はじめに
公園や原っぱでよくみかけるムラサキツメクサは、日本全国に分布する植物のひとつです。可憐で球体の花はよく見るとちいさな花がたくさん集まっています。とても身近な植物のムラサキツメクサの特徴や効能、花言葉についてくわしく解説します。
ムラサキツメクサとは?
牧草として日本に渡来したムラサキツメクサは、今では全国に野生化している植物です。明治以降にヨーロッパから、牧草として輸入されたといわれています。もともと牧草として育てられたムラサキツメクサの種子は成長力が旺盛です。ムラサキツメクサはシロツメクサとよく似ていますが全く別の植物。ムラサキツメクサの種子は日当たりのよい平地で、成長すると茎が立ち上がります。また、花期が長く花序は小さな花が集まって球体のひとつの花のようにみえ葉脈にも特徴があります。
ムラサキツメクサの基本情報
名称 | ムラサキツメクサ(紫詰草) |
分類 | マメ科シャジクソウ属 |
学名 | Trifolium pratense |
別名 | アカツメクサ レッドクローバー |
原産国 | ヨーロッパ・西アジア |
花の形・花序 | 球体 |
花期 | 5~10月 |
葉・葉脈 | だ円形の小葉3枚(2~5cm) |
ムラサキツメクサは別名をアカツメクサといいます。ムラサキツメクサとアカツメクサは名称と別名の違いで学名や属、分類は同じです。花期が5月~10月と長い期間花を楽しめます。
名前の由来
ムラサキツメクサはシロツメクサとよく似ています。シロツメクサはクローバーと呼ばれています。シロツメクサによく似たムラサキツメクサは赤い花のクローバーということから、アカツメクサ(英名:レッドクローバー)と呼ばれるようになりました。
ムラサキツメクサの特徴
葉の特徴
ムラサキツメクサの葉や葉脈は、花序のすぐ下にだ円形の葉が一対つきます。葉は2~5cmの大きさで、ほとんどの葉にV字の斑紋がついています。裏側には産毛のような毛が多く、葉脈上にも長い毛があります。
花の特徴
ムラサキツメクサの花は小花を密集させて、球状になる特徴があります。花に柄はなくピンク色や紫色です。小さな蝶形の花が花序を作っていて、ひとつの花のように見えます。花期が長いことも特徴のひとつです。
種子の特徴
ムラサキツメクサの種子は1~2mmほどのサイズで倒卵形をしています。種子長に1つ種子が入っています。種子から育てることで牧草として利用できるほかに、グランドカバーや雑草予防、緑肥などの用途もあります。
ムラサキツメクサの花言葉
ムラサキツメクサの花言葉は、善良で陽気、ゆたかな愛、勤勉、実直という意味があります。花言葉の由来はムラサキツメクサの繫殖力の強さが精力的であることをイメージしてつけられた「industey(勤勉)」を和訳してバリエーションが増えたといわれています。ムラサキツメクサが誕生花となる誕生日は、4/7、4/18、5/24、5/9です。
アイヌの伝説が由来
ムラサキツメクサの花言葉は、アイヌの伝説が由来だという説があります。部族を超えて愛し合う青年と娘がいました。青年は船で娘に会いにいきます。ある日、青年の乗った船が転覆してしまい、青年は亡くなってしまいます。
川に流れついた青年の遺体をみつけた娘は深い悲しみに包まれ、青年の体と自分をくくりつけて、入水してしまいました。2人が亡くなった翌年から、岸辺にはたくさんのアカツメクサが咲くようになりました。青年と娘の愛の深さが、ムラサキツメクサの花言葉の由来になったという説があります。
ムラサキツメクサとアカツメクサ違い?
ムラサキツメクサは別名アカツメクサとも呼ばれています。そのため、ムラサキツメクサとアカツメクサは同じ植物です。別々の花だと間違えてしまう場合がありますが、花の色の濃淡の違いから、アカツメクサという別名がついたのではないかと推測ができます。
ムラサキツメクサはハーブとして楽しめる
日本では牧草として広まったムラサキツメクサですが、ヨーロッパでは薬草やハーブとして古くから親しまれています。ほんのりとした甘みとさわやかな香りが特徴で、ハーブティーとしても人気です。レモンバームやミントとブレンドするのもおすすめです。
効能
アカツメクサは、エストロゲンという女性ホルモンと似た働きをすると考えられています。月経不順や更年期障害にも効果が期待できるといわれています。また、消炎や去痰の作用が期待できると考えられていてうがい薬や咳止めとして使ったり、女性ホルモンのバランスの乱れを整えてくれる効果もあるとされています。
注意点
アカツメクサは女性ホルモンと似た働きをするため、妊娠中や授乳中には体への影響を考慮して避けたほうがいいでしょう。また、女性特有の病の方も、アカツメクサを取り入れる際には注意が必要です。いずれの場合も、医師に相談をしてから摂取しましょう。
まとめ
ムラサキツメクサは日頃から見かけることの多い花です。まるくてピンク色の愛らしい花は、ハーブとしても利用されます。また、肥料としても使えるためぜひ植えてみたい植物のひとつです。繫殖力が強く育てやすいムラサキツメクサを植えて、活用してみてはいかがでしょうか。
出典:BOTANICA