トキワツユクサとは?
トキワツユクサは、国外から持ち込まれた外来種だということをご存知でしょうか。そんなトキワツユクサの特徴や種類、花言葉をご紹介します。
どんな植物?
常緑の多年草
トキワツユクサ(常盤露草)は、常緑の葉に白色の花を咲かせる多年草です。夏に白い花びらを3枚、三角形のように咲かせ、葉っぱは長楕円形で先端が尖っています。花の真ん中に、先端が黄色いおしべが6本、めしべが1本あります。
観賞用が野生化
トキワツユクサは、昭和初期に観賞用として持ち込まれたものが野生化したものです。シロフハカタカラクサ(白斑博多唐草)が、野生化するうちに葉の斑が消えたものと言われています。
外来種として駆除の対象に
トキワツユクサは帰化植物として野生化し、外来生物法により、要注意外来生物に指定されています。つまり、国外から持ち込まれた外来生物により、生態系が変化し日本古来の植物が絶滅の危機にあるため、このままでは駆除の対象になるということです。少し湿っている日陰や水辺に生え大繁殖することがあり、オーストラリアやニュージーランド、アメリカなどでは既に駆除の対象となっています。
花名由来
ツユクサに似た花
トキワツユクサの花名は、ツユクサ(露草)の花に似ていて、葉が常緑なことが由来です。しかし、ツユクサは日本に古くからある一年草の植物のため別種です。ツユクサについては次でご紹介するので、似ているかどうか見比べてみて下さいね。
基本情報
分類 | ツユクサ科ムラサキツユクサ属 |
学名 | Tradescantia fluminensis |
別名 | ノハカタカラクサ(野博多唐草) |
英名 | Wandering jew |
開花時期 | 6~8月 |
草丈 | 20~50cm 常緑多年草 |
原産地 | 南アメリカ |
- 学名のTradescantiaは、イギリスの庭師「トラデスカントさん」の名前が由来です。
- fluminensisは、「リオ・デ・ジャネイロの」という意味です。
トキワツユクサの種類
2種類に分けられる
トキワツユクサは、トキワツユクサ(ノハカタカラクサ)とミドリハカタカラクサに分けられます。また、オオトキワツユクサもトキワツユクサと同種とすることがあります。
トキワツユクサ(ノハカタカラクサ)
特徴は、茎・花柄・葉裏が赤褐色や紫色をしていて、結実します。花にある毛がオオトキワツユクサより少ないです。別名のノハカタカラクサ(野博多唐草)は、博多唐草に似ていて野生の花というのが由来です。
ミドリハカタカラクサ
特徴は、茎・花柄・葉裏が緑色をしていて、結実しません。緑色をしているので、ミドリハカタカラクサと呼ばれています。
オオトキワツユクサ
特徴は、茎が緑色をしていて、花の毛がトキワツユクサより多いです。園芸品種のシラフツユクサの野生化したものです。シラフツユクサは、葉の葉脈に沿って白斑があるものですが、オオトキワツユクサは斑が消え緑色になったもののことです。
よく似ている
写真:シラフツユクサ
3つはよく似ていますね。見比べるには、茎の色が赤褐色や紫ならノハカタカラクサ。茎が緑ならミドリハカタカラクサ。花の毛が多いものがオオトキワツユクサです。
トキワツユクサの花言葉
『尊敬』
学名にもなっている「トラデスカントさん」は、イギリスのチャールズ1世に仕えた庭師さんです。主人に対する思いから花言葉が想像されますね。
似ている花①ツユクサ
トキワツユクサの花名の由来にもなっているツユクサ。その特徴や花言葉をご紹介します。
ツユクサ(露草)とは?
