キワーノとは
キワーノはアフリカ原産の植物です。その独特な模様と姿を見ると思わず声を上げてしまいませんか。今では日本だけでなく、ニュージーランドやアメリカのカルフォルニアでも栽培されています。キワーノはキュウリやゴーヤと同様のツル性植物で成長も早くよく茂るので、きっと収穫までの経過も楽しめることでしょう。
キワーノはウリ科の植物
キワーノはアフリカ原産のウリ科のキュウリ属で、キワノやHorned Melon(ツノメロン)と呼ばれています。日本での呼び名は角苦瓜(ツノニガウリ)とされているようです。ゴーヤと同様にツル性で1年草のキワーノは、育て方も簡単でここ数年、ゴーヤと同じくグリーンカーテンとして自宅で育てる方も出てきているようです。
キワーノの特徴
独特な形のキワーノ
キワーノの驚かされるほどインパクトのある模様とトゲトゲの実は珍しく、興味を持った方も多いことでしょう。キワーノの実は、マンゴーくらいの大きさで楕円形をしています。見た目は近いかもしれませんがドリアンよりももっと小柄です。そして、トゲトゲしているのは実だけではなく、なんと葉っぱやツルまでも細かいトゲだらけなのです。そのため、ツルの誘引や実の収穫の際には手袋がかかせないというわけです。
キワーノの実
キワーノは独特の見た目でツルから実までトゲだらけですが、その実を割ってみると中身はみずみずしい様子です。味や甘味はほとんどなく、ハチミツや砂糖をかけたり、ヨーグルトに混ぜて食べるとプチプチとした食感が楽しめます。
キワーノの栄養
キワーノは収穫後に1週間程常温で追熟させると実の色はオレンジ色になります。マンゴー大の大きさで重さが200~500gになるほど、水分がたっぷりと溜め込まれています。そんな、キワーノは栄養面でも飛び抜けており、特にミネラルが豊富で、マグネシウムは果物の中でもトップクラスであるため、摂取すると高血圧や便秘の予防になります。
キワーノの育て方(土作り)
キワーノのことが分かってきたところで、早速栽培の手順、方法、こつを見ていきましょう。野菜の栽培の基本はまず種の最適な発芽温度、苗の成長時期を知ることです。そして、土台となる良質な土作りから始めていきましょう。
植え付け時期
キワーノの苗の植え付け時期は、生育温度が20度~30度なので、4月下旬~5月中旬の暖かくなってきた頃が最適です。キワーノは寒さに弱いので、気温がまだ10度になる早すぎる時期に枯れてしまわないよう気を付けます。暖かくなり、日当たりがよければぐんぐん成長しツルも縦にも横にもよく伸びるので、グリーンカーテン作りに適した場所と誘引用の支柱やネットをあらかじめ決めて準備しておきましょう。
土作り
地植えでも栽培できますが、グリーンカーテン用や野菜栽培用のプランターなどが販売されているので、それを日当たりのよい場所に置いて育てます。40Lのプランターで3株程植えられます。土は野菜用の培養土を使い、プランターの下層に根腐れ防止と水はけをよくするために、赤玉土中~大と腐葉土を混ぜて入れます。割合としては、赤玉土2、腐葉4~5、培養土3~4くらいにします。だいたいで大丈夫なので様子を見ながら思うようにブレンドしてみましょう。
肥料
肥料には鶏糞や油かす、化成肥料などがありますが、有機野菜を栽培するにあたっては鶏糞や油かすがおすすめです。プランターの下層あたりに全体の3分の1を上層あたりに残りをよく混ぜ込みます。その時に上層あたりに赤玉土を一緒に混ぜ込むことで空気を含みやすくし、ふかふかの土ができます。
油かすの注意点
油かすを使う場合には、油かすが土の中で分解する際にガスを発生させるので、油かすを混ぜ込んだ土作りをしてすぐに苗の植え付けをしてしまうと、肥料焼けや苗の生育を悪くさせてしまう恐れがあるので、混ぜ込んでか2週間程寝かせてから苗の植え付けをするようにします。
キワーノの育て方(植え付け)
