ヤマハハコとは?
ヤマハハコ(山母子)は、高山に生育しているキク科ヤマハハコ属の多年草です。9月~11月に開花時期を迎えます。春の七草の1つであるオギョウ(別名:ハハコグサ)に似ていることから「ヤマハハコ」と名付けられたといわれています。また、ヤマハハコは、植物生殖器官が雌の株と雄の株に分かれる雌雄異株の植物です。
ボタニ子
ボタ爺
イチョウの木も同じで、雄木からの花粉を雌木が受粉して、雌木が銀杏の実をつけるのじゃよ。これと同じようなことが、ヤマハハコにもいえるのじゃな。
ヤマハハコの特徴
秋に咲くヤマハハコにはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、各部分の特徴を見ていきます。
花
ヤマハハコの学名は、「真珠」を意味するギリシャ語が元になっているといわれています。その意味のとおり、ヤマハハコのつぼみは、高山に咲く純白の真珠のようにも見えるでしょう。つぼみは、真珠のように白く輝いて見えますが、実は白く見えていた表の部分は、黄色の筒状花を包んでいる総苞片(そうほうへん=つぼみを囲むように変形た葉)です。総苞片は、開花期に花の基部として花びらのように見えます。この点も、ヤマハハコの特徴といえるでしょう。
葉や茎
葉の幅が6mm~15mmと細いヤマハハコの葉の表面は、無柄でつやのある全緑色です。葉の裏は緑色ではなく、綿毛におおわれて灰白色です。また、長さ約30cm~70cmの茎も、同じ灰白色の綿毛におおわれています。
ヤマハハコの仲間
ヤマハハコに類似する種類には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、2つの種類について見ていきます。
ホソバヤマハハコ
ヤマハハコが長野県と石川県以北に生育するのに対して、ホソバヤマハハコは西日本に分布しています。葉の幅は2mm~6mm、茎の高さは40cm~50cmぐらいです。葉の表裏と茎には白い細かな綿毛があるのが特徴です。ホソバヤマハハコはヤマハハコの変種だといわれています。
カワラハハコ
河原に8月~10月に咲くカワラハハコグサは、ハハコグサに似ていることが名前の由来です。4月~6月に咲くハハコグサの巨大版といわれ、北海道から九州まで分布している日本固有亜種です。茎の高さは30cm~50cmで、葉は互生しています。葉の幅は1mm~2mmで、ホソバヤマハハコよりさらに細いのが特徴です。
ヤマハハコの見分け方
ヤマハハコに対してホソバヤマハハコは、分布する地域や葉の幅が違います。ヤマハハコにそっくりなカワラハハコはさらに葉幅が狭く、分枝するのが特徴です。それぞれの特徴を把握して見分けてみましょう。
ハハコグサとの違い
ヤマハハコの名前の由来にもなったハハコグサはキク科ハハコグサ属の越年草です。双方を見分けるときは、花の色の違いに注目しましょう。ハハコグサは黄色の花、ヤマハハコは総苞片があるため白色の花に見えます。
ヤマハハコの育て方
ヤマハハコの真珠のようなつぼみは、ドライフラワーやリースに使われます。フラワーショップなどで販売されていることをご存知でしょうか。実は、自宅の庭でもヤマハハコを育てることは可能です。
家での育て方とは
ヤマハハコを自宅で育てるときは、成長しすぎに注意です。大きくなりすぎると見栄えがよくないため、小さめの鉢に植えるなどの工夫した育て方をおすすめします。日当たりのよい場所を好みますが、暑さを嫌います。季節や地域によっては涼しい場所に移動させてください。また、定期的な薬剤散布は病気や害虫から守るために必要です。
まとめ
ヤマハハコのつぼみは、真珠のように美しいと人気があります。真珠のように見えていた部分の正体は、総苞片という葉が変形したものがあることがわかりました。行楽の際にヤマハハコを見つけたら、ぜひ観察してみてください。
雌雄異株?なんか難しそう!