チングルマ(珍車)の育て方
高山や標高の高い場所に自生するチングルマの育て方のポイントは、夏に涼しい環境で管理することです。日本の夏は高温多湿なのでチングルマを育てるためには環境づくりをすることが必要です。植え付けには水苔植えの方法もあるそうですが、今回紹介する方法は土植えです。植え付けの時期、用土の選び方、病気や害虫について調べてみました。家でチングルマを育てたい!と思う方は参考にしてください。
チングルマを入手できるお店
園芸種としても人気のあるチングルマですが、あまり店頭で見かけることはありません。開花時期が短いため店頭に並ぶことは少ないようです。また開花しているときに店頭に並ぶチングルマは、そのかわいらしい姿からすぐに完売してしまうそうです。入手方法はインターネットで購入できる店を調べましたので参考にされてください。
植え付けの時期
苗は春分の日前後を目安に植え付けるか、秋分の日前後の植え付けが最適です。種をまく際も、実った種をすぐにまく場合9月の中旬から10月に行い、保存している種をまく場合は3月の中旬から4月の上旬にまきます。いずれも夏場の暑い時期を避けることが大切です。高山植物は平地で栽培すると老化が早いといわれますので、栽培する環境の管理をしっかりとしましょう。
開花時期
高山帯の雪田で自生しているチングルマの開花時期は6月の中旬から8月頃です。背丈は10センチ〜15センチくらいの枝先に直径20〜25ミリの白い花を咲かせます。しかし、平地で育てた場合は自生のチングルマよりも開花時期は早くなる傾向です。そのため開花時期は5月中旬〜7月頃となります。
用土
用土選びのポイント
チングルマは枝の乾燥を嫌います。なるべく湿度を保つように栽培するようにしましょう。自生している環境は岩礫地や凸地または湿った野原なので、平地とはさまざまな条件が変わってきます。同じような環境にするために通気性と水もちを考慮しましょう。
基本の土づくり
2〜10mmの鹿沼土をベースに富士砂、桐生砂、山砂系の多孔質の砂を7:3ぐらいの割合で配合した混合用土を使用します。または、市販されている山野草培養土を選びましょう。病気を防ぐためにもなるべく用土は新しいものを使うことをおすすめします。
栽培環境
鉢植えにする場合は横に広がる様に育つため口径がある鉢を準備しましょう。庭植えの場合は日照時間が最低6時間程度は当たり、風通りのよい場所を選びます。日照が短いと生育が悪くなることがあります。自生している環境では日当たりがいい場所に咲いていますが、平地では暑さで弱ってしまいます。特に夏場が暑い地方は涼しく管理できる場所で、西日を避けることが大切です。
鉢選びの基本
植物の成長を見越し、かつ植物に合った鉢の大きさを選ぶことが基本です。花に対して小さすぎる鉢は根詰まりを起こして生育が悪くなります。しかし大きすぎる鉢も生育を妨げてしまいます。花に対して土の量が多くなるため、土が乾きにくく過湿状態になります。また、根は鉢の壁にあたると枝分かれしてたくさんの根ができます。しかし鉢の壁までが遠すぎると根が壁に到達できずに根の張りが弱く生育が遅くなります。
寒冷紗を使って日当たりを調節する
元は日当たりのよい場所に自生する高山植物ですので、日当たりのよさは大切なポイントです。しかし、平地では高山などの標高の高い場所に比べると暑すぎて葉が焼けてしまうこともあります。そのため半日陰などに植えることをおすすめしますが、そのような場所を選べないときは寒冷紗を使って遮光し、日照を調節するようにします。
チングルマの越冬の方法
チングルマは冬の冷たい乾燥した空気は苦手です。自生している雪田では、冬は雪に覆われ乾燥から守られています。平地で育てているチングルマは湿度を保つために落ち葉や水苔を被せて冬の乾燥から守りましょう。また雨が直接当たらないような軒下も活用してください。
害虫・病気
病気は、炭そ病、うどんこ病が見られます。対策として、蒸れを防ぎ風通しをよくすることです。適度な湿度と日当たりを確保する育て方が大切になります。害虫はアブラムシ、ナメクジ、ヨトウムシの食害に注意してください。食害を防ぐには寒冷紗を利用して対策します。また寒冷紗は夏場の強い日光から植物を守ってくれる役割もあるので上手く活用してください。
まとめ
チングルマを探しに山に行こう!
チングルマは山に登る人には馴染みのある花だということですが、一般的にはあまり知られていないのではないでしょうか。この人々を魅了する花は、花期には梅のような可憐な姿をみせ、花後には柔らかな綿毛の風情がある姿で楽しませてくれます。できれば山に登り一面のチングルマの草原を見ることをおすすめしたいです。きっと脳裏に焼きつく光景となることでしょう。
チングルマを育てよう!
山まで行くには時間がない方はぜひ家で育てることにチャレンジしてみてください。うまく育てることができれば毎年、初夏の頃に可憐な花を咲かせます。しかし、高山植物を育てるにはなるべく自生している環境に近づけてあげることが重要なので簡単に育てることはできません。ですが、手をかけて育てたチングルマには喜びもひとしおです。
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出典:BOTANICA