ウワバミソウの採り方
山菜として食用にされるウワバミソウ。買うだけでなく、採集にも挑戦してみたいですね。以下ではウワバミソウの採り方、類似種との見分け方を解説します。山菜の採り方の基本的な注意事項に気をつけて、安全にウワバミソウ探しを楽しみましょう。
基本的な注意事項
ウワバミソウが生えるのは川辺など人目につきにくい場所です。採り方も大切ですが、まずは山に入るのを想定した服装から準備しましょう。
人と仲良く
山菜を採る時は必ず土地の所有者に許可を得てください。山を所有している人と親しくなることが、山菜採りライフを充実させる定石です。
動物との距離感
シカやキツネ、カモシカなどの野生動物に出会うのも山菜採りの楽しみです。しかし動物との距離感には気を遣いましょう。動物は人間以上の体躯や瞬発力を持っているため、たとえ動物側に戦意がなくても、軽く接触しただけで人間は大怪我をする恐れがあります。餌付けは論外として、至近距離から大声やカメラのフラッシュで驚かす行為は控えましょう。
生息場所の探し方
水のある場所に行く
ウワバミソウの生息場所は、湿度の高い谷筋や小川周辺。航空写真や地形図を見て、生息していそうな場所の目安をつけると良いでしょう。
大きな群落を探す
大きな群落が見つかれば、より効率の良い採り方ができます。湿った日陰や川辺に来たら、まず周囲を見渡してみましょう。ウワバミソウは、地面を覆い隠すほどの群落を作る場合があります。水辺に緑色の葉が固まっていて、さらに葉の縁がギザギザしているように見えたら、ウワバミソウ群落の可能性があります。
ウワバミソウを見つけたら
足元注意
ウワバミソウの採り方の最大の注意点は足元確認です。ウワバミソウ自体は危険な植物ではありませんが、ウワバミソウが多いのは川辺や滝壺周辺なので、地形に危険が潜んでいます。群落を見つけて近づく時は、足元と周囲を確認しながら慎重に進みましょう。
まずは種類を確認
山菜と毒草の誤食事故は後を絶ちません。まずは図鑑と実物を照らし合わせ、本当にウワバミソウなのか確認しましょう。葉の形、花やむかごの位置など、特徴を丁寧にチェックしてください。幸いウワバミソウは左右非対称で縁がギザギザした葉というわかりやすい特徴があるので、見分け方は比較的容易です。ちなみに間違えやすいのは、後述するイラクサとミヤマイラクサでしょう。
大きい株を根元から採る
茎の根元が肉厚で赤みがあるのが良品です。小さい株を欲張って採っても処理が大変なだけなので、十分大きくなったものを根元から採りましょう。
イラクサに要注意!
ウワバミソウを探す時に注意したいのが、姿形の少し似ているイラクサとミヤマイラクサです。生息する場所がウワバミソウと似ているため、採集中に出会う可能性が高いです。
イラクサ基本データ
- 標準和名:イラクサ
- 学名:Urtica thunbergiana
- 分類:イラクサ科イラクサ属
- 分布:本州〜九州
一見したところ、葉の形態などはウワバミソウと似ていますが、分類上はUrticaという別の属です。
ミヤマイラクサ基本データ
- 標準和名:ミヤマイラクサ
- 学名:Laportea macrostachya
- 分類:イラクサ科ムカゴイラクサ属
- 分布:北海道、本州、九州
ミヤマイラクサも外観はウワバミソウと似ており、生息域も重複しますが、こちらもLaporteaという属名の別の仲間です。
棘とギ酸のダブルパンチ
イラクサの棘は軍手を貫通する恐れがあり、さらにギ酸を分泌します。ギ酸は強い酸で、注入されると火で炙られたような激しい痛みを感じ、ミミズ腫れができることもあります。そもそも「イラクサ」の名前の由来は、触ると痛みで「イライラする草」という説があるくらい。イラクサの花言葉も「中傷」「悪意」など散々な言われようです。
ボタニ子
そんなに危険な棘なんだね・・・。どうすれば防げるかな。
肌の露出を極力避けたうえで、草むらには安易に立ち入らないことです。隙間のない革手袋で手を守り、足元を守るため長靴を履きましょう。
ウワバミソウとの見分け方
ウワバミソウの葉は緩やかに弧を描きますが、イラクサとミヤマイラクサの葉はほぼ左右対称です。株が育てば識別しやすいのですが、小さい株では見分けがつきにくいこともあります。「疑わしきは触らず」の意識で、確実にウワバミソウと分かるものだけ採りましょう。
ミヤマイラクサは食べられる
実はミヤマイラクサも山菜として食用にできます。火を通せば棘は脱落してしまうので、おひたしや天ぷらとして楽しめます。採り方の注意点は、もちろん革手袋と長靴で肌を守ることです。
おわりに
「ウワバミソウ」とは、なんだかおどろおどろしい名前ですね。しかし葉や花が美しく、さらに美味しく食べられると知れば、山で出会うのが楽しみになるものです。本記事で紹介した特徴を、イラクサなどの近縁種との見分け方に役立ててください。水辺に生えることを意識すれば、効率的な探し方ができるでしょう。
ボタニ子
春になるとファーマーズマーケットや道の駅で売ってることもあるから、探してみよう!
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出典:写真AC