パプリカの花とは?
パプリカは、うつむき加減に小さな白い花を咲かせます。カラフルで明るい色の実に反し、可憐な花姿が印象的です。両性花のため花が咲いたら自然に受粉して実になります。しかし、花が咲かなかったり花が咲いても落ちてしまったり、実にならない場合があります。パプリカはピーマンと同じトウガラシの仲間で、肉厚で辛味がない甘い品種です。おいしい実をつけるために上手に花を咲かせましょう。
パプリカの基本情報
学名 | Capsicum annuum |
科名・属名 | ナス科・トウガラシ属 |
英名 | Bell pepper |
原産地 | 中・南アメリカ |
草丈 | 60~80cm |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
花色 | 白 |
花言葉
パプリカの花言葉は「君を忘れない」「同情」「憐み」です。赤や黄色、オレンジなど明るく元気な色で料理に彩りを与えてくれる野菜ですが、とても切ない花言葉がつけられています。パプリカはピーマンの仲間であるため、敬遠されがちなのが由来です。
ボタニ子
パプリカの花の咲き方
パプリカは、葉に隠れるように小さな白い花を咲かせます。花の咲き方によって受粉の有無が変わってくるため、雄しべと雌しべをじっくり観察し、栄養状態がわかるようになりましょう。
開花時期
パプリカの開花時期は、6~10月です。植え付けた後、1番最初に咲いた花は株を大きくするために摘み採りましょう。一番花を摘み採らないと栄養分が実に流れてしまい、株が大きく育ちません。花つきも悪くなり収穫できる実が少なくなってしまうため、一番花はしっかり摘み採るようにします。その後、次々に咲く花はそのままにして実が大きくなるのを待ちます。収穫時期は、開花から約40~50日後です。
ボタニ子
一番花を摘み採ることを「摘花(てっか)」といいます。花が咲く前の緑色のつぼみのうちに摘み採りましょう。
特徴
パプリカの花は12~18mm程度の白い花で、葉の脇に下向きに咲くのが特徴です。苗の植え付けから40~50日ほど経つと花が咲きます。筒状の形をしており、花びらは5~7つに裂けています。花の中心にある淡い黄色のものが「雌しべ」で、その周りにある青紫色のものが「雄しべ」です。
雌しべと雄しべ
パプリカは、雌しべが雄しべより長い「長花柱花(ちょうかちゅうか)」です。雄しべと雌しべの長さは、パプリカの栄養状態を測る大事な目安です。雌しべが周りにある雄しべよりも長いと栄養状態がよく受粉しやすくなります。雄しべのほうが長いと花が咲いても受粉できません。また花粉の色が黄色になっているものがよく、白色になっているとリン酸や糖分が不足しています。
パプリカの花の役割
パプリカの花には受粉の役割があり、花が咲かなければ実になりません。収穫するためには、いつ苗を植え付けてどんな花が咲いたのか観察する必要があります。雌しべが雄しべよりも長くなっているか確認しましょう。土の栄養状態をチェックし、水不足や日照不足に気をつけて花を落とさないように育てます。花が咲いたら、枝をトントンと軽く揺らすと受粉の手助けになります。花が落ちる前に手を加えるのも受粉のコツです。
パプリカの花が咲かない・落下する原因は?
パプリカの花が咲かない原因は「植え付けの時期」と「土づくり」にあります。また、落下する原因は「水不足」や「肥料不足」などが考えられます。花が咲かなければ実が収穫できないため、どんな花をいつ咲かせることが重要です。パプリカは種をまいた後、苗が育つまで約70~80日かかります。育苗は家庭菜園に慣れている人でも難しいため、市販されている苗を植え付けるところから始めましょう。
花が咲かない原因
咲かない原因①植え付け時期
苗の植え付けの時期は、4月下旬~6月上旬です。寒い地域でも5月中旬~6月中旬に植え付けます。まだ気温が低いうちに植え付けると花が咲きません。生育温度が22~30℃と高めのため、遅霜に当たらないように気温が十分に暖かくなってから植え付けましょう。よく日が当たるように株と株との間を空けて、浅めに植え付けるのがコツです。
咲かない原因②土づくり
花を咲かせるためには、土づくりも重要です。苗を植え付ける2週間前に苦土石灰を土にまき、1週間前に堆肥や化学肥料を混ぜておきます。湿度の高い環境が苦手なため、プランターで育てる場合は排水性のある培養土を使います。ナス科の植物であるパプリカは連作障害が起きやすいため、過去3~5年にトマトやナスなどナス科の野菜を植えた土には植えないようにしましょう。
花が落下する原因
パプリカは、せっかく花が咲いても落下して実にならない場合があります。パプリカの雌しべは、雄しべよりも長いと受粉できますが、雄しべより雌しべが短い「短花柱花(たんかちゅうか)」になると受粉できません。花が咲いても実にならず落下してしまいます。実をつけるためには栄養状態のよい花がきちんと咲いて、落下しないように育てることが重要です。
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パプリカの花は雨に当たると落下してしまいます。花が咲いたらビニールをかぶせたり、軒下に移動させたりしましょう。
落下の原因①肥料が足りない
パプリカは肥料切れが苦手です。肥料が切れると花が咲かないだけではなく、花が咲いても落下してしまいます。プランターなど小さな容器で育てている場合は、土の量も限られ水やりの度に肥料が流れ出てしまいます。植え付けをしてから約2週間後からは、1週間に1回のペースで追肥をしましょう。土に緩効性化成肥料や堆肥を混ぜ込みます。追肥には液体肥料がおすすめです。
落下の原因②水が足りない
パプリカは、水が足りないと花が落下してしまいます。生育温度が22~30℃と高温の環境を好み、乾燥に弱い特徴があります。栽培には、こまめに水やりをする必要があります。水やりの回数を増やすより、鉢底から流れ出るくらい多めに与えるのがコツです。また根を横に広げながら成長するため、土の表面が乾いたら根元だけではなく根全体が水を吸収できるように広く水をかけましょう。
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夏は特に乾燥するため、朝と夕方の涼しい時間にたっぷり水やりをしましょう。
落下の原因③日が当たらない
パプリカの原産地は、中央アメリカや南米など日当たりのよい土地です。ジメジメした湿気の多い土を嫌い、日が当たらない場所では育ちません。株全体に日が当たる場所で育てるのが大切です。わき芽はすべて摘み採り、葉を少し切って株の内側にも日光が当たるようにしましょう。
落下の原因④暑すぎる
パプリカは夏の暑さに強い野菜ですが、暑すぎると花が咲いても受粉せずに落下しやすくなります。特に35℃を超えるような猛暑が続くときは注意が必要です。できるだけ日陰や風通しのよい場所に置きましょう。
パプリカの花とピーマンの花の違い
パプリカは、ピーマンと同じナス科トウガラシ属の多年草です。花もピーマンとほとんど違いがなく見分けるのが難しいです。同じような白い花を下向きに咲かせるため、実が大きく育つまでどちらかわからないかもしれません。苗や花が同じでも収穫する時期が違います。開花してから20日ほどの未熟な状態のものがピーマンで、開花してから40~50日たち完熟した状態のものがパプリカです。
パプリカの花を上手に咲かせよう
赤や黄色などカラフルな色をしたパプリカは、食卓に彩りを与えてくれる野菜です。水やりや肥料、日当たりに気をつけて上手に花を咲かせればおいしい実がなります。かわいらしい白い花がいつ咲くのか楽しみに観察してみましょう。
ちなみにピーマンの花言葉にも「同情」と「憐み」がつけられています。