クサネムが厄介者として扱われる理由
近年、クサネムは特に水田の近くに多く発生していると報告されています。米の収穫の邪魔になる、米の等級が落ちるなどの問題を引き起こす、田んぼの厄介者として扱われるクサネムは、農家にとって大きな問題になることも少なくありません。なぜクサネムが嫌がられるのでしょうか?その原因を探ってみました。
クサネムを駆除しなければならない理由①
なぜクサネムは駆除したい雑草として扱われるのでしょうか?もっとも深刻な問題は、クサネムの種子が籾に混入した場合です。クサネムの種子は大きさや形が米粒とよく似ているため、間違って米に混入することで、米の等級が落ちる原因となってしまうのです。
米の等級が落ちる理由
クサネムの種は米粒によく似ているので、種子が玄米に混入した場合、見分けがつきにくく、目視で確認しづらいため、選別するために手間がかかります。種子が米に混ざったまま炊飯すると、クサネムの種子は黒く変色し、そこで混入が発覚します。
クサネムを駆除しなければならない理由②
水田で大きく成長したクサネムは稲刈りの時期になると茎が木質化し硬くなってしまいます。硬くなったクサネムはそのまま放置しておくと、作業の効率を落としたり、コンバインなどで刈り取ったときに、コンバインの刃を傷めてしまうなどの問題につながることがあります。
クサネムの発生しやすい場所と原因
どんな場所にクサネムは発生しやすいのでしょうか?耕作放棄地や雑草管理の行き届かない荒れた土地での発生増加が確認されている他、要排水路の整備された場合には、増殖した種子が流れたり、作業に使う機械類に付着し、拡散することでクサネムの発生が増加するなどの報告があります。
クサネムの防除対策と方法
玄米にクサネムの種が混入してしまうと取り除くために大変な手間や時間がかかるため、田んぼの周辺のクサネムの発生は農家にとっては大変迷惑なものです。田んぼの厄介者、クサネムを大量に発生させないための対策や駆除方法について解説します。
クサネムの発生を抑える方法①
クサネムを防除するために様々な対策が講じられています。多くの場合、農家が収穫前に手作業で取り除いているのが現状です。発生を抑えるもっとも簡単で重要なことは、早い時期に取り除くことです。数が数えられる本数の間の時期に、また種子が落ちる前までに手で摘み取ります。
クサネムの発生を抑える方法②
クサネムの種は潜水状態にすれば、土の中に沈没した種の腐敗や芽や根の成長を抑制することができます。田んぼには水を張るので、田面(地面)の露出を避けます。漏水を防ぎ、水をきちんと張っておくと発生の防御につながります。土を凸凹をなくし、平らにならすために、耕起や代掻きを丁寧に行うことが重要です。
クサネムに有効な除草剤の使用方法
クサネム(草合歓):マメ科クサネム属
— jintan (@jintan1988) September 8, 2018
葉がネムノキに似ているのが名前の由来
早くも種子が出来はじめていました
キタキチョウの幼虫の食草の一つ
2018.08.28#クサネム#渡良瀬遊水地#栃木市 pic.twitter.com/GJeaAQapAR
クサネムが手作業で抜き取ることで防除できなくなった場合は、どのように対処すればよいのでしょうか?水田にクサネムが残ってしまうと収穫に大きな影響を与えてしまいます。発生初期までの防除を行っても残ってしまったクサネムを駆除する方法や除草剤の使い方を解説します。
初期段階での防除の重要性
発生の初期段階で防除を励行することがもっとも大切です。というのも、クサネムは、通常の除草剤で制御することが難しい植物なのです。クサネムは秋の収穫に大きく影響を与えるものなので、初期段階の防除で残ってしまった場合は、除草剤を適正に使用します。
除草剤の使用にあたっての注意点
水稲作にとって有害な雑草を取り除く作業は、大変な重労働です。その労力を軽減するために、除草剤の効果も年々高くなっています。しかし、効果の高い除草剤も正しく使用しなければ、能力をしっかり発揮できない、効果が得られないことになります。
除草剤を適切に使用するために
効果の高い除草剤でも、間違った使い方をすると、周辺の環境に影響を与えるなどの新たな課題が発生することもあるので、使い方をしっかり理解し、適正な使用を心掛けましょう。取扱説明書やラベルを読んでから使用することをおすすめします。
除草剤を使う時期
どのような除草剤にも適正な使用時期があります。除草剤が持つ能力を最大限に発揮できる時期に使わなければ、期待した効果が得られず、クサネムが残ってしまうこともあります。確実な除草効果を得るためには、クサネムの発生状況を把握して、適格な時期を逃さず使用します。
除草剤の効果を発揮させるための条件
安定した除草剤の効果を出すためには、田面を均平にして、適正な水深を保つことが必要です。土壌が凸凹して一部分露出したり、水深が浅すぎる場合は、除草剤の効果が十分に得られないことがありますので、耕起や代かきを丁寧に行うことが求められます。
除草剤のその他の注意点
除草剤散布の時期には、定められた期間内は水の出入り口をしっかり止めて、水を抜いたり、流しださないように気を配ります。これは環境への影響を回避するためにも重要です。さらに、水稲の植え方が適正であることも除草剤の効果を発揮するためには大きなポイントです。
まとめ
今回は水田雑草としてのクサネム(草合歓)の特徴、なぜクサネムは水田の近くに発生するのか、稲作にどんな害を与えるのか、発生の防除方法や残ってしまった場合の駆除方法をご紹介してきました。クサネムが農家の敵と呼ばれる理由や農家さんのご苦労が理解できますね。
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出典:写真AC