ネキリムシとは?
ネキリムシの正体
植物の茎を食べて枯らしてしまうカブラヤガ、タマナヤガなどのヤガ(夜蛾)科の幼虫は、まとめて「ネキリムシ」と呼ばれています。夜に活動して野菜の根元を食べて枯らし、一見すると根を切られたように見えることが名前の由来で、「根切り虫」という意味でつけられました。
コガネムシやコメツキムシを含む場合も
コガネムシやコメツキムシなどの幼虫も根や茎などを食べ植物を枯らしてしまうので、ネキリムシと呼ばれる場合があります。コガネムシなどの幼虫は、やわらかい野菜や花の苗だけではなく、イネやムギ、樹木の苗も食べる害虫です。特にコガネムシは、2匹いればバラの鉢植えが丸ごとダメになってしまうほどの食欲があります。
ネキリムシとヨトウムシの違い
ネキリムシと同じように夜活動する害虫で、葉を食べるヨトウムシがいます。「根切り虫」に対して、ヨトウムシは「夜盗虫」と書きます。夜に植物を食い荒らすことが名前の由来で、葉や実を食べてしまう種類の害虫の総称です。単独行動のネキリムシと違い、ヨトウムシの幼虫は集団で活動し、被害があっという間に広がってしまいます。
ネキリムシの生態
カブラヤガなどの成虫は、畑の作物などに卵を1つずつ産みつけ、幼虫やサナギで冬を越します。ある程度大きくなると夜間に活動して植物の苗の根元を食べ、昼間は土に潜っているので、発見が困難な害虫です。年に2~5回ほど発生し、見た目は典型的なイモムシの形をしています。
ネキリムシが好む植物
ネキリムシだな
— ✨ (@creamsodaggggg) May 16, 2019
この野郎💢 pic.twitter.com/zFkWXxweGG
ネキリムシは基本的に雑食性で、近くにある植物なら雑草でも食べます。苗を植えつけたばかりの野菜の被害が目立つのは、周りに雑草が少ないことが原因のひとつです。ネキリムシが活発に活動する5月~10月に種や苗を植えるトマトやナス、ジャガイモなどの野菜は絶好のターゲットになってしまいます。
花や樹木の苗も
ジャガイモなど畑の野菜のほか、アサガオやキクなどの花や、樹木の苗も食べられてしまいます。特にカミキリムシやコガネムシの幼虫は、バラなどの大きくなる花やクリ、ブドウなどの果樹などにもつくので、根を食べられてしまうと樹木でも枯れてしまう場合も出てきます。
ネキリムシの被害
毎晩、畑の大切な苗が次々に根元から切断される。犯人はネキリムシことタマナヤガやカブラヤガの幼虫。昨晩は立派に育ったレタスが倒された。いやらしいことに葉はほとんど食べない。根本だけ食べて倒すことにどんな意味があるのかわからない。やっと犯人の1人を捕獲。 pic.twitter.com/UZPCatM2WS
— 丸山宗利 Maruyama🍥 (@dantyutei) May 19, 2020
ネキリムシの被害にあった植物は、やわらかい茎の根元や地上近くの地下茎などを噛み切られるので、そこの部分から横倒しになり枯れてしまいます。昨日まで問題なく畑で元気に育っていたのに、植物が急に倒れて枯れてしまったら、ネキリムシのしわざかもしれません。
葉が被害にあう場合も
卵からかえったばかりの幼虫は、まだあまり大食漢ではなく、茎は噛み切れず地面に近い下葉を食べる場合もあります。ネキリムシが土の中に潜る際に、葉などを引きずり込んだ跡が見られる場合もあるでしょう。生け花のように葉が土に刺さっていて、その周辺を掘ってみると幼虫が見つかることがあります。
ネキリムシの発生原因
ネキリムシが発生するのは、成虫が飛来して葉に卵を産みつけるほか、苗が入ったポットの土自体にすでに寄生していたことが原因として考えられます。卵からかえったばかりのときは、小さく目視が難しいのもあり、完全に防除するのが難しいので、気がついたらすぐに退治しておきましょう。
ネキリムシの駆除方法
野菜など口に入るものの場合は、なるべく農薬などの薬剤は使いたくないものです。特別な道具を使わずに、手軽にできる駆除方法をご紹介します。被害にあった植物を見つけたら、できるだけ早めに対策しておきましょう。そうすることによって、ほかの苗が被害にあうのを防除できます。
①土を掘って駆除する
被害にあった株の周りを数cm手で掘り下げると、ネキリムシの幼虫が見つかることがあります。幼虫は群れではなく単独で行動しますが、大食漢なのでほっておくと被害が広がる恐れがあるため、1匹でも見つけたらすぐに退治しておきましょう。昼間は動かず石に似た姿をしているので、見逃さないように注意してください。
②夜に駆除する
