唐辛子(とうがらし)とは?種類はどれくらいある?辛い理由は?

唐辛子(とうがらし)とは?種類はどれくらいある?辛い理由は?

毎日食べている人もいるかもしれないトウガラシ。どのような歴史を持ち、どれくらいの種数がいるのでしょうか。また、特徴的な辛味は一体何のために備わっているのでしょうか。本記事はトウガラシの世界史・自然史を概観し、彼らの秘められたポテンシャルをご紹介します。

記事の目次

  1. 1.世界の料理を変えた野菜
  2. 2.中南米に始まるトウガラシの旅
  3. 3.栽培種5種類を知ろう
  4. 4.トウガラシはなぜ辛い
  5. 5.知れば知るほど面白い

栽培種5種類を知ろう

日本でよく食べられるのはトウガラシ、シネンセ種、キダチトウガラシ。シネンセ種はトウガラシに比べて葉も大ぶりです。(出典:著者作成)

南米で栽培されるロコトとバッカタム種。日本でも栽培できます。(出典:著者作成)

ボタ爺

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中南米には、野生も含めてトウガラシ属が40種類以上いる!そのうち栽培化されている5種類を紹介しよう。

最も身近なアニウム種

Photo byJillWellington

トウガラシ(Capsicum annuum)。「唐辛子」と言われて真っ先にイメージするのは、やはりこの形。

トウガラシ基本情報

  • 標準和名:トウガラシ
  • 学名:Capsicum annuum
  • 分類:ナス科トウガラシ属
  • 分布:メキシコに野生系統が分布。世界各地で栽培。

七味唐辛子やチリパウダー、刻み唐辛子など、あらゆるレシピに使われるポピュラーな種類がトウガラシ(Capsicum annuumです。トウガラシ属の総称としての「トウガラシ」とややこしいので、「アニウム種」と呼ぶこともあります。鷹の爪、万願寺唐辛子、甘長唐辛子、ピーマン、パプリカなど様々な品種がありますが、分類上の「種」のレベルでは同じものです。

Photo by iyoupapa

ピーマンはトウガラシ(Capsicum annuum)のうち辛味のない変種。

Photo byTheDigitalArtist

青いものや白いものも種類は同じ Capsicum annuum で、完熟前に収穫したものです。ピーマンやシシトウも、収穫せずに放っておけば赤くなります。

ボタニ子

ボタニ子

ピーマンや万願寺は辛くないけど、れっきとしたトウガラシだよ!

世界一辛いシネンセ種

Photo by alexlomas

赤く熟したシネンセ種の果実。葉の緑色とのコントラストが鮮やかです。

C. chinense 種基本情報

  • 学名:Capsicum chinense
  • 分類:ナス科トウガラシ属
  • 分布:野生では南米〜カリブ諸島。

シネンセ種は果実が太短く、シワが寄るのが特徴です。ハバネロなど辛味の強い品種が多く含まれます。

ボタニ子

ボタニ子

ハバネロは世界一辛いトウガラシとしてギネスブックに載ったね!

ボタ爺

ボタ爺

キャロライナ・リーパードラゴンズ・ブレス・チリなど、さらに辛い品種も開発されているぞ。素手で触るのも痛そうじゃ…

Photo by Richard Elzey

キャロライナ・リーパーの果実。見るからに辛そう。

鳥に乗って海を渡ったキダチトウガラシ

Photo by Starr Environmental

キダチトウガラシの果実は先端が空を向きます。

キダチトウガラシは幹が木質化し低木になります。果実が小さく鳥に食べられやすいため、鳥の糞と一緒に落ちた種子が発芽することで分布を広げてきました。

キダチトウガラシ基本情報

  • 標準和名:キダチトウガラシ
  • 学名:Capsicum frutescens
  • 分類:ナス科トウガラシ属
  • 分布:中南米、アフリカ、オセアニア、東南アジア、小笠原諸島、八重山〜奄美群島

沖縄や小笠原諸島にもキダチトウガラシが生えており、鳥に種を運ばれてやってきたと考えられています。

ボタニ子

ボタニ子

このキダチトウガラシは、野生でも日本に分布してるんだ!

ボタ爺

ボタ爺

沖縄では、キダチトウガラシを泡盛に漬けてコーレーグースという調味料にするぞ。タバスコもキダチトウガラシから作る調味料じゃ。

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出典: 楽天
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「島とうがらし」はキダチトウガラシの通称です。

高地に適応したロコト

Photo by graibeard

ロコトは種子が黒いのが特徴です。

Photo by TheChili.Life

ロコトの花は紫色。

ロコト基本情報

  • 学名:Capsicum pubescens
  • 分類:ナス科トウガラシ属
  • 分布:南米

ロコトは南米でポピュラーな種類です。トマトやナスのように丸みを帯びた形をしており、強い辛味があります。紫色の花が咲き、種子が黒いのが特徴です。さらにロコトは寒冷地に強く、標高の高い場所でも栽培できます。そのため、長野県など高地での栽培方法が研究されています。

ほとんどのトウガラシが熱帯低地に栽培がかぎられるなかで、ロコトだけは標高3000m あたりまで栽培される。

ロコトはトウガラシ属の中では耐寒性が強く、原産地でも高地で栽培されるようです。

多様な形のバッカタム種

Photo by chipmunk_1

バッカタム種の果実。黄色い果実が多いため「キイロトウガラシ」と呼ばれます。

Photo by Starr Environmental

バッカタム種は品種によって形が様々。この果実は妖怪「ぬっぺふほふ」のよう。

バッカタム種基本情報

  • 学名:Capsicum baccatum
  • 分類:ナス科トウガラシ属
  • 分布:南米

バッカタム種は南米でポピュラーな種類であり、サルサなどのレシピに使われます。花弁に鮮やかな黄色い斑点がつくのが特徴です。果実の色や形に変異が多く、黄色く細長いもの、真っ赤な釣り鐘形のものなど様々なものが見られます。

ボタ爺

ボタ爺

いろんな品種を作るのも面白いぞ。

ボタニ子

ボタニ子

じゃあ、次は長年の疑問「トウガラシはなぜ辛いのか」について考えよう!

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トウガラシはなぜ辛い

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