珊瑚樹(サンゴジュ)とは?特徴や育て方をご紹介!防火樹として用途は?

珊瑚樹(サンゴジュ)とは?特徴や育て方をご紹介!防火樹として用途は?

サンゴジュ(珊瑚樹)とはどのような樹木なのでしょうか。樹高や葉、白い花、名前の由来となった赤い実の特徴をご紹介します。また、植栽する場所や育て方、剪定の方法についてもまとめました。サンゴジュが防火樹として生垣に使われる理由にも迫ります。

記事の目次

  1. 1.サンゴジュとは
  2. 2.サンゴジュの特徴
  3. 3.サンゴジュの育て方
  4. 4.防火樹としてのサンゴジュ
  5. 5.サンゴジュのその他の用途
  6. 6.まとめ

防火樹としてのサンゴジュ

綺麗に刈り込まれたサンゴジュの生垣。実のなる季節でしたが、表面には実はありません。画像ではわかりにくいのですが、よく見ると生垣の内部にところどころに実がなっていました。

サンゴジュは燃えにくい

サンゴジュは、材や厚い葉に水分が多い樹木です。しかも、葉や枝に火をつけると切り口から泡を吹いて火に対抗し、非常に燃えにくい性質があります。サンゴジュの学名はViburnum odoratissimum または Viburnum odoratissimum var. awabukiといいますが、種小名のawabuki(アワブキ)はその特性からつけられた名です。サンゴジュはこの性質から火災の延焼防止に役立つと重宝されてきました。

昔から庭木として家の生垣に利用

サンゴジュは昔から「火伏の木」として防火樹の役割をにない、林の縁に植栽されたり、家の生垣に使われてきたのです。庭木としては背が高い方なので、3~4mの高い垣根も作ることができますし、2m以内に抑えることもできます。刈り込みに強く下枝が枯れることが少ない点も、目隠しや生垣にもってこいです。ただ前述の通り、生垣として頻繁に刈り込んだ場合は、花や実はあまり見られません。

サンゴジュのその他の用途

つぼみの頃のサンゴジュ

サンゴジュは古くから防火樹として頼りにされてきたことがわかりました。私たちが目にするサンゴジュはほとんど人の手で植えられたもので、野生のサンゴジュはほとんど見かけません。そのことも、いかにこの植物が人と密接に結びついてきたかを物語っています。サンゴジュの防火樹以外の利用法をまとめてみました。

街路樹として植栽

学校の敷地沿いに植栽されたサンゴジュ。校庭の砂が近隣に舞うのを防ぐ役割もになっています。

サンゴジュには防風や防音の機能もあり、防風樹や防音樹としても知られています。排気ガスや煤煙にも強く、幹線道路沿いや工業地帯の街路樹として植栽することもできる丈夫な樹木です。潮風にもよく耐えるため、海岸沿いの風よけにも使用できます。都市部の公園、学校の周りなどにも植栽されており、身近な場所で人のためにがんばってくれている樹木なのです。

草木染めの染料として

サンゴジュの葉は、つやつやした濃緑色の葉からはあまり想像できませんが、赤色染料として使われます。言われてみれば、実りの頃の花序の枝も赤く染まります。赤い色素を隠し持っているのでしょう。

サンゴジュの葉は染料としても優秀です。草木染めにすると銅媒染で赤系の色、鉄媒染でグレーと染め分けることができます。こまめな剪定が必要な樹木ですが、切った葉を染物に利用できるとあれば、剪定も楽しくなるかもしれません。

沖縄では漁に使われた

フリー写真素材ぱくたそ

サンゴジュは魚毒性があることでも知られています。沖縄県では葉を突き砕いて毒流し漁に利用されていました。活性成分は、ヒブサニンAやBなどのヒブサニン型ジテルペノイドだと考えられています。今では毒流し漁は行われていません。毒流し漁に使われた植物としては他に、ムクロジやエゴノキのように泡が出る植物、サンショウのように辛い植物、柿渋のように渋い植物があります。

まとめ

サンゴジュの赤い実は観賞に値します。

サンゴジュは燃えにくい性質を利用して防火樹として庭木に使われたり、排気ガスに強いことから街路樹として植栽されてきました。人々の生活を支えてきた植物なのです。白い花や、名前の由来となった赤いサンゴのような実は、愛らしく季節を彩ります。こまめな剪定が必要な樹木ですが、葉は草木染めの染料としても魅力的です。綺麗なだけでなく実用性もあるサンゴジュを、ぜひお庭に取り入れてみましょう。

jitsu
ライター

jitsu

ものづくりと読書と植物が大好きで、家の中は手芸作品でいっぱいです。

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