ハナトラノオとは?
ハナトラノオはシソ科ハナトラノオ(フィソステギア)属に分類される宿根草です。まっすぐ伸びる花穂と規則的に並んだ唇形花が特徴で、丈夫な性質から、個人宅の庭や、公園などの公共の花壇でもよく見られます。原産は北米で、大正時代に日本に入って以来、育てやすさと花の美しさから人気が出ました。繁殖力旺盛で、観賞用に植えられたものが野生化した姿も見られるほどです。水揚げがよく、切り花にも向きます。
ハナトラノオの基本情報
学名 | Physostegia virginiana |
和名 | ハナトラノオ |
別名 | カクトラノオ |
原産 | 北アメリカ(カナダ東部~メキシコ北部) |
開花期 | 8月~9月 |
花色 | 白~ピンク |
名前の由来
細長い花穂をトラの尻尾に見立ててその名がつきました。また、四角錐の形をした花穂からカクトラノオとも呼ばれます。ルリトラノオなどベロニカの種類や、観葉植物のサンスベリアも「トラノオ」と言われることがありますが、どちらもハナトラノオとは別種の植物です。
ハナトラノオの園芸種
サマースノー
白花の品種で花期は8月頃です。高性種で草丈は1mほどに成長します。
ビビッド
晩生で9月頃に濃桃色の花がつきます。小枝が良く出て花数が多いことが特徴です。草丈は50cm~60cm程度とやや小さ目に育ちます。
バリエガタ
斑入り葉の品種で薄桃色の花が咲きます。花期は8月頃です。他の品種に比べて、直射日光・乾燥に弱いとされています。
花言葉
ハナトラノオの花言葉は「達成」や「達成感」「望みの成就」です。花穂の下から上に向かって順に花が咲いていく様子が、夢や目的を達成する姿に重なるのかもしれません。他にも「あなたとの約束」「素直さ」という花言葉もあります。まっすぐな立ち姿に良く似合う花言葉ですね。
ハナトラノオの育て方
丈夫な性質で、よく増えるので、広い庭や花壇で群生する姿は圧巻の美しさがあります。あまりボリュームを増やしたくない場合は、鉢植えで育てることをおすすめします。手間がかからないうえ、宿根草なので、一度植えると何年も楽しめるところもハナトラノオの魅力です。
栽培環境
耐寒性・耐暑性に優れ場所を問わず成長する丈夫な花ですが、日当たりが少なすぎると花つきがわるくなります。寒冷地でも防寒対策なしで、屋外で越冬可能です。斑入り葉の品種は、夏場の直射日光で葉焼けしやすいので明るい日陰で管理しましょう。
用土
保水性が高く、水はけがよい土を好みます。赤玉土小粒7:腐葉土3の配合土や、市販の草花用土が適します。
水やり
乾燥にやや弱い性質なので、庭植えの場合、夏場の乾燥が続く時期には水やりが必要です。鉢植えの場合は乾燥しやすいので、用土の表面が乾いていたら水やりします。水切れを起こすと生育が悪くなり、花数が減ったり、下草が枯れたりすることがあります。
肥料
腐植質が多い土では肥料は要りません。それ以外では4月~5月に少量施肥します。6月~7月の生育期に肥料分が多すぎると、草丈が伸び、倒れやすくなるので注意しましょう。開花後に施肥すると、株が充実し翌年の生育が良くなります。中心部の生育が悪くなる場合は植え替えの際に、用土に堆肥を混ぜ込んでおくとよいでしょう。
病害虫
病害虫には強い種類ですが、水はけが悪いと白絹病にかかることがあります。つぼみの時期は、まれにケムシ類の食害があります。
植え替え
適期は3月~4月、10月です。庭植えでは5年~6年ごとに、鉢植えでは1年~2年で植え替えをします。
ハナトラノオの花後の管理方法
花後の切り戻し
花後は枯れた花穂を切り戻しておくとその下からも花茎が出てきて、花を長く楽しめます。また、枯れた花をこまめに剪定して、株への負担を軽減させることができるので、株分けで増やしたいときにはこまめに切り戻します。
冬は思い切った剪定を!
冬前には、枯れた地上部を剪定します。枯れているとはいえ、地上部を大幅に剪定するのは勇気がいりますが、枯れた部分の根本から出てくる冬芽が、来年の花を咲かせてくれます。思い切って剪定しても大丈夫です。冬芽を摘んでしまうと生育しなくなるので、冬芽に注意して剪定しましょう。増えすぎて困ったときには、冬芽をいくつか切ってしまえば株数を制限できます。
ハナトラノオの増やし方
ハナトラノオは地下茎でよく増える宿根草なので、スペースが狭くなってきたり、植木鉢で根詰まりを起こしたときは、植え替えのタイミングで株分けをしましょう。株分けの方法や、挿し芽、種まきなどの増やし方で株を増やすこともできます。
株分け
生育期前の3月~4月、花後の10月が適期です。地下茎を掘り上げて、2~3芽が1株になるよう株分けします。庭植えの場合は、株分けの必要がないほど、地下茎で旺盛に広がります。よく増えるので、鉢植えの場合は、少なくとも2年ごとに株分けをした方がいいでしょう。
挿し芽
4月ごろに伸びてきた茎を切って、挿し木用土に挿しておきます。根がはるまでは、乾燥させないように日陰で管理します。
種まき
種まきの適期は4月~5月です。用土が乾燥しないように注意し、日陰で管理します。種をとる場合は、花期が終わった10月頃に採集しておきましょう。
まとめ
暑さでくたびれがちな夏のガーデンが華やかになるハナトラノオですが、育て方はとてもシンプルですね!水切れに気を付けていれば、日向から半日陰でどんどん広がり、病害虫にも強く、株分けや種まきもしやすい、とても扱いやすい植物です。花が枯れる前に剪定して、切り花を楽しむこともできるハナトラノオ、是非あなたのガーデンにも取り入れてみて下さい。
出典:写真AC