チューベローズ(月下香)とは
チューベローズ、別名月下香の花はスイセンに似た形をしています。7月~9月の暑い時期に開花し、色は清涼感のある乳白色です。夜になると強い香りを放つことも特徴で、観賞用としても香水の香料としても重宝します。ハワイではレイの材料にもされている、とても人気のある花です。メキシコが原産という説が有力ですが、野生種が発見されていないため実際のところは定かではありません。
名前 | チューベローズ |
別名 | 月下香(ゲッカコウ) |
科属名 | キジカクシ科ゲッカコウ属 |
原産地 | メキシコ(諸説あり) |
開花の時期 | 7月~9月 |
花の色 | 白色、ピンク色、黄色など |
特徴 | 豊潤な香りを持つ、一重咲きと八重咲きがある |
名前の由来
チューベローズ(tuberose)はラテン語で「膨らんでいる」という意味で、球根が丸いことにちなんだ花名です。ローズとついていますがバラの花とは科属名もまったく異なり、関係性はありません。また、別名の「月下香」は、月明かりのもとで強い香りを放つという特徴に由来しています。中国では「ワンユイシャン(晩玉香)」「イエライシャン(夜来香)」といったあでやかな名前でも知られています。
チューベローズの花言葉
チューベローズの花言葉は「危険な関係」「危険な楽しみ」そして「冒険」です。美しい花ですが、贈りものとしては相手を選ぶ花言葉ですね。いずれの花言葉も、夜が深まるにつれて強くなるエキゾチックな香りが、男性を誘惑する女性を想像させることが由来でしょう。また、チューベローズの花は2輪ずつ並んで開花します。その様子が寄り添う男女のように見えることも、官能的な花言葉がつけられた理由のひとつです。
チューベローズの品種
花の美しさと香りのよさから人気の高いチューベローズですが、出荷数はあまり多くありません。栽培やアレンジメントに挑戦したいと思っている方は、球根や切り花を見つけたときが買いどきだといえるでしょう。流通の傾向としては観賞用の八重咲き品種が多めで、花色は白色とピンク色がほとんどを占めます。人気の品種の一部は、以下の表の通りです。
品種名 | 特徴 |
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ピンクサファイア |
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スーパーゴールド |
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パール |
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センセーション |
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チューベローズと香水
チューベローズはその香りの強さから、香料として多くの香水やエッセンシャルオイルに利用されています。その香りの特徴や効能、香水としての使われ方などについて詳しくご紹介します。
チューベローズの花の香り
チューベローズの花はとても甘い香りで、暖かい地域での栽培が盛んなことも影響してか、どこかエキゾチックな印象を抱かせます。ほかの花、特にジャスミンとの相性がよく、エッセンシャルオイルや香水の香料としても多用されることが特徴です。また、精油には催淫作用(セクシーな気持ちになる作用)があるといわれています。フランスでは母親が、年ごろの娘に「夕方になったらチューベローズの花畑には近づかないこと」ときつく言って聞かせるという逸話があるほどです。
高いリラックス効果も発揮
扇情的なイメージが強いチューベローズですが、実は高いリラックス効果を持つ香りでもあります。精神的に疲れているときや、緊張しているとき、ストレスが溜まっているときなどに使うと、開放的で晴れやかな気持ちにしてくれる作用があるといわれています。ネガティブな心を吹き飛ばすために、甘くてやわらかなチューベローズの香りをまとうのも素敵ですね。
香りは香水としても人気
20世紀のはじめごろ、フランスでは出自や職業に合わせてまとう香りを変えていたとされています。マリー・アントワネットをはじめとした良家の淑女は、バラやすみれの控えめで上品な香りが定番。対して高級娼婦は、より直接的なはっきりとセクシーな香りで存在をアピールしていました。その筆頭として使われていたのが、「花香の中でも最も官能的な香り」チューベローズです。100年以上も昔から、チューベローズは誘惑の香りとして人気があったのです。
トップノートとして真っ先に香る
チューベローズはあまたの有名店の香水で、トップノートとして使われていることが多い花です。トップノートとは香水をつけてすぐ、20分くらいまでの間に感じる香りのことで、「香水の第一印象」ともいわれます。香水全体の雰囲気を決める重要な香りであるとともに、まとっている本人が最も強く感じられるのもこのトップノートです。
ボタニ子
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