。
実
穂を付けた赤紫蘇をそのままにしておくと、種を付けます。この種を採取して、来年育てるために保存しておいてもよいですし、食べてもおいしいです。この種のことを紫蘇の実と呼び、つくだ煮や塩漬け、しょうゆ漬けなどで食べます。
収穫時の注意点
赤紫蘇の葉っぱの表面には、目に見えない無数の香り物質が付着しています。この香り物質が刺激されることで飛散し、さわやかな香りを感じられます。そのため、極力葉の表面に触れない摘み方で収穫しましょう。ジュースや漬物で使用するときは、使用直前に優しく揉むことで香りを引き出せます。
赤紫蘇の育て方の注意点
栽培が簡単な赤紫蘇ですが、ここだけはどうしても押さえておきたいという注意点があります。詳しく見ていきましょう。
育て方の注意点①
秋を迎えると、種を付けます。その種を採取しすぐにまいても、発芽しないことがあります。これは種が活動をやめる休眠期間という時期に入るためです。市販の種の場合はこの心配はありませんが、自家採取した種をまくとまれに全く発芽しないことがあります。このような場合は1週間ほど冷蔵庫に入れましょう。休眠打破といって休眠期間を強制終了させ、目覚めさせます。発芽率が異常に悪くても、種が死んでいない可能性があるため注意しましょう。
育て方の注意点②
紫蘇は窒素肥料に敏感です。窒素をやりすぎると葉が固くなる、味が悪くなる、害虫が寄ってくるなど悪いことばかり起きます。肥料のやりすぎ、特に窒素肥料の量には十分注意しましょう。
育て方の注意点③
紫蘇は次々と種を付けるため、自家採取が簡単にできます。しかし、赤紫蘇と青紫蘇を近くに植えると交配してしまうため、種取りを希望する際には十分に離して植えましょう。
赤紫蘇の病気と害虫
もともと病気や害虫の被害はあまりないですが、病気を引き起こす原因や、害虫の好む環境について紹介していきます。いずれも原因は外で育てる場合に発生するもので、室内で栽培する場合は起きません。
病気
病気は青枯れ病、ウイルス病などがあります。これは加湿が原因で起こりやすくなります。紫蘇は日陰でも育ちますが、日陰で水をやりすぎると病気にかかりやすいため注意しましょう。
害虫
害虫の被害はベニフキノメイガ、アブラムシ、バッタなどがあります。ベニフキノメイガやバッタは雑草などで茂ったところを好み、アブラムシは窒素肥料のよく聞いた植物を好みます。どの害虫も特性を理解すれば壊滅的な被害は防げるため、これらのことを覚えているとよいかもしれません。
まとめ
紫蘇のような香味野菜は香りと鮮度だけではなく、その摘み方も重要です。赤紫蘇は、ホームセンターで「苗」「プランター」「培養土」の3点を購入すれば、場所を選ばずどこでも育てられる野菜です。ぜひ家庭菜園でとれたて新鮮な赤紫蘇を味わいましょう。
出典:写真AC