モチモチの木(絵本)とは
基本情報
著者 | 斎藤隆介 |
絵 | 滝平二郎 |
出版元 | 岩崎書店 |
出版年月日 | 1971年11月20日 |
国語の教科書にも掲載されたモチモチの木
モチモチの木とは国語の教科書にも採用された創作絵本です。モチモチの木という題名やあらすじには覚えがなくても、独特な雰囲気の挿絵には見覚えがありませんか?こわかったという方もいるかもしれませんね。モチモチの木は1971年に発行されて以来、多くの方に親しまれており、近年ではなんと教科書以外にもラインスタンプやTシャツにも採用されています!
あらすじ
峠の小屋に住むじさまと豆太。その小屋の表には、豆太がモチモチの木と呼ぶ大木がありました。小心者の豆太はこの木がこわくて夜中にトイレにも行けません。そのため、トイレにはいつもじさまが付き添っていました。ところがある日、夜中にじさまが倒れてしまいます。大好きなじさまを助けるために、勇気を出して助けを呼びに走る豆太。そんな豆太にモチモチの木が見せた姿とは…。
モチモチの木(絵本)のモデルとなった木
本の題名にもなっており、物語の中心となるモチモチの木ですが、何の木かご存知でしょうか?実はこちら、栃の木(トチノキ)がモデルになっています。
栃の木とはどんな木?
学名 | Aesculus turbinata |
分類 | トチノキ科トチノキ属 |
開花時期 | 5月〜6月 |
樹木の高さ | 15〜30m |
栃の木は栃木県の県木にも指定されている落葉高木になります。近縁種にはセイヨウトチノキ(別名:マロニエ)があり、こちらは街路樹として有名です。マロニエ通りなど、聞いたことありませんか?
特徴
栃の木の分布は北海道、本州、四国、九州と日本全国の山地で見られます。特に多いのは東日本です。木の高さは30m、直径は1mほどの大木となり、多くの実をつけます。
大きい手のひらの様な葉
栃の木の葉は木同様に大きく、10〜20cmの楕円形の小葉6〜7枚が集まって手のひらの様な形をしています。(掌状複葉)思わず手にとってみたくなりますよね。
小さい花が集まった円錐状の花穂
栃の木の花は、円錐状の花穂が上向きに立ち上がった形で咲きます。花穂は1〜2cmの小さな花が集まったもので、高さは25〜30cmほどになります。
用途
木材として加工する
栃の木は木材として柔らかく加工がしやすいので、家具、楽器として利用されています。
花からは蜂蜜が採れる
栃の木の花からは良質な蜂蜜が採れ、重宝されています。栃の木の花粉は紅色のため、花粉が混ざると蜂蜜が赤みを帯びることもあります。
モチモチの木(栃の木)からとれる実
特徴
見た目は栗だけどアクが強い!
栃の実は厚い果皮に包まれており、中の種子は栗に似ています。しかし、栗と違ってサポニン、タンニンなどの苦味成分が含まれており、大変アクが強いため、そのまま食べることはできません。食用はしっかりアク抜きをする必要があります。
用途
食用から薬まで用途は様々
縄文時代には主食としても食べられていた栃の実ですが、現在でも、茶、もち、煎餅など幅広く利用されています。また、食用としてだけでなく、栃の実の成分を利用した石鹸、湿布薬など加工品としても活用されてます。
モチモチの木(栃の木)から作られるもち
あらすじでは述べませんでしたが、作中でモチモチの木から作られるもちはこのように比喩されています。
その実を、こなにして、もちにこね上げて食べると、ホッペタが落っこちるほどうまいんだ。
このもちが栃の実から作られる栃もちです。
栃もちについて
栃もちとは、栃の実をアク抜きしてもち米と一緒に蒸したものです。ほんのりした苦味と栃の実の風味が感じられる素朴な味をしています。食べ方としては餡子で食べたり砂糖で食べたりと、普通のもちと変わりません。
現在は販売されているものが主流
栃もちは、栃の実のアク抜きが大変難しく手間がかかるため、現在の家庭ではあまり作られていません。郷土土産として販売されているものが主流です。山形、栃木、岐阜など各地域で販売されており、きな粉をまぶしたもの、餡子を包んだものなど、その形も様々です。
まとめ
絵本に出た木が実在すると、より絵本の世界が身近に感じられたり、その木に興味がわいたりしませんか。今後栃の木を見かけたときは、ぜひ絵本のモチモチの木と比べてみて下さい。これまでとはまた違った感動を得られるかもしれませんよ。