栽培種5種類を知ろう
ボタ爺
中南米には、野生も含めてトウガラシ属が40種類以上いる!そのうち栽培化されている5種類を紹介しよう。
最も身近なアニウム種
トウガラシ基本情報
- 標準和名:トウガラシ
- 学名:Capsicum annuum
- 分類:ナス科トウガラシ属
- 分布:メキシコに野生系統が分布。世界各地で栽培。
七味唐辛子やチリパウダー、刻み唐辛子など、あらゆるレシピに使われるポピュラーな種類がトウガラシ(Capsicum annuum)です。トウガラシ属の総称としての「トウガラシ」とややこしいので、「アニウム種」と呼ぶこともあります。鷹の爪、万願寺唐辛子、甘長唐辛子、ピーマン、パプリカなど様々な品種がありますが、分類上の「種」のレベルでは同じものです。
ボタニ子
ピーマンや万願寺は辛くないけど、れっきとしたトウガラシだよ!
世界一辛いシネンセ種
C. chinense 種基本情報
- 学名:Capsicum chinense
- 分類:ナス科トウガラシ属
- 分布:野生では南米〜カリブ諸島。
シネンセ種は果実が太短く、シワが寄るのが特徴です。ハバネロなど辛味の強い品種が多く含まれます。
ボタニ子
ハバネロは世界一辛いトウガラシとしてギネスブックに載ったね!
ボタ爺
キャロライナ・リーパーやドラゴンズ・ブレス・チリなど、さらに辛い品種も開発されているぞ。素手で触るのも痛そうじゃ…
鳥に乗って海を渡ったキダチトウガラシ
キダチトウガラシは幹が木質化し低木になります。果実が小さく鳥に食べられやすいため、鳥の糞と一緒に落ちた種子が発芽することで分布を広げてきました。
キダチトウガラシ基本情報
- 標準和名:キダチトウガラシ
- 学名:Capsicum frutescens
- 分類:ナス科トウガラシ属
- 分布:中南米、アフリカ、オセアニア、東南アジア、小笠原諸島、八重山〜奄美群島
沖縄や小笠原諸島にもキダチトウガラシが生えており、鳥に種を運ばれてやってきたと考えられています。
ボタニ子
このキダチトウガラシは、野生でも日本に分布してるんだ!
ボタ爺
沖縄では、キダチトウガラシを泡盛に漬けてコーレーグースという調味料にするぞ。タバスコもキダチトウガラシから作る調味料じゃ。
高地に適応したロコト
ロコト基本情報
- 学名:Capsicum pubescens
- 分類:ナス科トウガラシ属
- 分布:南米
ロコトは南米でポピュラーな種類です。トマトやナスのように丸みを帯びた形をしており、強い辛味があります。紫色の花が咲き、種子が黒いのが特徴です。さらにロコトは寒冷地に強く、標高の高い場所でも栽培できます。そのため、長野県など高地での栽培方法が研究されています。
ほとんどのトウガラシが熱帯低地に栽培がかぎられるなかで、ロコトだけは標高3000m あたりまで栽培される。
多様な形のバッカタム種
バッカタム種基本情報
- 学名:Capsicum baccatum
- 分類:ナス科トウガラシ属
- 分布:南米
バッカタム種は南米でポピュラーな種類であり、サルサなどのレシピに使われます。花弁に鮮やかな黄色い斑点がつくのが特徴です。果実の色や形に変異が多く、黄色く細長いもの、真っ赤な釣り鐘形のものなど様々なものが見られます。
ボタ爺
いろんな品種を作るのも面白いぞ。
ボタニ子
じゃあ、次は長年の疑問「トウガラシはなぜ辛いのか」について考えよう!
日本でよく食べられるのはトウガラシ、シネンセ種、キダチトウガラシ。シネンセ種はトウガラシに比べて葉も大ぶりです。(出典:著者作成)