灌木(潅木)とは?
灌木(潅木)の読み方は「かんぼく」で、3mくらいまでの低木のことです。灌には「そそ(ぐ)」と言う読み方もあり、これは水を流し入れるという意味あいで、たとえば、灌漑という言葉に使われています。
また、灌には「むらがる」「むらがって生える」という意味もあり、高い木のように太い幹を持たず、地面から多くの枝(シュート)が出て全体的に丸みを帯びた形になる低木のことを灌木(潅木)と呼びます。潅は灌の異体字で、意味に違いはありません。
灌木とは低木のこと、では高木は?
これに対して、3mを超えて大きくなる木のことを喬木といいます。読み方は「きょうぼく」です。喬には「たか(い)」という読み方もあり、文字通り高くそびえる木を意味します。
灌木や喬木という言い方は戦前に使用されていた古い呼び方で、戦後は「灌」や「喬」の字が当用漢字表に含まれていなかったため、「低木」「高木」という呼び方が一般的になりました。約3mという分け方も戦前に使用されていた、1丈(=10尺-≒3.03m)という単位が基準となっています。
植物のいろいろな分類方法
灌木や喬木というのは、木の高さによる植物の分類方法です。植物の主な分類方法についていくつか挙げておきます。
木 (木本) |
茎(幹)が年月とともに太くなる | |
高さの違い (つる性は巻き付く対象の高さの影響を受けるので区別) |
喬木(高木) | |
灌木(低木) | ||
つる性木本 | ||
落葉するかどうかの違い | 常緑樹 | |
落葉樹 | ||
葉形の違い | 針葉樹 | |
広葉樹 | ||
草 (草本) |
茎(シュート)が数か月から数年で枯れてしまう、茎が一定以上太くならない | |
生存期間(ライフサイクル)の違い | 一年草 | |
二年草 | ||
多年草 | ||
つる性かどうかの違い | つる性 | |
非つる性 |
灌木地・灌木林とは?
灌木ばかりで高い木の生えていない土地を灌木地、灌木の林を灌木林といいます。灌木地にはいくつかの種類があります。
新しい土地 焼かれた跡 など |
高い木がまだ育っていない | 高い木が成長すると灌木地ではなくなる |
寒冷地 高地など |
高い木が育たない | 高い木が育たないため灌木地のまま |
石灰岩や 固い岩などの土地 |
高い木が育ちにくい | 高い木がほとんど育たないため 灌木地のまま |
乾燥地帯や 塩分や強風の影響を受ける土地など |
高い木が育ちにくい | 高い木がほとんど育たないため 灌木地のまま |
灌木の用途・利点
灌木をガーデニングなどで植える場合の利点や用途についてもご紹介します。
手入れのしやすい高さ
灌木は3m以上には高くならない木ですから、普通の脚立があれば手の届かない高さになることはありません。梯子を使って高いところの枝を落とすような危ない作業をする必要がないため、育てやすいことが一番の利点です。
ガーデニングデザインのアクセントに
広い庭に、こんもりとした灌木を配置すれば、ガーデニングデザインのアクセントとしての用途に利用できます。また、高い木を植えることのできない小さな庭でも育てられるので、いろいろな活用方法が考えられます。
生け垣にぴったり
竹垣というものもありますが、それ以外の生け垣には、ほとんどの場合灌木が用いられています。その高さや成長の速さ、種類の多さなどからすれば、灌木は生け垣の用途に供するにはぴったりです。花や香りを楽しめるクチナシやキンモクセイの生け垣は大変人気があります。
まとめ
灌木と言っても本当に種類はさまざまです。花や実を楽しむ、紅葉を楽しむほか、バラや山椒のようにトゲのある木で生け垣を作ると防犯や動物除けにもなります。トゲのある木は昔から厄除けの効果もあるとされています。その他、サントリナなど虫よけの効果のある灌木もあるので、庭や生け垣にいかがでしょうか。
出典:写真AC