ノアザミ(野薊)とは?花や葉の特徴をご紹介!アザミとの違いは?

ノアザミ(野薊)とは?花や葉の特徴をご紹介!アザミとの違いは?

ノアザミは野原や山などで昔から夏頃よく見られ、ほかのアザミの仲間と見分けるのが難しい植物です。しかしノアザミにはほかのアザミはない特徴が見られます。そこで今回は、ノアザミの花や葉の特徴や名前の由来、ほかのアザミとの違いなどのついてご紹介します。

ノアザミ(野薊)とは?

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ノアザミは、キク科アザミ属の多年草の植物です。50~100cmほどに成長し、初夏の頃から田んぼのあぜ道や山などでハリネズミのような赤紫色の花が見られるようになるノアザミは、アザミの中でも最もよく見かける種類です。アザミは世界中に250種以上、日本に生息しているものだけでも100種以上あり専門家でも見分けるのがとても難しいと聞く植物です。しかしノアザミにはほかのアザミにはない特徴がいくつかあり、覚えておくと簡単に見分けることができます。そこで今回は、ノアザミの花や葉に見られる特徴や花が咲く時期などについてご紹介していきます。

ノアザミの分布

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ノアザミは日本に昔から生息している種類で、本州・四国・九州にかけて広い範囲に分布している植物です。日本以外も朝鮮半島をはじめ中国・台湾・ロシア・ベトナムなど広範囲に分布しています。日本では山・野原・河川敷・田んぼのあぜ道などでよく見られ、比較的平らな土地を好む傾向にあります。また、寒さや乾燥に強くほかのアザミと比べて広範囲に分布していることが特徴です。

ノアザミの花の特徴

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総苞がねばねばするのが特徴

ノアザミ花は小さな筒状花のかたまりで4~5cmほどの大きさになり、赤紫や白の花を咲かせます。ノアザミの花の付け根部分にある総苞(蕾を包むように葉が変化した部分)は丸く幅2~4cmほどの大きさで、常に粘液を出してねばねばとしているところがほかのアザミにはない特徴です。花が咲き終わった後にはタンポポのような綿毛になり、種を広い範囲に拡散させます。また、ノアザミは他のアザミとも交配することができるので、各地でその土地に生えているアザミとの雑種が見られたり、時には新種のアザミが発見されることもあります。

ノアザミの葉の特徴

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葉の上面に無数のとげが生えていて花が咲いても枯れない根生葉

ノアザミには大きく分けて2種類の葉が生えます。1つは根生葉(根際から生える葉)で、花が咲く時期にも残るのがノアザミの特徴です。もう1つは茎葉(茎の中部から生えてくる葉)で、基部(葉の付け根)が茎を抱くように生えてきます。どちらの葉も羽状に裂けていて、葉の縁と上面に無数のとげが生えています。ノアザミの新芽は食用になり、天ぷらや油炒めにするとおいしく食べることができます。

ノアザミの花が咲く時期

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ノアザミの花が咲く時期は5月から8月の春から夏頃で、俳句では夏の季語として「夏薊(ナツアザミ)」と呼ばれたりもしています。生える場所によっては10月頃まで花を咲かせたと聞くこともありますが、春から花を咲かせるのがノアザミの特徴でアザミの仲間の中で最も早く咲くことがノアザミの特徴です。

ノアザミ(野薊)とノハラアザミ(野原薊)はどこが違う?

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ノハラアザミはノアザミとよく似ていて間違えられることの多いお花です。

アザミの仲間の中で1番よく見られるのはノアザミですが、次によく見られるのがノハラアザミです。その名の通り野原でよく見られるアザミで、咲く場所だけでなく姿形もノアザミとよく似ているため間違える人も多い種類です。ここでは、ノアザミとノハラアザミを区別するためどのような違いがあるのか比較してご紹介します。

ノアザミとノハラアザミの違い

名前        ノアザミ      ノハラアザミ
分布 本州・九州・四国
韓国・中国・台湾・ベトナム・ロシア
本州(中部地方より北)
開花時期 5月~8月 8月~10月
花色 赤紫・赤・白 赤紫
花の特徴 小さな筒状花が集まったもの
頭花は4~5cmで茎の先端に上向きに咲きます
小さな筒状花が集まったもの
頭花は4~5cmで茎の先に2、3個集まって上向きに咲きます
総苞 幅は2~4cmの球体
粘液を出してねばねばしています
総苞片は直立していて表面はなめらかに見えます
幅は1.5~2cmの鐘形
くせ毛が多く粘液は出ていません
総苞片は短く真っすぐ斜め上を向いていて先が鋭くなっています
葉の特徴 根生葉は花が咲いても残ります
茎葉やや小さく葉の上面や縁に多くのとげがあります
根生葉は花が咲いても残ります
茎葉は上に行くほど小さくなり葉の先は鋭くとがっています

ノアザミの名前の由来

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ノアザミという名前はその名の通り「野に咲くアザミ」という意味が由来になっています。日本に生育している100種類以上のアザミの仲間の中でもアザミというと「ノアザミ」といわれるほど昔から日本人の暮らす身近な場所に生えて親しまれてきたお花です。またノアザミは、夏頃に花を咲かせることから俳句の夏の季語にもなっています。

アザミ(薊)の名前の由来

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アザミの名前の由来はとげに驚き興ざめしてしまうという意味の「あざむ」

「アザミ」という名前は、地域によっていろいろな由来があります。アザミと聞くととげを連想してしまいますが、やはり名前の由来にもとげが大きく関わっています。最も一般的な由来は、アザミの花がきれいなので摘もうとした時にとげが指に刺さって驚くことから、「驚き興ざめしてしまう」という意味の古語「あざむ」という言葉が語源になっているというものです。そのほかにはアザミの花の色が紫と白と「あざみたる(交じり合っている)」ことや、沖縄の八重山地方の方言でとげのことを「あざ」と呼び、とげの多い木という意味の「あざぎ」という言葉が由来となっているともいわれています。

アザミの学名は静脈瘤にきく植物に似ていたことが由来

アザミの学名は「Cirsium japonicum」といいます。「Cirsium」はギリシャ語で静脈腫を意味する「cirsos」が語源となっています。古代ギリシャの医師ディオコリデスが静脈腫の症状にきくキルシウムという植物を使って治療をしており、アザミがその植物に似ていたことからこの名前が付けられました。キルシウムとアザミは全く違う植物で、アザミには静脈腫にきく成分はありません。

まとめ

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アザミの代名詞ともいえるノアザミは、野原や山の緑が多い場所で春から夏にかけて鮮やかな赤紫の花を咲かせる植物です。アザミと聞くと鋭いとげを思い出して苦手だと思う人もいるかもしれませんが、濃い緑の中に凛としたたたずまいで咲く姿は見る人の目を引き癒される人が多いのも事実です。最近では田んぼや空き地が減ってきて身近な場所でアザミを見なくなったと聞くことが多くなってきましたが、夏に登山やピクニックなどに出かけた時には鮮やかなノアザミを探してみてはいかがでしょうか?

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