野菜は苗の選び方が重要
野菜苗の選び方が収穫量を左右する
野菜作りでは「よい苗が植え付けられたら半分は成功」といわれるほど、苗は重要です。よい苗は、根が張りやすく安定して成長するため、収穫量アップが見込めます。状態がよい苗と要注意な苗の見分け方をマスターして、大成功を収めましょう。
ボタ爺
苗のタイプは2パターン
苗は、種まきから育てた「実生苗」と改良して作られた「接ぎ木苗」があります。育てたい野菜や植え付けスタートの時期によってもおすすめの苗は異なるため、両者の違いをあらかじめ知っておきましょう。
実生苗について
実生苗(みしょうなえ)とは、種まきから育てた苗のことです。手頃な価格のものが多いため、初心者でも栽培に挑戦しやすいでしょう。病気にかかりやすいですが、植え付け場所を毎年変えて連作障害を回避すれば安心して栽培できますよ。
接ぎ木苗について
接ぎ木苗(つぎきなえ)とは、病気に強い野菜の苗を土台にして作られたものです。苗木の根元付近に、つなぎ合わせたようなあとがあるのが特徴的です。実生苗と比較すると、病気にかかりにくく収穫期間が長いメリットがあります。価格はやや高めですが「失敗したくない」「あまり手間はかけられない」人におすすめです。
接ぎ木苗は、低温に強いものを選べば寒さが残る時期でも安心して栽培が楽しめますよ。
どちらの苗も環境づくりが大切
いくら接ぎ木苗が病気に強いといっても、栽培環境が悪ければ病気になります。栽培に適した用土で、水はけや風通しがよい環境が栽培の基本です。実生苗・接ぎ木苗どちらも、栽培環境を整えて育てましょう。
よい野菜苗の選び方のポイント
よい苗は、エネルギッシュで美しい見た目です。実際に手に取って、隅々までじっくり観察をしてから購入しましょう。よい苗を選べば栽培期間の手間が減り、たくさんの収穫量も見込めますよ。野菜作りを失敗しないためには、よい苗を引き当てることが大切です。
ポイント①全体的に色鮮やかである
苗は、全体的に濃淡のバランスがとれていて、色鮮やかなものが元気な証拠です。葉や茎の色はもちろん、葉脈がはっきり見えるかも観察しておきましょう。また、葉に十分な厚みが感じられるかも、よい苗の見分け方ポイントです。
ポイント②茎が太くて安定感がある
茎が太くてしっかりした苗は、根が十分に張れています。茎を軽くゆすって、ぐらつきがないか確認してみましょう。背が低くてもしっかりした安定感があれば、よい苗といえます。
ポイント③葉が充実している
野菜は、十分な枚数の葉がないと光合成ができなくなり、成長しません。収穫量も減ってしまう可能性があるため、多く葉がついている苗を選びましょう。
ポット内の土が充実しているかも重要ポイントです。購入時に確認しておきましょう。
要注意の野菜苗の見分け方
野菜苗は一見するとどれも大差ないように感じることもあるでしょう。しかし中には、苗が傷んでいたり虫に食われていたりと要注意なものもあります。せっかくの野菜作りを失敗しないためにも、気をつけておきたい苗の見分け方をおさえておきましょう。
要注意①全体的に色が悪い
野菜苗は、本来は鮮やかな緑色をしています。しかし色味が濃すぎる場合には、窒素成分が多い可能性があるため要注意です。窒素が多いと病気になりやすくなるためです。また、葉が黄色いものは、栄養が足りていないことが考えられるため、これも避けましょう。
要注意②株元がぐらぐらしている
株元がぐらついている状態は、根が成長していない可能性が考えられます。また、根腐れなどの病気の恐れもあるため、植え付けるのは避けましょう。
要注意③虫が食べた形跡がある
虫がかじった跡は、そこから病気が広がりやすく、植物の成長に影響を及ぼします。根鉢の中にも虫が潜んでいることもあるため、要注意です。また、アブラムシが付着している苗も避けてください。アブラムシは植物の養分を吸い取る以外にも、病気を媒介したりほかの害虫を呼びつ寄せたりしてしまいます。
要注意④ポットから根が飛び出している
ポットから根が飛び出している苗は、根詰まりを起こしていることが考えられます。根詰まりを起こすと十分な栄養が行き届かず、植物は成長できません。ポットの底穴から根が出ているものは、作付けても失敗する確率が高いため避けましょう。
茶色い根は病気の可能性あり
ポットから飛び出している根が茶色い場合は、苗が弱っていることが考えられます。健康的な根は、白色です。白色の根が多少飛び出ている程度であれば、植え付け適期であるため栽培できます。
要注意⑤ヒョロヒョロしている
株や茎が細くてヒョロヒョロして見える苗は、日当たりが悪いく水はけも悪い状態で管理されていたことが考えられます。こうした苗は、病気や害虫被害に遭いやすく、十分に成長しません。苗の状態はもちろん、管理されている環境もチェックしておきましょう。
要注意な苗しか手に入れられなかったときはどうする?
要注意な苗は、大きめのポットに移し替えて育苗するのも有効な手段です。十分に育ってきたら、移植してください。
種類別のよい野菜苗の選び方
家庭菜園では、キュウリやミニトマトなどが人気の野菜です。野菜苗を選ぶうえでのチェックポイントを確認しておけば、植え付け後も安定しやすく、自ずとよい野菜が手に入りますよ。隅々までしっかり観察して、野菜苗を購入しましょう。
トマト(ミニトマト)
トマトやミニトマトの苗は、茎が太くて垂直に伸びているものを選びます。節の間隔がほどよくつまっていて、花が咲きそうな状態も、よい苗の証拠です。花やつぼみは、できるだけ大きいものを選びましょう。
葉に斑点や縮れがあるものは、病気の可能性があるので避けましょう!
キュウリ
キュウリは、茎が太くて節の間隔がつまっているのがよい苗です。がっしりと安定感が感じられるかも重要でしょう。また、子葉が残っていて、葉が充実していて厚みがあるかもチェックしてください。葉の裏など隅々まで観察してから購入しましょう。
ボタ爺
キュウリは産毛もチェックじゃ!産毛が充実しているのも、よい苗の証拠じゃぞ。
ナス
ナスの苗は、葉が8枚程度で花がついているものを選びましょう。花がついている苗は、植え付けから最初の収穫までの失敗が少ないことから育てやすいです。虫がついていたり、葉が破れている苗は病気を引き起こす可能性があるため、避けてください。
メロン
メロンの苗は、節の間隔がつまって根鉢ががっしりしているものを選んでください。子葉がついていて、葉が5枚程度あるものがよいでしょう。プランターで楽しむミニサイズなら、つる性の品種が管理もしやすくおすすめです。
ボタ爺
メロンの苗は、病気に強い接ぎ木苗がおすすめじゃ。やや高価だけど、育てやすいぞ。
イチゴ
イチゴの苗は、茎が太くて全体的に濃緑であるものを選びます。クラウンと呼ばれる、苗の中心点がしっかりしているかもチェックしてください。クラウンは、イチゴの成長に欠かせないポイントです。カビや葉に変色がないかも確認しましょう。元気で勢いの感じられる苗を選んでくださいね。
野菜苗の選び方は慎重に行いましょう
野菜の栽培は、苗選びの段階からスタートしています。ここで失敗してしまうと、先に進めません。苗選びのちょっとしたコツを知れば、初心者でも楽しく家庭菜園ができますね。よい苗を植えて、実り多い野菜作りを満喫しましょう。
「よい苗が植え付けられたら半分は成功」は、農業界では「苗半作」と呼ぶんじゃ。