キワーノは苗を購入して定植させる方法が育てやすいですが、もちろん種まきから育てることもできます。キワーノの種の発芽適温は20度から30度ですので5月初旬頃の種まきがよいでしょう。種まきをして軽く覆土し芽が出るまで毎日土が乾かないように水をあげます。7日程で発芽するので、発芽後は日当たりのよい場所で育てます。本葉が3~4枚程に揃ったら、いよいよ定植していきましょう。
植え付け方
キワーノの発芽した苗が成長してきたら、次は定植の準備です。苗は園芸店やホームセンターなどで購入するのもいいでしょう。成長が早いので、苗はできるだけ早めに植え付けをするのが望ましいです。本葉が3~4枚の苗を株間を50cm程あけて植え付けていきます。地際に対して浅すぎず、深すぎないによう注意して植え付け、すぐに水をたっぷりをあげましょう。この時に誘引ネットを仕掛けておくのもよいでしょう。
キワーノの育て方(わき芽かき・摘心)
脇芽を取る
キワーノの苗が成長してくると脇芽が出てきます。不要な脇芽をカットすることで、主枝にこれからの成長を促す栄養を送ることができるため、脇芽が出てきたら丁寧に取り除いていきましょう。株元から5節目までの脇芽をチェックして、清潔なハサミで別れた茎と茎の間の付け根にある脇芽を切っていきます。
挿し木での育て方
脇芽を取る作業はキュウリやゴーヤでもあり、その際に脇芽を挿し木にすることもあります。しかし、キワーノの挿し木に挑戦した実績が少ないだけかもしれませんが、同じウリ科の植物であるキワーノの挿し木は難しく、簡単にできるとは言えないようです。
摘心
本葉が6~7枚になったら、親ヅルを摘心します。ツル植物は優先的に親ヅルに栄養を送り成長させようとする習性があるので、この親ヅルを摘心することで、子ヅルがバランスよく伸びよく広がるのでグリーンカーテンを作る際にもこの摘心は重要です。さらに、いくつかに伸びた子ヅルが1m~2m程伸びたところで、先端を摘み取ることで孫ヅルが生まれ、より多くの実を作ることができます。ツルは最終的に縦にも横にも伸びて4m程になります。
キワーノの育て方(人工受粉)
キワーノの花が咲いたら、もちろん蜂などの虫に任せて受粉をさせることでも足りますが、虫があまりいない場所やベランダなどで栽培している場合には人工受粉をしてより実が付くのを確実にすることができます。午前中の8時までに、その日に咲いた雄花と雌花を使い、雄花の花粉を雌花に軽く落とし付けるように優しく付着させて受粉完了です。雄花と雌花の見分け方は簡単で、花の付け根あたりにトゲトゲの膨らみがある方が雌花です。
キワーノの育て方(収穫)
受粉も成功し実が大きく育ってきたら、いよいよ収穫の時期です。それでは、実がどれくらいになれば収穫できるのでしょうか。収穫の見極め方を見ていきましょう。
収穫の目安
キワーノは1株の苗で約20~30個程の実を収穫することができます。収穫できる時期はゴーヤなどの夏野菜を比べて遅めの8月下旬~10月末までと期間も長く、追熟の期間も含めるととても長く楽しめる植物と言えます。実が黄色くなり始めたころが収穫のタイミングです。この時に実のトゲが鋭いのでゴム手袋が必要になります。
キワーノの育て方(まとめ)
いかがでしたでしょうか。キワーノは珍しい植物で育て方も特徴的で難しいのではと抵抗があったかもしれませんが、意外にも基本的な家庭菜園として簡単に親しめることが分ました。ツルの成長も早くよく伸びるので定番のキュウリやゴーヤよりも長く日差しを遮ってくれ、かつ多くの実を付けてくれる暑い夏の時期の新しいグリーンカーテンとして一役かってくれそうです。
新感覚をぜひ食べてみて!
キワーノのプチプチのゼリーのような味わいは新食感で新しい料理として、これから楽しまれることでしょう。また、キワーノの見た目のインパクトや南国の雰囲気を利用して追熟の間、オブジェとして扱うのも魅力的かもしれません。見慣れないデザインにきっと注目が集まることでしょう。
出典:写真AC