ローズマリーの基本情報
- 英名:Rosemary
- 科名:シソ科
- 和名:まんねんろう
- 原産地:地中海沿岸
ローズマリーの剪定時期はいつ?
剪定とは、摘心や切り戻しを含め必要のない枝葉を切ることです。季節としては冬になる前の10月~6月を目安に行いましょう。ローズマリーは高温多湿に弱い植物のため、梅雨が始まってから夏の季節は、葉が混雑しているところを剪定して風通しを良くする程度に行います。基本的に収穫はいつでもできるので、使いたいときに少しずつ取ることはどの季節でも可能です。
ローズマリーの剪定方法①摘心
摘心とは、今まさに成長している葉の先の若い芽を摘み取ることです。若い芽を切るとその先の成長が止まり、脇芽が伸びることで枝数も増え、丸みをおびた可愛らしい形に仕上がります。
使う道具
- 剪定バサミ…ホームセンターや100円ショップでも売っている、先が細いタイプの園芸用のハサミ
- 収穫かごやトレー…収穫した葉を置く入れ物
やり方
- 若い芽が出ている枝を見つけます。
- 葉の先から1〜2cmの部分をカットします。
- 摘心した葉をトレーに乗せて次の枝に移ります。
- 株が小さいものや鉢植えの場合は、通常の収穫で摘心を意識して剪定すればOKです。
- 大株や地植えの場合は勢いが出てきたタイミングで一斉に摘心し、全体のバランスを整えます。
摘心のメリット
枝が増えるということは収穫できる葉も増えます。一時的に成長が止まるように感じますが、長い目で見ると摘心は株を強くするなど良いこと尽くめです。
ローズマリーの剪定方法②切り戻し
切り戻しとは開花した枝を切ったり、伸びすぎて間延びしてしまった古い枝を根本から切ったりすることをいいます。ローズマリーは年に2~3回、春・初夏・秋に開花するので、そのタイミングで切り戻しを行いましょう。
使う道具
- 植木バサミ…葉が太く細めの枝も切れるタイプのハサミ
- 収穫かごやトレー(2個)…収穫した枝葉を置く物と間引いて処分する枝を入れる物で2つに分けます。
やり方
- 花が開花したタイミングで、根本から1/3を残して株全体の枝をカットします。
- 古くなって葉が枯れてしまった枝は根本から切ります。
- 強い剪定に自信がなければ、時期をずらして少しずつ様子を見ながらカットしましょう。
切り戻しのメリット
鉢植えで栽培をする場合には地植えと違いスペースが限られているので、切り戻しを行うことでコンパクトに仕立てられます。大きくなった株の場合、切り戻しを行うことで再び理想のデザインに近づけることができます。ただし強い剪定で失敗して枯らさないよう、加減には注意が必要です。
ローズマリーの剪定方法③その他
上級者向けの剪定方法として、おしゃれで遊び心のある剪定のやり方もあります。上部を丸く刈り込むスタンダード仕立てや、ワイヤーを使って動物やハートなどの形にするトピアリー仕立てもローズマリーの品種によっては可能です。いずれ高度な剪定にチャレンジしてみたい場合には、購入の際に仕立てに向いている品種かをチェックしてみるのもポイントでしょう。
剪定した枝葉の使い道
剪定は収穫でもありますので、特に摘心した葉はフレッシュな内にお料理などに使いましょう。余らせてしまう場合には、ドライにして保存しておくのも一つの手です。その他、ローズマリーでリースを作ったり、バスタイムに浴槽に入れて香りを楽しんだりすることもできます。剪定した枝をそのまま挿し木として利用し、増やす方法も後述しますので参考にしてください。
ボタニ子
次のページでは、木質化を防ぐやり方を写真付きで詳しく解説するよ!
木質化させない方法とは
ローズマリーが木質化すると剪定に失敗したのかと、不安に思うかもしれませんが木質化は失敗ではありません。日本で一般的に栽培されているローズマリーは木立性で、茎が木の枝のように硬くなる木本性という性質を持っています。この現象を木質化といいます。通常2年目から木質化が始まり、地植えで大株にしたい場合には木質化はむしろ必要です。木質化をさせたくない場合には、毎年挿し木をして株を更新しましょう。
挿し木の方法(木立性)
木立性のローズマリーの品種には、レックスやトスカーナブルーがあります。挿し木は真夏と真冬を除きいつでも可能ですが、春や秋の安定した気候のときがおすすめです。
選び方
若々しくフレッシュなものを
まずは枝の見極めです。新しく芽を出している元気な枝を挿し穂として選びましょう。葉っぱが枯れかけている枝や木質化が進行して古くなった枝は使わず、根本から剪定して間引きます。
準備
選んだ枝を5~6cmに切り、下の葉を1cm程度手で取ります。花瓶やコップなどの容器に、葉を取った下枝の部分が浸るくらいの水を入れて、1時間ほど挿し穂を浸けて水揚げをします。
発根
確実なのはガラス瓶
水揚げが終わったら、鉢植えに移し替えて根が出るのを待ちます。その際、鉢の底にお皿やバットを敷いて水を張り、底面給水の状態を保ちましょう。蒸発して水を切らさないように注意します。または、発根するまで水揚げの状態で管理をするやり方もあります。この場合は根っこが確認できるように、ガラス瓶などの透明な容器がおすすめです。毎日水を取り替えて、発根までに根を腐らせて失敗しないように気をつけましょう。
植え付け
1ヶ月ほど経ち新芽が出たのを確認するか、根っこが出ているのが見えたら本番の鉢に植えつけて完了です。
取り木の方法(ほふく性)
ほふく性のローズマリーの品種には、ロックウッドフォレスト、サンダーバーバラがあります。この種類の場合「取り木」という、枝の途中で根を生やして株分けをする方法で増やします。取り木は真夏や真冬を除き年中可能ですが、特に5~7月、9月の春や秋が適しています。取り木の方法を説明する写真にはセージを使っていますが、ほふく性のローズマリーもやり方は同様です。
選び方
始めに取り木をする枝を選びます。ポイントは、下のほうに付いている元気な枝であることです。
発根
枝の途中で根を出させましょう
地植えの場合は枝を地面につけ、上から土を盛ります。鉢植えの場合は隣にポットをもう一つ置き、同様に土を盛ります。
植え付け
20~30日が経ち、十分に発根させたら親株から切り離し、新しい鉢に植えつけて完了です。
土の準備
挿し木や取り木に使う土には肥料分や菌類が少ない清潔な土が向いています。バーミキュライトとピートモスを同量混ぜたものを使うことで失敗が防げます。またローズマリーはややアルカリ性の土を好む植物です。剪定のタイミングで植え付け用の土に石灰などを混ぜて中和しておくと、植え付けるタイミングで土が馴染んだ状態で使えるのでおすすめです。
おわりに
ローズマリーは比較的強い植物です。やり方にとらわれずに自由に剪定しながら、自分なりの方法やタイミングを掴んでみましょう。一度に何個か同時に育てることで、万が一失敗したときにも安心です。毎年挿し木をして増やしながら、様々な形にチャレンジしてください。あなたとハーブのある暮らしを応援しています。
出典:筆者撮影