クマツヅラってどんな植物?
クマツヅラ(熊葛)は、クマツヅラ科クマツヅラ属の多年草です。本州以南の道端でも見られる草花ですが、古くから薬草として人間とかかわってきた植物でもあります。今回は、そのクマツヅラを詳しくご紹介いたします。
花、茎、葉の特徴
クマツヅラの一番の特徴は、茎の先に房状に咲かせる3~5mmの薄紫色の小さい花だと言えるでしょう。ちょっとラベンダーの花にも似ていますね。茎の断面は四角く、葉は茎の下の方にのみついていて、3~5枚に裂けたような形をしています。高さは50~80cmほどになります。
クマツヅラの呼び名いろいろ
学名 | Verbena officinalis |
生薬名(漢方) | 馬鞭草(ばべんそう) |
ハーブ | バーベイン |
別名 | pigeon grass(鳩の草) |
学名の「officinalis」は、薬用の、薬効のあるという意味です。
クマツヅラはどこで見られる?
クマツヅラはクマツヅラ科クマツヅラ属の多年草です。開花時期は8~10月頃で、北海道を除く本州、四国、九州、沖縄の野原、山地に自生しています。しかし、近年、富山県、京都府、宮崎県で絶滅危惧種に指定されるほど、少しずつ数を減らしていることもまた悲しい事実です。
薬草としてのクマツヅラ
生薬として利用
クマツヅラは神聖な薬草として、何世紀にもわたり万能薬として利用されつづけてきました。現在でも、漢方としての「馬鞭草(ばべんそう)」は、煎じた煮汁を使用します。打撲、打ち身、皮膚疾患のときには外用のほか、生理痛など婦人病の軽減のために内服することのできる「自然の薬」として多くの方に利用されています。
ハーブとして利用
葉を乾燥して茶葉として使用するバーベインのハーブティーは、神経系への強壮作用と鎮静作用にすぐれています。イライラや不安など鎮めてくれ、精神的な疲れを原因とする頭痛などにも効能があると言われています。また、消化器系にもすぐれた作用があり、食欲不振や消化のサポートのためにも用いられています。
クマツヅラの花言葉
クマツヅラにまつわる伝説
クマツヅラは、バーベインとして、古代ヨーロッパでは魔力を持つ霊草として珍重されてきました。古くから儀式では、守護、浄化のためにバーベインを利用してきたようです。それだけではなく、キリスト教の伝説のなかで、十字架にかけられたキリストの血を止めるために使われたのは、この薬草、バーベインだと言われています。
クマツヅラの花言葉
クマツヅラの花言葉は「魔力」「魔法」
漢方としても多くの効能を持ち、「神の恵みのハーブ」として古くから人間とかかわってきたことや、キリスト教の伝説に影響されて、こんな花言葉があるのかもしれませんね。
クマツヅラまとめ
いかがでしたでしょうか。クマツヅラは、種だけでなく地下茎でも増えていく繁殖力のある草花ですが、近年その数を減らしているようです。たくさんの効能を持つ人間にとっても有用性のある植物ですから、道端でこの薄紫色の小さな花を見かけたら、ラッキーかも。よく観察してみてくださいね。