養蜂家とは
近年、養蜂家はテレビ番組や雑誌などの媒体に取り上げられ、注目を集めています。養蜂家は食生活に深く密着している、重要性の高い仕事です。
みつばちを育てる
簡単に説明すると、養蜂家とはみつばちを育てる職業です。養蜂家が育てたみつばちは、人が普段食べている野菜や果物の生産にも大きく貢献しています。みつばちが蜜を求めて花から花へ移動することで、多くの作物の受粉を助けています。育てたみつばちを農家に貸し出したり、業者に販売したりするのも養蜂家の重要な仕事内容です。
養蜂家さんが育てているのは、おもにセイヨウミツバチってことね。ほかにはどんな仕事をしているの?
次に紹介するのも、養蜂家さんの大事なお仕事だよ。
ハチミツを作る
みつばちが作り出したハチミツを集めることも、養蜂家の仕事内容の1つです。現在ハチミツは調味料や飲料、お菓子などさまざまな商品に利用されていますが、育て方や育てる環境によって品質が変わります。より美味しいハチミツを作り出すために、みつばちの管理には細かな部分にも気を配る必要があります。みつばちをよく観察し、愛着をもって育てることが大切といえるでしょう。
養蜂家のなり方
養蜂家になるための厳格な定義や資格はなく、日本では養蜂を専門的に学べるスクールは海外に比べてまだまだ少ないのが現状です。しかし、以下のような方法を使って学べますよ。
なり方①プロの養蜂家に弟子入り
実際にプロの養蜂家として生計をたてている方に弟子入りをして、実地で勉強をするのがよい方法といえます。プロとして養蜂一本で生計を立てている人は、その仕事の難しさから多くはないのが現状です。しかし、本業を持ちながら副業として携わっている人などは数多くいます。そういった人のところで働き、知識と技術を身に付けるのが確実な方法です。
なり方②養蜂に携わる企業に勤める
独立して養蜂をビジネスとして広く手掛けたいのであれば、まずは企業に入社して、市場の動向やニーズを知り、理解を深めることも重要といえます。実際に養蜂の作業をするかどうかは企業にもよりますが、会社側の立場から養蜂を学べ、業界を知るチャンスにもつながるでしょう。人脈をつくることも不可能ではありません。さまざまなメリットが考えられます。
なり方③独学で趣味から始める
大変ではありますが、手始めに独学でみつばちを育ててみるのもひとつの手段です。養蜂に興味はあるけれど弟子入りや就職は難しい、まずは少しだけやってみたいという人も多いのではないでしょうか。近年では趣味でみつばちを育て、ごく少量のハチミツを作って楽しむ人も増えてきています。まずは育て方やハチミツに関する本を読んで実践に移すのも、最初の一歩を踏み出す大きなきっかけになるでしょう。
育てる際の注意点
趣味で養蜂を始める場合でも、住んでいる市町村への届け出が必要です。また、養蜂をするうえでハチに刺されることは不可避です。育てていれば刺されることもあるため、自分や周りの人に対するリスクを十分に考慮しましょう。住宅地では育てないことがルールです。万が一のことを想定して、不安な点があれば事前に専門科に相談しておくのがおすすめです。
養蜂家の一日の仕事の流れ
仕事①みつばちの観察や巣箱の点検
みつばちの様子や変化に気を付け、観察しながら飼育することがおもな仕事内容です。巣箱の清掃や点検をして、みつばちが病気やダニの被害を受けていないかの確認が必要です。巣箱のメンテナンスを定期的に行い、みつばちが正常な働きをしているのか日々よく観察します。みつばちがすくすくと成長する姿が見られるのも養蜂家ならではの楽しみといえますね。
仕事②ハチミツの採集作業
品質や時期をみて最適なタイミングを見計らい、ハチミツの採集作業をします。実はハチミツは毎日採集できるわけではありません。おいしいハチミツをとるために、適したタイミングで採集されているのです。採集はみつばちたちが花の蜜を集めに行っている間に速やかにされることが多く、タイミングを見極めるには長年の経験が必要です。
仕事③天敵への対策
みつばちの天敵として代表的なのがスズメバチです。同じハチの仲間でありながら、スズメバチはみつばちを食べてしまいます。みつばちを守るため、巣箱のまわりにワナを仕掛けたり、寄せつけない工夫を凝らしたりするなど対策をとる作業も必要です。
ニホンミツバチはスズメバチを撃退するための熱殺蜂球という必殺技があるけど、セイヨウミツバチにはスズメバチに対抗する技はないんだ。
それは大変!養蜂家さんたちが工夫を凝らしてセイヨウミツバチを守る必要があるんだね。
みつばちたちを外敵から守るのも養蜂家さんの大切な仕事なんだ。次は季節ごとの仕事の流れを紹介していくよ。
養蜂家の一年の仕事の流れ
春から夏
春になり暖かくなると、さまざまな作物が花を咲かせます。この頃にみつばちは花の蜜を求めて元気に活動を始めます。一年のうち、春から夏にかけてどんどん巣を形成していき、放っておくと巣箱の枠からはみ出して巣を作ってしまいます。余分な巣をこまめに削ぐなど、みつばちたちが快適に巣を作りやすい環境を整える作業が必要です。適切な頃合いを見てハチミツを採集するのもこの季節です。
秋から冬
暑さが収まり気温が落ちてくると、みつばちの数も減ってきます。巣箱を減らすなどの調整が必要な時期です。みつばちは冬の間、巣に膜のようにふたを作って、お互いに身を寄せあって冬を越します。寒さが厳しい時期は、特にみつばちの管理に細心の注意を払い、巣箱のメンテナンスをするなどして過ごします。また、早い段階から来年一年間の計画を立てるなどの作業が必要です。
養蜂家の収入について
実際に養蜂家として独立して養蜂のみで生計を立てていく場合、気になるのが収入です。以下はあくまでも目安ですが、養蜂家を志す人はぜひ参考にしてみてください。
収入は決して高いとはいえない
養蜂家の年収は決して高くないのが現状です。厚生労働省発表の「賃金構造基本統計調査」などで具体的な発表はありませんが、300万円前後ともいわれています。額に差があるのは、養蜂の規模や取引先、気候の変動などの状況によって変わってくるためです。ある程度の収入が見込めるようになるには、相当の努力と覚悟が必要といえます。安定した販路を持つことや、営業活動も大切になってくるでしょう。
養蜂家に必要なスキル
養蜂家になるには特別なスキルは必要ありません。しかし、ある程度の農業や畜産業に対する知識は必要です。また生き物を扱う職種のため、予期せぬアクシデントに備える先見性を持つことが大切です。作業に関しては、重い巣箱を扱うため体力がいります。いずれにしても強い意志と信念をもって、地道に取り組まなければならない仕事といえますね。
養蜂家にメリットのある資格
ハチミツについて、より専門知識を深めたい方におすすめなのが「日本はちみつマイスター」という資格です。民間資格ですが、日本はちみつマイスター協会が主催しているもので、初級講座では通学で2日間学習すると認定証が発行されます。受講料は必要ですが、ハチミツについての知識や販売に活かすことができて、養蜂家を目指す方にとってプラスとなる講座といえるでしょう。
まとめ
養蜂はハチミツを作り出すだけではなく、野菜や果物の生産にも大切な役割を担っている職業です。人々の食生活を支えている誇りのある仕事であり、大変であると同時にやりがいのある仕事といえるでしょう。
日本では在来種のニホンミツバチではなく、よりたくさんの蜜を集めるセイヨウミツバチが利用されているよ。