2枚の青い花びらが特徴的
一見、2枚の青色の花びらに見えますが、下に細長く小さな白い花びらがあります。その鮮やかな青色の花びらが特徴的なツユクサですが、紫や白・ピンク色をした種類もあります。おしべが6本、めしべが1本あり、おしべ6本は3本が花びらのすぐ下にあり、その下にもう1本、残る2本はめしべと一緒に下に長く垂れ下がっています。葉っぱは笹のように細長い形をしています。
染料や薬剤として
花の色が布につきやすいことから別名着き草と呼ばれ、染めものの下地を描く染料として用いられてきました。(ツユクサは花が小さいため、この用途に使われていたのはオオボウシバナです。)また、花の季節に花ごととって乾燥させたものを鴨跖草(オウセキソウ)と呼び、下痢止めや解熱剤として用いられます。
花名由来
ツユクサ(露草)の花名は、朝露が乾かないうちにしぼんでしまう一日花が由来です。古くから日本人に親しまれてきた花で、「万葉集」では月草として、儚さの象徴として詠まれた歌が残っています。
基本情報
分類 | ツユクサ科ツユクサ属 |
学名 | Commelina communis |
別名 | ツキクサ(月草・着き草)、アオバナ(青花) ホタルグサ(蛍草)、ボウシバナ(帽子花) |
英名 | Asiatic dayflower |
開花時期 | 6~9月 一年草 |
花色・草丈 | 青紫・白・ピンク 20~50cm |
原産地 | 日本を含む東アジア、アメリカ北東部 |
- 学名のCommelinaは、オランダの植物学者「ヤン・コメリン」と甥の「カスパル・コメリン」が由来です。
- 英名のdayflowerは、一日でしぼんでしまう花姿からそう呼ばれています。
- ツユクサ(月草)は、秋の季語です。
花言葉
- 懐かしい関係
- 変わらぬ思い
- 小夜曲(セレナーデ)
- 僅かの楽しみ
- 密かな恋
ツユクサの花言葉は、学名にもなっているオランダの植物学者の二人が関係しています。二人は親しい仲だったといわれているので、花言葉もそれにちなんだものがつけられています。
食べられる?
注意が必要
ツユクサは、食べられる雑草としても知られている植物です。おひたしやみそ汁の具として使われます。ですが、自らで育てたものではなく、野生に生えているものを食べる時には注意が必要です。また、トキワツユクサやムラサキツユクサは似ているとはいえ、元は外来種で毒性が不明です。ツユクサも含めて、食べる際は自己責任でお願いします。
似ている花②ムラサキツユクサ
こちらもトキワツユクサ、ツユクサとよく似た花です。そんなムラサキツユクサの特徴や花言葉をご紹介します。
ムラサキツユクサ(紫露草)とは?
トキワツユクサに似た紫色の花
ムラサキツユクサは、3枚の紫色の花びらに、細長い葉っぱが特徴です。花の真ん中に先端が黄色いおしべが6本並び、めしべが1本あります。明治時代に観賞用として持ち込まれました。よく似ているものにオオムラサキツユクサがあり、その名前の通り、ムラサキツユクサより大きな花を咲かせるのが特徴です。
一日花だけど開花時期は長い
その特徴的な紫色の花は、朝に咲き夕方にはしぼんでしまう一日花です。しかし、毎日次々と新しい花を咲かせるので、春から夏にかけて長く楽しむことができます。
基本情報
分類 | ツユクサ科ムラサキツユクサ属 |
学名 | Tradescantia ohiensis |
別名 | インク花 |
英名 | Commom spidewort |
開花時期 | 4~8月 |
花色・草丈 | 白・ピンク 40~80cm |
原産地 | 北アメリカ |
花言葉
- ひとときの幸せ
- 淋しい思い出
- 尊敬しています
- 快活
一日で枯れてしまう一日花にちなんで花言葉がつけられています。
まとめ
今回はトキワツユクサと、ツユクサ、ムラサキツユクサをご紹介しました。トキワツユクサの名前の由来になっているツユクサ、似ていましたか?ツユクサは色のついた花びらが2枚なので、少し印象が違って見えますね。ムラサキツユクサとはよく似ているのではないでしょうか。雑草扱いですが、どれも綺麗な花を咲かせます。見つけた際はどの種類か見比べてみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC