スイートマジョラムの育て方！植え付けから収穫までの管理のコツは？

スイートマジョラムは、シソ科ハナハッカ属の半耐寒性・半耐暑性で多年草のハーブです。学名はOriganum majorana、別名には和名のハナハッカの他にマヨナラ、ノッテッド・マジョラム、マジョラムがあります。オレガノの仲間で、料理用のハーブやアロマセラピーとしても人気のハーブです。

スイートマジョラムの開花時期は6～7月頃と短期間ですが、主に葉や茎を収穫して使う場合には年中収穫が可能です。草丈は20～50cm程になり、ほんのり赤みのある茎を分岐させ、小さな球状の蕾をたくさん付けます。うっすらと綿毛で覆われたシルバーグリーンの蕾（苞）から小さな白い花を咲かせます。

スイートマジョラムには、精神的な安堵感や心のヒーリング効果だけでなく、身体的な痛みや不調、緊張を緩和させ、消化・呼吸器官を癒やす効能があります。スイートマジョラムの香りには、温かみと優しい甘味、またハーブならではの清涼感があるのが特徴で、心身ともにリラックスさせてくれるのが魅力です。

花、葉、茎を収穫して、食用にも薬用にもアロマにも利用できるスイートマジョラム。基本的には常緑性のハーブですが、冬の寒さに弱いので、寒冷な地域では室内での管理が必要になります。この他にも、スイートマジョラムが丈夫に育つためのポイントをご紹介していきましょう。

原産地を地中海沿岸・北アフリカとするスイートマジョラムは、日当たりがよく水はけのよいアルカリ性の土壌を好みます。乾燥気味の環境を保つ必要があるため、日本の梅雨や夏の高温多湿の時期には、より風通しのよい場所での管理が必要です。反対に冬の時期は、よく日の当たる暖かい場所か、鉢植えにして室内の窓辺で栽培すると良いでしょう。

水はけがよく、弱アルカリ性の土作りをする必要があります。培養土に少量の苦土石灰を加えた用土、あるいは赤玉土6：腐葉土4に少量の苦土石灰を加えた用土を用意しましょう。苦土石灰は、植え付けの約1～2週間前によく混ぜておきましょう。また、ハーブ用の培養土を使うと簡単でよいかもしれません。

土作りの際に、緩効性の肥料をよく混ぜ込んでおきましょう。スイートマジョラムの株の生長を観察して、元気に育っているようであれば、追加で肥料を足す必要はありません。もし栄養が必要そうであれば、液体肥料を数カ月に1度与えてみましょう。しかし与え過ぎると、葉の香りと風味を損なうので慎重にします。

スイートマジョラムは加湿に弱いので、水やりは控えめに行いましょう。加湿が続くと株が蒸れたり、根腐れを起こしたりしてしまいます。乾燥気味に管理することを心掛けて、鉢植えの場合は土の表面が乾いて数日経った頃にたっぷりと水をあげる程度がちょうどよいでしょう。地植えの場合は自然に任せておき、特に水やりの必要はありません。

スイートマジョラムは、種まきか苗植えから栽培すると育てやすいでしょう。種まきも苗植えも春か秋に行いますが、苗の流通は、3～6月の春頃に多く見られます。植え付けは、他の植物の陰になったり、風通しを妨げられたりする場所を避けて、花壇の手前などにしましょう。

種まきは3～4月か9月頃に行います。スイートマジョラムの種は好光性種子なので、種まき後の覆土は1cm程度にとどめましょう。1～2週間経つと発芽しますが、生長は緩やかで収穫できるようになるまでには2.3ヵ月程度かかります。

4～6月か9～10月頃に購入した苗や種をまいた苗が10cm程生長したら、株間20～30cm程あけて定植します。株がとても細いので、定植時に傷ついたり折れたりしないように注意して、優しく植え付けましょう。地植えにする場合、盛り土やレイズベッドを作るなどして、高植えにするとよいでしょう。

スイートマジョラムは開花直前の香りが特によいので、5月初旬を狙って収穫を待ちましょう。茎の長さ半分程の位置で切って収穫します。大株になれば、株元5cm程残して剪定・収穫できます。まだ子株の場合には、茎を残して葉や開花前の蕾だけを優しくしごき取るように収穫することをおすすめします。

スイートマジョラムは、日本の梅雨、夏の高温多湿、冬の霜への対策とケアが必要なハーブなので、苗の元気な生長のために毎日の観察やお手入れが大切です。また摘心や剪定をすることで株の形を整え、風通しをよくすることができます。

苗が若い頃に長く伸びた茎の先端を摘心することで、脇芽がよく伸びて株が充実します。冬に室内で栽培をしていると徒長しやすくなるので、こまめにカットしてバランスを整えましょう。

スイートマジョラムは、枝葉の過密による蒸れや風通しの悪さを防ぐために、ほぼ年中収穫を兼ねた剪定が必要です。よく生長した株の大きさに合わせて半分から3分の1程切り戻すことで、開花や結実による栄養の消耗を防ぐ効果も得られます。またこの剪定によって、スイートマジョラムが苦手な夏場や冬場を乗り越えやすくなります。

地植えの場合、スイートマジョラムの周りの植物が賑わい出して、日当たりや風通しの影響を受けるようであれば、苗を別の場所に植え替えることをおすすめします。鉢植えの場合は、室内での冬越しに備えて10月までにひと回り大きい鉢に植え替えましょう。

病気はほぼありませんが、株の蒸れによる「灰色カビ病」になる場合があります。害虫被害も少ないですが、乾燥し過ぎると「ハダニ」が付くことがあります。どちらもスイートマジョラムが好む環境を守ることで防げるので、日ごろの観察と管理が重要です。

スイートマジョラムの増やし方には、種まき、挿し木（挿し芽）、株分けがあります。自家採取の種で増やすことも可能ですが、香りが落ちる傾向があるのでおすすめできません。今回はできるだけよい香りの株を選んで行う、挿し木と株分けでの増やし方を紹介します。

春によく伸びた新しい茎を10cm程の長さでカットして、茎の下半分の葉を丁寧に落とします。清潔な挿し木用土か赤玉土（小粒）に優しく差し込んだ後、たっぷりと水を与え、根が張るまでは日の当たる日陰で管理します。秋も同様に新しい茎を使って、挿し木苗を作ることができます。

スイートマジョラムの株は、2～3年経つと茎が木質化してくるので、3～5年を目安にして、新芽が出てきた春か秋に株分けを行います。2～3株に優しく分け、古い根は丁寧に取り除いて新しい場所に定植します。この株分け作業によって、株の更新をはかることができるのです。

よく収穫できて、日常に取り入れやすい人気ハーブの栽培ポイントは伝わりましたでしょうか。ぜひご家庭で育てて収穫して、あなたの健康サポートに役立ててみて下さい。スイートマジョラムが好む環境をよく理解して、土作りや水やり、管理場所に注意しながら丈夫に育ててみて下さいね。