モロヘイヤの概要
モロヘイヤは夏~秋に収穫される葉物野菜です。粘りが特徴で、たたきやおひたしで食べるのがおすすめです。多糖類やビタミンB群、C、Eなどが豊富な健康野菜として知名度を上げてきました。
モロヘイヤ栽培は簡単
春から初夏にかけて、園芸店ではモロヘイヤの種や苗が並びます。たくさん育てるなら種から育苗するのがおすすめです。数本だけ育てるなら、苗で買ったほうが育苗の手間が省けます。
強靭で栽培しやすい
モロヘイヤは高温に強く、夏の炎天下でも元気に育ちます。土を選ばず病気にもかかりにくいため、比較的育てやすい野菜です。春に植えれば、夏を乗り越えて秋口まで収穫できるでしょう。
毒に注意
モロヘイヤは種と茎に毒があり、家畜が中毒死した事例もあります。育てるときは種や硬くなった茎を食べないように気をつけましょう。実がつかないように、花が咲く前に摘み取るのも有効です。
長崎県の事例では,黒毛和種の繁殖農家でモロヘイヤの実のついた枝を牛に給与したところ,食欲不振,起立不能,下痢等の症状を呈し,3頭が死亡したというものです(濱口芳浩ら 1998.牛のモロヘイヤ(Corchorus olitorius L.)種子中毒.日獣会誌.51:407-410.).
https://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_poisoning/jute.html
モロヘイヤの一斉収穫栽培法で省力化
モロヘイヤは収穫が大変
モロヘイヤはどんどん大きくなりますが、食べられるのは柔らかい先端部分だけです。硬くなった茎には毒があるため、収穫には気を遣います。特に株が大きくなると、緑色で柔らかい先端部分だけ摘み取るのは、なかなか大変な作業です。
ボタニ子
なんとか効率よく収穫できないかな。
モロヘイヤの一斉収穫栽培法
モロヘイヤ収穫の省力化のテクニックとして、一斉収穫栽培法というものがあります。一斉収穫栽培方とは、茎の先端を逐次摘み取るのではなく、株元から一斉に刈り取ってしまう栽培方法です。
一斉収穫栽培法では、茎が地面から20cmくらいまで伸びた時点で、根元から一斉に刈り取ります。根元に芽を残しておけば新しい茎が生えるため、また20cmくらいで一斉に刈り取りましょう。
ボタニ子
この方法なら、株の形がスッキリして収穫しやすいね。
ポイントは株を大きくせず、茎全体が柔らかいうちに収穫することです。ただし株が小さいままなので収穫量が減るかもしれません。そこで今回は、この一斉収穫法を実際に試して収穫しやすさ・収穫量・そのほか気づいたことなどを紹介します。
実際にモロヘイヤを栽培
実際にモロヘイヤを栽培して、一斉収穫法と通常の逐次収穫を比べてみましょう。5月下旬、同じ育苗状態の苗を6株定植しました。土や肥料、水やりなどの条件は揃えて、高さ20cmくらいになるまでは収穫せずに育てます。
半数の株で一斉収穫
定植後に化成肥料を与え、土が乾いてから水やりをして育成したところ、2週間で高さ約20cmになりました。ここまで育ったら、まだ根元の茎がやわらかいうちに一斉収穫です。全ての株を収穫すると通常の収穫方法と比較できないため、半分の3株をランダムに選んで収穫しました。
ボタニ子
残りの半分の株は、次回以降のタイミングで収穫するよ!
一斉収穫するときは、また新しい芽が生えてくるように根元の芽を残しておきましょう。収穫後はまた6株とも同じように肥料を与え、水やりをして育成しました。
栽培を続け2回目の収穫
2週間育てて再び収穫しました。今回からは通常の収穫方法の株も、やわらかい茎を逐次収穫していきます。株は高さ1mくらいに茂っていますが、茎がどんどん硬くなるため食べられるのは先端だけです。
ボタニ子
やわらかい茎を探して摘むのは大変だね。
一方、前回一斉収穫した株も新しい茎が伸びました。通常方法より小さいですが茎の成長は均一で、根元から適当に刈り取るだけで柔らかく長さの揃った茎が得られます。刈り取ったあとは芽が弱らないよう、付着した土を落としてこまめに水やりをしましょう。
収穫量は通常方法に軍配!
土が乾いたら水やりをして、2週間に1回収穫して肥料を与えるというサイクルを続けたところ、モロヘイヤは病気になることもなく成長しました。8月までに収穫した茎の重さ(生の状態)を比べたところ、1株あたりの収穫量では通常方法に軍配が上がりました。
ボタニ子
一斉収穫した株は、小さいままだったもんね。
一斉収穫栽培法のメリット
収穫量は少なかったものの、一斉収穫法のほうが茎全体が柔らかいうちに刈り取るため、収穫は圧倒的に楽です。さらに茎が密集しないので風通しがよくなるというメリットもありました。
ボタニ子
風通しがよくなると、病気にかかりにくいよね!
モロヘイヤ栽培では一斉収穫がおすすめ
モロヘイヤの株が小さく柔らかいうちに根元から一斉収穫することで、収穫を省力化できます。根元の芽を残しておけばまた茎が伸び、繰り返し収穫も可能です。ただし収穫量は減るため、植える本数を増やしてカバーする工夫をしましょう。
一斉収穫のメリット
- 根元からバッサリ切るだけなので簡単
- 茎が込み合わないので風通しが良くなり、病気や虫を予防
一斉収穫のデメリット
- 収穫量が減る
出典:著者撮影