ハクサンチドリ(白山千鳥)とは?
ハクサンチドリ(白山千鳥)は、高山の草原や湿り気のある場所に生息する山野草です。高山のランの仲間で、尾瀬の湿原を美しく彩る花として人気があります。涼しい場所を好む植物のため、暖かい平地で育てることは難しいです。しかし、育て方に気をつければ華やかな山野草を家庭で楽しめます。この記事では、ハクサンチドリの概要と特徴、花言葉や育て方と似た花について解説します。
基本情報
学名 | Dactylorhiza aristata |
科名 | ラン科 |
属名 | ハクサンチドリ属 |
和名 | ハクサンチドリ(白山千鳥) |
分布 | 北海道~本州中部以北、アラスカ、朝鮮半島 |
草丈 | 10~40cm |
花期 | 6~8月(高山)、5~6月(栽培品) |
花色 | 紅紫・薄紫・白 |
名前の由来
ハクサンチドリは、石川県と岐阜県にまたがる白山で最初に発見され、花の付き方が千鳥の飛ぶ姿に似ていることから名付けられました。白山は標高2,702mの高山で、ハクサンチドリはこのような標高の高い山に生息する山野草です。また、酔っ払いがよろよろと歩く姿を「千鳥足(ちどりあし)」という言葉で表すことがありますが、千鳥はこの言葉の由来になった野鳥です。
ボタニ子
「千鳥格子」も千鳥が連なって飛ぶ姿に似ていることから付けられました。
ボタ爺
夏の季語として「白山千鳥」や「千鳥草」も使われておるぞ。いろいろな名前の由来になっている野鳥じゃな。
花言葉
ハクサンチドリの花言葉には「美点の持ち主」「素晴らしい」「陽気」という明るい意味の言葉と、「間違い」「誤解」という悪い意味の言葉があります。華やかな花の様子から明るい意味がつけらたと考えられますが、一方、誤解などの悪い意味もあり贈り物にはふさわしくない花です。
ハクサンチドリの特徴
ハクサンチドリは、高山のやや湿った草地に生息しています。小さい鳥の形に似た花をたくさん咲かせ、尾瀬に夏の訪れを告げる花です。草に埋もれていても鮮やかな紅紫色がとても目立ち、すぐに見つけられます。ここでは、ハクサンチドリの花や葉、地下茎の特徴について紹介します。
花
ハクサンチドリは、茎の上部に紅紫色の小花を10輪ほど付けます。千鳥が羽を広げたような花びらで、鋭く尖っているところが特徴です。花の色は濃いものから薄いもの、また白い花の変種「シロバナハクサンチドリ」が知られています。開花期は、高山で自生しているものは6~8月、栽培品は5~6月です。花の後には実ができ、熟すと下部が裂けて種子が飛び散ります。
葉
葉は5~15cmの細長く先端が尖った形で、3~6枚が互い違いに生えています。草丈は10~40cmほどですが、自生のものには茎が50cm近く伸びるものもあります。鉢植えで栽培したものは、葉が地際に集まり、草丈が20cmほどしか伸びません。生育場所によって草丈の伸び方に違いが出ます。
地下茎
花が終わった後、秋になると葉が枯れて冬の間は地下茎の状態で休眠し、春になると再び芽を出します。地下茎は、げんこつのような丸い塊根をしています。学名の「Dactylorhiza」は、ギリシャ語のダクロティス(指)とリザ(根)に由来し、この塊根の様子から名付けられました。
ボタニ子
次のページでハクサンチドリの育て方と似た花について解説します。
出典:写真AC