バーミキュライトとは?
バーミキュライトの原料
バーミキュライトは「苦土蛭石(くどひるいし)」という鉱物が原料です。800〜1000℃で高温処理することでアコーディオン状に膨張し、元の容積の十数倍になった苦土蛭石(くどひるいし)を細かく砕いて土のような質感にしたものです。鉱物が原料であるため、バーミキュライトの中には金色や銀色のかけらが見られます。
バーミキュライトの成分
バーミキュライトには酸化ケイ素や酸化マグネシウム、酸化アルミニウムといった成分が含まれています。含有量はごくわずかなため、肥料として土に溶け出すことはありません。そのため肥料としてではなく、他の用土と併用して土壌改良剤として使用しましょう。
パーライトとの違い
パーライトとは
バーミキュライトに似たような性質を持つ用土としてパーライトがあります。パーライトはガラス質の鉱物を蒸発させてできた多孔質の物質です。パーライトには水はけのいい黒曜石パーライトと保水性に優れた真珠岩パーライトがあります。
バーミキュライトとパーライトの違い
パーライトはバーミキュライトよりも水はけがよく、軽いのが特徴です。一方、バーミキュライトは吸水すると重みが増し、保水性の高い用土になります。保水性の低いパーライトは他の用土と一緒に使うことが多い一方でバーミキュライト は挿し木や種まきをする際に単体で使用できます。
バーミキュライトの性質と特徴
保水性と通気性
バーミキュライトは多層構造といって薄い層が何層も重なっているため、たくさんの穴や隙間があります。そのため、適度な水分を含むことができます。また、土の中に酸素が行き渡りやすいことから植物の根が酸素を吸収しやすくなるという性質があります。
断熱性と保温性
バーミキュライトは発泡スチロールのような構造なので、熱が伝わりにくいという性質があります。夏期は土の中の温度が上昇するのを防ぎ、冬期には土の中の温度低下を防げるため植物の根が傷みにくいのが特徴です。
保肥性
バーミキュライトは保水性が高いため、水やりの際に水分中に溶け出たカルシウムやマグネシウムなどの土壌成分を保持する性能があります。また、水やりの際に肥料が流出するのを防ぎます。
軽量性
バーミキュライトは隙間や空間が多いため、一般的な園芸用土の1/10以下の重量です。バーミキュライトはとても軽いので重さがあると難しいハンギング鉢や、ベランダ園芸など持ち運びが大変な鉢物におすすめです。
無菌性
バーミキュライトは「苦土蛭石(くどひるいし)」を高温処理することで生成した土なので、高温処理により殺菌され無菌状態になっています。pHが中性なので種まきや挿し木をする際に病気や害虫に侵されにくいという性質があります。
バーミキュライトの水耕栽培での使い方
水耕栽培とは
水耕栽培とは、土を使わず水と液体肥料で植物を栽培することです。植物の根の部分を液体肥料を溶かした水に浸すと、根から必要な養分を吸収し成長します。室内での栽培が可能なので害虫などの心配がなく、無農薬で安全な植物を育てられます。
水耕栽培でバーミキュライトを使用するメリット
バーミキュライトは水耕栽培では培地としてつかいます。保水性と保肥性が高く5〜6倍もの水分を吸収できるため、効率よく水分と肥料を植物に与えることができます。また、無菌で虫や土の臭いが気にならないため室内での水耕栽培にぴったりの用土といえます。
ボタニ子
使い方①種まき
バーミキュライトは種まきの際に使用できます。無菌なので細菌による影響を受けることなく発芽します。バーミキュライトにも赤玉土のように大小サイズがありますが、種まきの際は粒の小さなバーミキュライトがおすすめです。苗の丈がある程度伸びてくると重さを支えられなくなるため、赤玉土などを混ぜて重くします。
使い方②植え付け
植え付けに使う場合は、バーミキュライト単体だと軽すぎるため、苗を支えきれずに倒れる原因になります。苗を植え付ける際は転倒を防ぐため、重みのある赤玉土:腐葉土:バーミキュライトを3:1:1の割合で混ぜ合わせて植え付け用の用土を作りましょう。
使い方③挿し木
バーミキュライトは高温処理され無菌なので、挿し木用に剪定した枝の切り口を傷めることなく挿し木ができます。挿し木したい枝の切り口に発根促進剤をつけてからバーミキュライトに挿し木します。3〜4cmの深さまで挿さないと水やりの際に枝が倒れてしまうため注意しましょう。
身近なものを用いた水耕栽培
ペットボトル
ペットボトルを使用すれば誰でも簡単にバーミキュライトでの水耕栽培ができます。
- ペットボトルを半分に切る
- 切ったペットボトルのキャップ側を逆さにしてバーミキュライトを入れる
- 育てたい植物を植える(根っこがボトル口から出るようする)
- ペットボトルの下側に液体肥料を混ぜた水を入れる
- 水を1週間に1回交換する
ボタニ子
ペットボトルの下部は根の成長を促すのと藻の繁殖を防ぐため、黒い紙などを被せましょう。
水切りカゴとトレー
- 水切りカゴの底に生ゴミ用の水切りネットを敷き、バーミキュライトの流出を防ぐ
- バーミキュライトを敷き詰めて表面を平らにする
- 種まき・植え付けをし、プラスチックカップの底を切った筒状の物で囲う
- 種まきや植え付けをした場所を避けて液体肥料を混ぜた水をかける
- 水が少なくなってきたらその都度足して調整する
ボタニ子
水は切らさないようにしましょう!
入手方法
バーミキュライトは園芸店やホームセンター、100円ショップなどで手軽に購入できます。容量は幅広く、100円ショップでよく見かける2Lサイズから使い方に応じた容量のものを選べます。容量が多く価格も手頃なのは魅力ですね。
バーミキュライトで水耕栽培をする際の注意点
種まきや植え付け時の注意点
バーミキュライトは非常に軽いため水やりや鉢を移動する際に植物の根が動いてしまい、苗が倒れてしまうことがあります。バーミキュライトで種まきから水耕栽培を行う場合は、スポンジなど安定する培地に種まきし、ある程度根張りするまで成長したらバーミキュライトに植え付けると安心です。
水やり時の注意点
バーミキュライトでの水耕栽培は水やりに注意します。水やり時に根元に直接水をかけると根元が浮きやすく苗が倒れてしまいます。水を足す際は苗から離れた場所にかけるようにするか、水切りカゴのトレー部分にゆっくり足すようにしましょう。
アスベストとの関係性
バーミキュライトとアスベストと混同されがちですが、バーミキュライト自体に毒性はありません。2009年アメリカのリビー鉱山で発掘されたバーミキュライトにアスベストが混入していたことが問題になりました。現在、この鉱山は閉鎖されているのでアスベスト混入の心配はありませんが、日本のバーミキュライトには産地記載の義務がないため不安を感じる方もいるかもしれません。
過剰な心配は不要
国産のバーミキュライトにはアスベストが含まれてないか、含まれていたとしてもごく微量です。水耕栽培での種まきや植え付けなどに使用しても健康への影響はないでしょう。アスベストが気になる方は手袋やゴーグルなどを着用して換気のいい場所で作業しましょう。
まとめ
バーミキュライトは保水性や保肥性に優れているため、多くの水と肥料を必要としている水耕栽培に最適の用土といえます。身近な場所で手軽に入手できるため、水耕栽培を始める際はぜひバーミキュライトを用いた水耕栽培で手軽に家庭菜園を行いましょう。
保水性と保肥性が高いバーミキュライトを使用することで水と肥料が少なく済みますね!