草冠に「名」と書いて何と読む?「茗荷」にも使われる漢字の読み方と意味は?

草冠に「名」と書いて何と読む?「茗荷」にも使われる漢字の読み方と意味は?

草冠に名前の名と書く漢字「茗」を使う言葉といえば、茗荷(ミョウガ)が思いつく人が多いのではないでしょうか。実はこの漢字はミョウガとは全く関係のない意味を持った文字です。ではどんな意味でどんな使い方をされるのか、草冠に名と書く「茗」についてご紹介します。

記事の目次

  1. 1.草冠に名と書く漢字
  2. 2.草冠に名と書く漢字「茗」の読みと意味
  3. 3.どうしてミョウガに「茗」が使われるのか
  4. 4.草冠に名と書く漢字「茗」の使い方
  5. 5.まとめ

草冠に名と書く漢字

出典:筆者作成

草冠に名前の名を書いたこの「茗」という文字を見てすぐに思いつくのが「茗荷(ミョウガ)」ではないでしょうか。すぐ思いつくのが、というよりは、他の使い方が思いつかないといったほうが正しいかもしれません。実はこの「茗」、もともとの意味は茗荷とはあまり関係ないのです。ではどんな意味なのか、どうしてミョウガに使われるようになったのか、詳しく解説していきます。

草冠に名と書く漢字「茗」の読みと意味

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茗の字は、草冠が植物であること、名前の名の部分が音(メイ・ミョウ)をあらわす形声文字です。本来はミョウガとは関係なく、お茶に関わる漢字です。お茶をさすときは特に若い芽を摘んだ茶ではなく遅めに摘んだ茶、日本茶でいう番茶のようなものをさします。漢字辞典では下記のように解説されています。

音読み メイ・ミョウ
訓読み ちゃ・よ(う)
意味 ちゃ。茶の木。茶の芽。おそく摘んだ茶。
酔う。酒に酔う。

日本語においては遅摘みのお茶をさしますが、中国語では新茶も含めお茶全般に使用します。めったに見かけることはありませんが、酒に酔うという意味でも使われます。「酩酊」の酩の字と関連しているという説がありますが、はっきりしていません。

どうしてミョウガに「茗」が使われるのか

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もともとミョウガは奈良時代ごろにはメガと呼ばれていて、それが変化してミョウガという響きになりました。茗荷の文字は響きにあわせた当て字のため、ミョウガとは関係ない「茗」の字が使われています。ミョウガに茗荷の漢字があてられているもっとも古い文献は、室町時代ごろに書かれたとされる「庭訓往来(ていきんおうらい)」という書物です。ここにミョウガに関する記述があり、茗荷と表記されています。

草冠に名と書く漢字「茗」の使い方

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実際に「茗」はどんな使い方をされているのでしょうか。単語としてはお茶に関するものが多く、地名はミョウガにちなんだものが主流です。茶の生産地や茶屋町など、お茶に関する地名には「茶」の文字があてられているため「茗」は見つけられません。下記で一部をご紹介します。

草冠に名と書く漢字・単語

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下記が茗の文字を使った単語の主なもので、「茗荷」以外はお茶に関する単語ばかりです。

単語 読み方 意味
茗宴 めいえん 茶の湯の会。茶会のこと。
茗器 めいき お茶を飲むのに使用する道具。茶器。
芳茗 ほうめい 香りのよいお茶。

草冠に名と書く漢字・地名

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下記が茗の文字が使われている地名の一部です。お茶にちなんだ意味の地名は見られず、ミョウガに由来する地名は本州の広い地域に存在しています。

地名 読み方 所在地
茗荷沢 みょうがさわ・みょうがざわ 宮城県気仙沼市・新潟県南魚沼市・千葉県長生郡
茗荷谷 みょうがだに 新潟県新発田市・新潟県新潟市・鳥取県八頭郡
茗ケ原 みょうがはら 富山県富山市・熊本県阿蘇市

東京メトロ丸の内線の茗荷谷駅も、江戸時代に周辺でミョウガの栽培がさかんだったことに由来しています。かつては茗荷谷町という町でしたが、昭和41年に統合・廃止になりました。

まとめ

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ものの名前や言葉というのは「そういうものだ」と思って覚えてしまいがちです。一字一字についてどんな意味があるのか、他にどんな読み方があるのかなどということをじっくり考える機会は少ないのではないでしょうか。しかし調べてみると意外な事実が隠されていたり、興味深い発見があったりします。自分の身近な言葉について、いちど調べてみるのも面白いかもしれません。

gotsumi
ライター

gotsumi

山生まれの山育ち、植物大好きの主婦です。故郷よりちょっと都会に嫁ぎ、プランター菜園に奮闘中。

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