サンゴジュの育て方
サンゴジュは丈夫で育てやすい樹木です。しかし、庭木として育てるにはいくつか注意しなければならないこともあります。今度は、サンゴジュの育て方をご紹介しましょう。
植栽する場所
粘土質の肥沃な土と日当たりを好む
サンゴジュは粘土質の肥沃な土を好みますが、適度な湿り気があれば土質はあまり選びません。しかし栄養分が足りない土地では、枝の伸びや葉のつきが悪くなります。庭木として植える場合は、腐葉土か堆肥を3~4割程度足してあげるとよいでしょう。日向を好みますが、ある程度の日陰でも育ちます。ただ、日陰では間延びし、葉に隙間ができやすくなるので、目隠しとしたい場合は注意が必要です。
環境が合わなくても一度根付けば育つ
植え付けの適期は3月中旬~4月上旬と、9月中旬~10月です。植え付けてから1~2年は水切れしないように注意しましょう。一度根付いてしまえば、多少環境が適しない場所であっても成長する丈夫な樹木です。
鉢植えの場合はこまめに植え替え
サンゴジュは庭木として地植えにされることが多い樹木ですが、鉢植えでも育ちます。用土は一般的な花と野菜の培養土か、赤玉土6に腐葉土4を加えた土で十分です。鉢植えにした場合は根詰まりに注意します。1~2年に一度の頻度で植え替えをしましょう。
植え替えや植え付け後は水切れに注意
植え替えには春か秋が適しています。まず、地上に出ている部分を3割ほど剪定して、根の負担を減らします。根をいじらないように、古い土を落とさないで植え替えましょう。植え替えや植え付け後は根から水を吸い上げる力が弱まっているので、水切れを起こさないように管理します。
水やり・肥料
地植えの場合は雨だけで十分
サンゴジュは比較的水を好みます。しかし地植えの場合、水やりはほとんど必要ありません。防火樹として生垣仕立てにした場合は、自然に降った雨だけで十分で、水やりでは手がかからない庭木です。よほど日照りが続いて乾燥した場合には水を与えます。植え付けて1年くらいや幼木のうちは、特に水切れしないようにしましょう。鉢植えの場合は土が乾いたら水をあげます。
1~2月に寒肥を与える
肥料は寒肥として、1~2月に油かすや鶏ふんや緩効性の固形肥料などを株元に施します。これが春以降の新芽の栄養分となるのです。肥料をしっかり与えると、枝がよく張って葉も密生します。特に目隠しを目的として生垣にしている場合は、隙間が空いてしまうと用をなさないので十分に与えましょう。春から秋にかけても、成長をみて葉が少ないと感じたら追肥をします。与える肥料は寒肥と同じもので十分です。
病害虫
厄介なサンゴジュハムシ
サンゴジュに害を及ぼす害虫の代表格といえるのがサンゴジュハムシです。サンゴジュハムシは、冬の間を卵で過ごし、春になると幼虫として新芽や葉を食べます。その後土にもぐってさなぎになりますが、夏に成虫となってからも葉を食べるのです。そのため被害は4~10月と長い期間に渡り、庭木としての見栄えも悪くなります。
サンゴジュハムシの防除には剪定と予防を
サンゴジュハムシは、日当たりや風通しが悪いと発生しやすなる害虫です。予防として、卵が孵化する前の春先にしっかり剪定を行い、消毒をしましょう。サンゴジュハムシが発生してしまったら、早めに殺虫剤を散布して駆除します。薬剤散布後も観察を続け、10日後にもまだ虫がいる場合は、もう一度薬剤を散布するとよいでしょう。
ハマキムシやカイガラムシにも注意
日当たりや風通しが悪いと、ハマキムシやカイガラムシも発生しやすくなります。ハマキムシは葉を巻いて住みつき、葉を食い荒らす害虫です。巻いている葉があったら切り取って処分します。カイガラムシは、枝について汁を吸う嫌われ者です。数が少なければ歯ブラシなどでこそぎ落とします。大量ならば薬剤を散布しますが、成虫は固い殻に覆われて薬剤が効きません。2週間ごとの薬剤散布が必要です。
すす病の予防にはカイガラムシを防除
日当たりや風通しの悪さは、すす病の発生リスクも高めます。すす病は葉や茎にすすのような灰色~黒色のまだら模様が出る病気です。すぐには枯れませんが光合成が阻害されて株が弱ります。すす病の原因はカイガラムシなどの糞や分泌物に菌が繁殖することです。従って、カイガラムシの防除がすす病予防につながります。病気の葉を見つけたらこまめに切り取って処分し、広がるのを防ぎましょう。
剪定
年に2~3回の剪定が必要
サンゴジュは剪定の面ではこまめな手入れが必要な樹木といえます。枝が勢いよく伸びるため、放置すると樹形が乱れるのです。剪定の目的は樹形を美しく保つだけではありません。病害虫を防ぐためにも、年に2~3回程度の刈り込み作業で日当たりと風通しをよくすることが必要となります。剪定の適期は3~4月、6~7月上旬、9月下旬~10月上旬です。
実を楽しむ場合は、芽吹く前に剪定する
春先の剪定は前述のように、サンゴジュハムシの予防に効果的です。新芽が伸びて葉が固まった6~7月上旬の剪定は強めに、秋の剪定は温かいうちに軽めに行いましょう。サンゴジュは寒さにやや弱いので、冬の寒さや乾燥に備えて準備をする時間が必要です。赤い実を楽しみたい場合は、花が今年伸びた枝先につくため芽吹く前に刈り込み、夏には剪定を避けます。実が落下する前に剪定をすれば掃除が楽です。
地際や太い枝から出る徒長枝を処理
サンゴジュには株立ちする性質があります。地際や太い枝から徒長枝が出やすいので、間引いて内部をすっきりさせることが大切です。生垣仕立てで下部の目隠しも十分にしたい場合は、根元近くの徒長枝を生かして下方の葉が密になるようにしましょう。
思い切って剪定しても大丈夫
伸びすぎた枝を短く切り、混み合った場所は枝を付け根から切り落として、風通しと日当たりをよくします。頭頂部から下へとバランスよく剪定すると、樹形を整えやすいです。サンゴジュは芽吹く力が強いので、多少刈り込み過ぎても心配はいりません。
増やし方
挿し木で増やす
サンゴジュは挿し木で増やすことができます。挿し木の適期は6月下旬~8月です。その年に伸びた枝を長さ15~20cmに切り取り、葉を3枚残して下の方は葉を落とします。発根剤を入れた水に半日くらい浸けてから、挿し木用の土に1/3~1/2が隠れるように挿します。挿し木後1~2年の幼木は強くないので水切れしないように注意し、敷わらなどで防寒や霜よけをしてあげましょう。
種でも増やせる
サンゴジュは種でも増やすことができます。秋に熟した果実を採取し、果肉をきれいに洗い流します。果肉には発芽抑制成分が含まれており、ついたままだと発芽しにくいのです。乾燥しないように濡れたティッシュなどに包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫などの冷暗所で貯蔵します。
採取した種は翌年の3月に蒔く
種は翌年の3月頃に蒔きます。発芽温度は15~20℃です。1粒ずつ蒔いて5mmほど土を被せます。霧吹きなどで水をやりながら、日陰に置いて乾燥しないように管理しましょう。元気な苗を残して間引き、葉が4枚以上になったら植え替えをします。
ボタニ子
次項では、サンゴジュの防火樹としての利用や、その他の用途についてご紹介します。
庭木としてのサンゴジュは、どのような育て方をすればよいのでしょうか。