ウバメガシとは
ウバメガシはブナ科に属する植物で、どんぐりの実がつく15mの高さになる中低木です。枝分れのよい植物ですが栄養分の少ない岩場のような場所で育った場合は、そこまで高くならず低木で盆栽のようにみえます。暖地を好む植物のため、分布の北限は房総半島の南端辺りまでです。
ウバメガシは和歌山県の県木
ウバメガシは和歌山県の県の木に指定されています。愛媛県の三瓶町や愛南町では町の木に指定されており、これらの県ではウバメガシの林道や山一面に広がる海岸線のウバメガシを楽しめます。
ウバメガシの名前の由来
ウバメガシは漢字で書くと「姥目樫」です。名前の由来は樹皮に多く含まれるタンニンが「お歯黒」に用いられたことから「姥女(うばめ)」と呼ばれるようになった説や、新芽が茶褐色であることから「姥芽樫(ウバメカシ)」となったとする説があります。また、新芽の葉の表面に生える毛が年老いた老婆のように見えることからという名前の由来もあるようです。
ウバメガシの別名はハベ
中低木のウバメガシには「ハベ」とか「バベ」の別名があります。他にも「イマメガシ(今芽樫)」や「ウマメガシ(馬目樫)」の名前でも呼ばれており、低木でゆっくりと生育する特徴から生垣用の樹木として好まれています。
ウバメガシは備長炭の材料になる
ウバメガシは「備長炭」の原木です。木の質が堅く着火までに時間はかかりますが、一度火が付くと長持ちします。炭として用いられた歴史も長く、元禄時代から重宝されてきました。「備長炭」という名前の由来は和歌山県田辺市の「備中屋長左衛門」が初めて作ったことから付いたとされています。
ウバメガシの特徴
葉
ウバメガシの葉の特徴は、楕円形の葉の上半分の縁に鋸歯のようなギザギザです。葉の表面の光沢とややかためでカサカサした質感の葉の生垣があれば、ウバメガシかもしれません。長さは生育環境によりますが2cm~11cmと幅があります。新芽にはうっすらと白っぽい毛があり、成長するにつれて抜け落ちるのも特徴のひとつです。
幹
ウバメガシの若い枝は、つるつるとしていて触れても棘(とげ)が刺さるようなことはありません。成長して太くなると樹皮に松の幹に似たでこぼこの凹凸ができます。
花
ウバメガシの花期は4月~5月頃です。雄花と雌花があり、雌花は新しく出た枝の先に短い花穂を2個つけます。雄花の色は黄色く、穂状の小花が垂れ下がります。大きなウバメガシの木であれば花穂が覆って見えることもあるでしょう。雌雄を見分けるのはは春先の花穂の時期までは難しいかもしれません。
実
ウバメガシの実(堅果)もどんぐりと呼ばれます。クリと同じ堅果植物の仲間で、どんぐりもクリと同じ時期に実をつけます。ウバメガシのどんぐりの形はタマゴ形で先端がとがっており、毛が生えているのが特徴です。殻(かく)の部分(あるいは袴、帽子、殻斗とも呼ばれる)は浅めのお椀形をしています。魚の鱗のように模様が重なり合って見えます。
どんぐりのなる木の見分け方
どんぐりは本来ブナ科の樹木の実を総称した呼び名ですが、どんぐりが実る樹木にはカシ、シイ、ブナなどがあります。どんぐりの特徴から樹木の名前を見分けるには、どんぐりの形(5つのグループ)と、殻の部分の特徴(4つのグループ)を組み合わせて考えます。
どんぐりの特徴から植物を見分ける
どんぐりの殻がトゲトゲで堅果が丸い場合は、クヌギやアベマキになります。クヌギの堅果は濃い色をしているので見分ける目安になります。カシワは殻がトゲトゲしていて、小ぶりで細長い堅果が特徴です。ブナやイヌブナは殻がチューリップ型をしているという特徴から見分けましょう。
ウバメガシの増やし方
ウバメガシは秋にとれた種子(どんぐり)をそのまま蒔いて育てられます。どんぐりを乾かさないように貯蔵しておけば翌春に蒔くことも可能です。ウバメガシは成長が遅い植物のため、庭木にして枝ぶりを楽しんだり、盆栽にしたりしても美しさが際立つでしょう。
ウバメガシの植え付け時期
ウバメガシの植え付け時期は4月~5月がおすすめです。植え替えも暖かい時期を選んで行いましょう。なかでも新芽が出始める3月~8月頃は植え替えに最適な時期です。根が張っている株を選び、堆肥や腐葉土を混ぜた栄養分の良い土壌を用意します。根を乾かさないように手入れをすることが、根付きを良くするポイントです。