パチュリとは
緑の葉を意味するタミル語の『パッチャイ・イライ』が由来となっているパチュリは、パチュリー、またはパチョリなどとも呼ばれます。木の高さは1mに満たないほどで、シソ科ミズトラノオ属の多年草です。インドネシアやフィリピンを主にして、アメリカ・インド・パラグアイ・ブラジル・マレーシア・ミャンマーでも産出され、花を咲かせることはあまりありません。
パチュリの特性
暑く日光のある環境を好んで生息するパチュリは、直射的な日光には弱くたっぷりの水を必要とします。種子はかなりもろいというデリケートな植物であるため、日本での栽培はとても難しく、国内ではあまり出回ってもいません。また、パチュリはアブラムシやハダニといった害虫がつきやすくもあります。
パチュリの栽培
パチュリは自宅でデリケートな種を植えて栽培するには難度が高いだけでなく、ホームセンター等で売られていることも少ないため、インターネット販売などで苗木を手に入れる必要があります。増やしたい場合もやはりデリケートな種を取ることは難しいので、少しだけ切ったパチュリの先を土に挿して根を張らせるという「挿し木」を行いましょう。なお、植え付けや挿し木には、春から夏にかけてが適しています。
パチュリの用途
ハーブの中のひとつであるパチュリですが、食用としてではなく、アロマテラピーや香水にポプリなど、においを楽しむために主な利用をされます。パチュリは18世紀ごろのインドにて、葉を衣類等に挟んで香りを移すことや防虫のために用いられ、シルクロードの商人が絹に葉を挟んだことから、西洋ではパチュリがお高く気品のある香りと認識されるようになりました。また、乾燥させたパチュリである霍香(かっこう)は、胃腸の不調や解熱に効果が期待できるとされ、漢方薬にも含まれるのです。
パチュリのアロマオイル
パチュリのアロマオイル(精油)には主に、パチュロール、パチュリアルコール、a-ガイエン、a-ブルネッセン、a-パチュレン、クミンアルデヒド、オイゲノール等の成分が含まれており、水蒸気蒸留法によって抽出されます。エキゾチックな香りで心をうっとりと落ち着ける効能がありますが、妊娠の初期や出産の前後、血圧が低い人は使用をしてはいけません。
香り
パチュリのアロマオイル(精油)はとても濃厚で、一言では表しにくい香りをしています。墨汁のようなにおいや土に似たにおいだと表現されることもあれば、オリエンタルなにおいやエキゾチックなにおいだとも表現され、配合をすることで香りに豊かな表情や奥行きを出すことができます。
時間と香りの変化・持続の関係
パチュリのアロマオイル(精油)の揮発度はベースノートなので、どっしりと質のよい香りが長続きし、さらには時間が経過すればだんだんと、ローズのにおいのようにも感じる上品な香りへと変化をしていきます。また、パチュリのアロマオイル(精油)を配合すれば、共に使用した他の香りを持続させてくれる保留の効果も得られます。
効能
パチュリのアロマオイル(精油)には防虫作用のみならず、皮膚トラブルの救世主となる抗炎症作用や、お肌をつややかにしてくれる皮膚組織再生作用もあります。加えて、停滞している水分を促してむくみを改善するうっ滞除去作用や、ホルモンと同じような働きをするホルモン様作用もあり、心身を健康に導いてくれます。それだけでなく、催淫作用によって、性的な興奮を高める効能までもがあるのです。
使用におすすめなとき
パチュリのアロマオイル(精油)は、ストレスや緊張状態により不安定なとき、考えがまとまらずに頭がごちゃごちゃして判断がくだせないとき等に、心を穏やかにしてくれます。他にも、筋肉や間接の痛みや体にむくみを感じるときにも、症状を緩和してくれます。さらに、ニキビやアトピー、湿疹等で肌が荒れたとき、皮膚に炎症やかゆみがあるとき、たるみやしわといった悩みがあるときにも効果を期待できます。また、何らかの胃腸トラブルがあるときなどに使用をするのもおすすめです。
用途
パチュリのアロマオイル(精油)の用途は、その豊かで気品のある香りを芳香浴や入浴に使用して楽しむことの他、キャンドルやお香、香水やルームスプレー作りにも利用されます。また、お肌に嬉しい効能から、スキンケア、ボディケアのクリームやオイルといったアイテムにも多く配合を確認できます。防虫の効能は研究でも認められているため、虫よけアイテムなどにも使用されます。
次のページでは、パチェリのアロマオイルの利用について、ご紹介します。
出典:筆者撮影