サンゴジュとは
従来はスイカズラ科、APG体系ではレンプクソウ科
サンゴジュ(珊瑚樹)は、レンプクソウ科ガマズミ属の常緑高木です。旧体系の分類ではスイカズラ科に分類されていました。DNA解析に基づく分子系統学が発達したことにより、新たに構築されたAPG体系ではレンプクソウ科に移されたのです。サンゴジュ(珊瑚樹)の名は、赤く美しい実が海の宝石サンゴに似ていることに由来します。
サンゴジュの花言葉
サンゴジュの花言葉は「負けず嫌い」「端麗」です。「負けず嫌い」は、後述の通り燃えにくいことから、火にも負けようとしない姿に由来するといわれます。また、半日陰や潮風にも負けずにたくましく育つ丈夫な植物であることも関係しているかもしれません。サンゴジュは「端麗」の花言葉が示す通り、海の宝石サンゴのような赤い実がとても美しい樹木です。サンゴジュは10月23日の誕生花でもあります。
サンゴジュの特徴
サンゴジュは実りの季節には赤い実がとても鮮やかに人目を引きます。しかし、それ以外の季節にはあまり目立たない植物かもしれません。樹木や花についての特徴も見てみましょう。もちろん赤い実の特徴についてもまとめました。
樹高などの特徴
サンゴジュの赤い実が、もうできていました。サクラ並木沿いにあります。#サンゴジュ pic.twitter.com/rGKo2aR4nT
— 都立葛西臨海公園 (@ParksKasai) August 12, 2019
サンゴジュの樹高は5~12mで、庭木としては高い方です。1株から茎や枝が数本立ち上がり、株立ちとなる性質があります。樹皮は灰褐色~灰黒色で、皮目が多くて割れ、荒い印象です。
葉の特徴
サンゴジュの葉は対生し、先がとがった長楕円形です。厚みのある濃緑色で、つやつやと光沢があります。縁の鋸歯は小さくてまばらです。若葉は褐緑色~褐色で、葉の成長につれて濃緑色に変わります。葉柄を折って引き抜くと白い綿のような糸がでてくることは、サンゴジュを見分ける時に役立つ特徴です。
花の特徴
白い小さな花が円錐状に集まって咲く
サンゴジュの花が咲く季節は、晩春から初夏です。枝先に直径6~8mmの白い小さな筒状の花が、円錐状に集まって咲きます。一つ一つの花は花冠の上部で5枚の花びらに分かれ、一枚一枚の花びらが反り返るので、観察してみると面白いです。花からは長い雄しべが突き出しています。
花序はだんだん垂れ下がってくる
花の房は、つぼみが出る頃には上向きです。それが、花が咲いて実のなる季節が近づくにつれて、重みで下がってきます。白い花はたくさんの虫たちが訪れるお食事処です。
実の特徴
実りの季節を迎えると、房は実の重さで更に垂れ下がります。一つ一つの実は7~9mmで楕円形です。晩夏になると実は赤く熟し、花序の枝も赤く染まります。赤い実は更に熟すと黒紫色になり落下するので、掃除がやや面倒です。生垣などに使われる場合は、よく刈り込まれていると花や実がつかないことも多く、サンゴジュだと気づかないこともあります。
ガマズミと似ている?
花や実の色と季節は似ているが、違う点は多い
ガマズミも、サンゴジュと同じくレンプクソウ科ガマズミ属の樹木です。両者は似ているのでしょうか。ガマズミも5~6月に白い小さな花が集まった花序をつけ、晩夏~初秋に赤い実をつけます。花や実の季節と色は似ていると言っていいかもしれません。しかし、花や実の付き方、葉の形などが違うので見分けるのは容易です。
葉の形や手触り、落葉するところが違う
#ガマズミ(莢蒾) pic.twitter.com/P8peZN2Lyy
— かそよ@花 (@kabutomeron02) April 15, 2018
サンゴジュの葉は長楕円形で厚みと光沢があります。一方ガマズミの葉は卵形~広卵形で、はっきりとした葉脈があり、細かい毛が生えてざらざらです。環境がよければ紅葉し、冬には落葉することも、常緑樹であるサンゴジュとは異なります。
ガマズミは花序の上部が平らで、垂れ下がらない
白い花は、サンゴジュでは円錐状にまとまるのに対し、ガマズミでは花序の上部がほぼ平らになります。実はサンゴジュよりは球形に近く、サンゴジュのように垂れ下がることはありません。また、サンゴジュの実は食用とされませんが、ガマズミの実は果実酒などに用いられます。若いころは酸味が強いですが、赤い実の表面に白い粉が吹いたようになった頃が美味しいです。
ボタニ子
次項ではサンゴジュの育て方をまとめています。
夏の終わりに庭木や街路樹で、赤い小さな実が集まってブドウのようになっているのを見かけたことはありませんか。これがサンゴジュです。