大葉の特徴
大葉は「シソ科シソ属」に分類される植物で、中国が原産の一年草です。さわやかな芳香が特徴で、別名「紫蘇(しそ)」とも呼ばれています。赤紫蘇や青紫蘇などさまざまな種類があり、育て方が簡単なため家庭菜園にも人気の植物です。
特徴①香り
大葉は、清涼感のあるさわやかな香りが特徴で「日本のハーブ」とも呼ばれています。大葉の独特な香りは「ペリルアルデヒド」という、シソ科の植物に含まれる有機化合物によるものです。ペリルアルデヒドは、抗菌作用や防腐効果、食欲増進効果などが期待できます。
特徴②色
大葉の葉が両面とも緑色をしている品種が「青紫蘇」、赤紫色や紅色をしている品種は「赤紫蘇」に分類されます。青紫蘇は、細かく切って薬味として使用したり、天ぷらにしたりしてもおいしく食べられるのが魅力です。赤紫蘇はアクが強いのが特徴で、梅干しや漬物などに利用されています。また、乾燥させた赤紫蘇を粉末状にしたふりかけが「ゆかり」です。
大葉の正式名称は「青紫蘇」
大葉の正式名称は「青紫蘇」ですが、市場に出回る商品名として「大葉」が使われています。そのため「大葉」も「青紫蘇」も同じ植物です。また、葉の表面にシワがある品種は「縮緬紫蘇(ちりめんじそ)」と呼ばれ、赤縮緬紫蘇や青縮緬紫蘇という名前で流通しています。
大葉の栽培時期カレンダー
季節ごとにすること
春・初夏にすること
大葉を家庭菜園で栽培する場合は、春〜初夏にかけて種まきを行います。種から育てる場合は、発芽適温が25℃〜30℃のため、温暖地の場合は春でも種まきができますが、寒冷地の場合はしっかりと気温が高くなってから種まきするのがポイントです。地植えの場合は、畝作りや土壌改良をしておきましょう。
夏にすること
初夏〜夏にかけては、苗の成長に合わせて間引きや追肥を行いましょう。間引いた葉は間引き菜として料理に使用したり、挿し木で増やしたりします。大葉は耐暑性が強く、収穫時期の6月〜9月にかけて次々と葉をつけるため、こまめに収穫してください。また、葉が茂ってくると病気や害虫被害を受けやすくなるため、この時期はしっかりと病害虫対策が必要です。
秋・冬にすること
大葉は一年草に分類される植物のため、収穫が終わると枯れてしまいます。しかし、とう立ちした株から種が採取できるので、来年のために種を採取しておきましょう。冬越しさせる必要はないため、種を採取したら株ごと抜き取っても構いません。庭に植えっぱなしにしておくと、こぼれ種から翌年の春に芽が出てきます。
大葉の育て方【栽培環境】
地植え
大葉は、庭で地植えにしても育てられます。庭で育てる場合は、ほかの植物や建物の影になるような場所で管理しましょう。日当たりがよすぎる場所に植え付けると、葉が硬くなり食用に向かなくなります。また、地植えにする場所が粘土質の場合は、しっかりと土壌改良をしてから育てましょう。西日が強くあたる場所も避けたほうがよいでしょう。
プランター
大葉はプランター栽培も可能です。庭にスペースが確保できない場合や、ベランダで育てたい場合は、大葉をプランターに植え付けて育てていきましょう。また、1株のみ育てたい場合は植木鉢を使用しても構いません。根が深く成長するため、20cm以上は深さのある植木鉢を使用してください。
プランターの選び方
大葉は、ホームセンターなどで販売されている一般的なプランターで問題なく育ちます。2株〜3株程度育てたい場合は、横幅が60cm程度のプランターを使用しましょう。プランターの深さは、15cm〜20cm程度あると根が成長しやすいです。プランターがプラスチック製の場合は、鉢底ネットと鉢底石を敷くと通気性や排水性が高くなります。
育てる場所
大葉を観賞用として育てる場合は、日当たりのよい場所で育てます。日光をたっぷり浴びて育つと、株が大きくなり香りが強く成長しますが、葉が硬くなり食用には向かなくなります。そのため、食用として育てる場合は半日陰で育てるのがおすすめです。大葉は半日陰で育てると、ほどよい香りとやわらかい食感が楽しめます。
大葉の育て方【土作り】
畝の有無・高さ
大葉を庭で育てる場合は、畝を立ててから種まきや苗の植え付けをするのがおすすめです。幅は80cm、高さは10cmの平畝を作ります。地面の排水性が悪いようならば、15cmほどの高さの高畝にするのがおすすめです。
用土
大葉は、水はけと水もちのよさを兼ね備えた用土で育てましょう。市販されている「野菜用培養土」を使用すると便利です。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒6と腐葉土をよく混ぜ込んだ用土を使用してください。地植えにする場合は、苦土石灰をしっかりとすき込んで土壌改良しておきます。大葉の根が育ちやすいように、用土をしっかりと耕してください。
元肥
大葉を地植えで栽培する場合、元肥を施さなくても前作で残っている肥料のみでも構いません。痩せ地の場合は、元肥として堆肥や緩効性の化成肥料をしっかりと混ぜ込んでおきましょう。プランター栽培で「野菜用培養土」を使用した場合は、用土に元肥が含まれています。自分で配合した場合は、緩効性の化成肥料を規定の分量混ぜ込んでください。
大葉は連作できる?
大葉は「シソ科」に分類されており、シソ科は連作障害を起こしにくい植物です。そのため、同じ場所で連作が可能ですが、何年も同じ場所で栽培すると大葉の成長が滞ったり、害虫被害を受けやすくなったりします。適度に栽培場所を変えたり、プランターの場合は新しい用土に交換したりしましょう。
ボタニ子
次のページでは、種まき〜収穫までと病害虫についてご紹介します。
出典:写真AC