ネキリムシは夜行性なので、夜に懐中電灯を使って見まわりをするのが一番見つけやすい方法です。植物を食べている最中に急に光を当てられると、嫌がってあわてて動き回るのでわかりやすいといわれています。うねを移動することもあるので、うねを耕して退治してしまうのもいい方法です。
③農薬で駆除する
野菜や花を育てるにあたり、なるべく農薬は使いたくないという方も多いですが、大量に苗を植えている場合や被害が広範囲にわたったりして手に負えなくなった場合には、農薬を使うのがより確実な退治方法です。農薬を使う際は取扱説明書をよく読み、使用量や方法を理解した上で使用してください。ネキリムシに効果的な農薬をみてみましょう。
1:ダイアノジン
ダイアノジン
参考価格: 809円
ダイアノジンは粒状の薬剤で、ネキリムシなどの土の中の害虫に作用します。粒をそのまままくと雨などの水分で土の中に溶けて広がり、ネキリムシが薬剤に触れると退治できます。持続性があるので、苗を植えつけるときにまけば、長い期間ネキリムシの被害を防除することが可能です。
作用 | 持続性 |
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使用時期 | 植えつけ前・植えつけ時 |
容量 | 400g |
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2:オルトラン(粒剤)
オルトラン
参考価格: 1,027円
オルトランは、まくと苗に成分がいきわたって殺虫作用を持たせる薬剤です。防除にも使えて効果が持続するので、ネキリムシのほかアブラムシなど、いろいろな害虫に幅広く使えます。
作用 | 持続性 |
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使用時期 | 種まき、植えつけ時 |
容量 | 3kg |
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3:オルトラン水和剤
オルトラン水和剤
参考価格: 2,250円
オルトラン水和剤も粒状のオルトラン同様にネキリムシに効果を発揮するのでおすすめです。散布する植物にあわせて水で濃度を調整して使用します。植え付け時に使う粒状のオルトランと違い、栽培の途中でも散布できる便利な薬剤です。
作用 | 持続性 |
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使用時期 | 栽培途中可 |
容量 | 500g |
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4:ネキリベイト
ネキリベイト
参考価格: 710円
ネキリベイトは、ペレット状の毒エサタイプです。苗の根元にまいておくと、ネキリムシが誘い出され、毒エサを食べることで退治できます。速効性があるので、まいたあとすぐに効果が実感できる薬剤です。一か所に集中して置くよりも、まんべんなく広範囲にわたってまく方がより効果が出るでしょう。
作用 | 速効性 |
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使用時期 | 生育初期 |
容量 | 600g |
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5:デナポン
デナポン
参考価格: 813円
デナポンは、キャベツやハクサイなどの野菜に有効な毒エサタイプの薬剤です。誘い出されたネキリムシが毒エサを食べて死滅します。そのまま苗の根元に散布でき、植え付け時のほか、気づいたときに使用可能です。速効性があり、すぐに効き目があらわれます。
作用 | 速効性 |
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使用時期 | 栽培途中可 |
容量 | 300g |
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6:ゼンターリ
ゼンターリ
参考価格: 999円
ゼンターリは野菜類にも収穫前日まで使え、天然成分を使用しているため環境への影響も少ない薬剤です。顆粒を水で薄めて散布します。天然微生物が作る有効成分で、虫自体の退治に時間はかかりますが、食害はすぐに止まります。
作用 | 速効性(食害) |
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使用時期 | 収穫前日まで可 |
容量 | 20g |
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