セイヨウノコギリソウとは
セイヨウノコギリソウの基本情報
別名 | ヤロウ アキレア ハゴロモソウ 鋸草(和名) |
植物分類 | キク科ノコギリソウ属(アキレア属) |
園芸分類 | 宿根草 |
原産地 | ヨーロッパ |
草丈:花の色 | 20~100cm:白・ピンク・赤・オレンジ・黄 |
開花時期 | 7~9月 |
耐寒暑性 | 耐暑性:強い 耐寒性:強い |
土壌を選ばず、暑さ寒さにも強い宿根草
ハーブガーデンやナチュラルガーデンで人気のセイヨウノコギリソウは、明治20年ごろに文字通り西洋から日本に渡って来たハーブです。品種は100種以上。草丈は矮性のものから1mを越えるものまであります。性質は強健で、宿根草でありながらこぼれ種でもどんどん増え、日本では北海道や本州の一部で野生化しています。
セイヨウノコギリソウの名前と別名の由来
西洋鋸草
ノコギリ状の葉のギザギザが名の由来
日本語名の鋸草(ノコギリソウ)がつけられた理由は一目瞭然でしょう。繊細な葉はノコギリというよりはレースを思わせますが、名付けた人にはそう見えたのでしょうね。学名の【millefolium】は1000枚の葉を意味します。葉が細かく1000にも分かれているところにも通じているかもしれませんね。
アキレア
学名は古代ギリシャの英雄アキレスが由来
セイヨウノコギリソウの学名は【Achillea millefolium】で、この学名の【Achillea】アキレアは、古代ギリシャの英雄「アキレス」からきています。また「兵士の傷薬」という別名もあり、これはアキレスが戦いで傷ついた王や兵士たちの傷にセイヨウノコギリソウを止血の外用薬として使ったことが由来になっています。
セイヨウノコギリソウの生態と特徴
花
開花の時期は7~9月
花の形態は散房花序といわれるもので、花の一つ一つは小さいのですが、真上から見るとまるで大輪の花を思わせます。中心には頭状花と呼ばれる両性の花があり、その周りに5枚の舌状花があります。開花の時期は7~9月と、夏の間の長い花期を楽しむことができます。
葉
ノコギリの縁を思わせる葉
セイヨウノコギリソウの茎は木質化しているのかと思われるほどに固くまっすぐなのですが、互生する長い楕円形の葉は柔らかく、細かく裂けたような形状をしています。寒くなると地上部の茎葉が枯れ、その後株元に出てきた新芽はロゼット状で冬を過ごします。
有用植物としてのセイヨウノコギリソウ
メディカルハーブ「ヤロウ」
セイヨウノコギリソウのもう一つの名前「ヤロウ」
アキレアのくだりでも外用薬としてのセイヨウノコギリソウをご説明しましたが、セイヨウノコギリソウはハーブとして「ヤロウ」の別名があり、その薬効成分は多岐にわたります。効能は、止血、消炎、鎮静、健胃、抗菌、利尿、発汗、食欲不振、創傷治癒と、まるで万能な薬局のようですね。また自律神経や婦人系の症状にも効き目があるとされています。
料理に用いて
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そのまま食べてもハーブティーにしても
ハーブのイメージが強いセイヨウノコギリソウですが、料理にも使えることをご存じでしょうか。日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、ヨーロッパでは野菜と同様に料理に使用している地域もあります。若い葉はそのままサラダにして。育った葉は苦みがあるので茹でてから炒め料理にするとよいでしょう。もちろんハーブティーとしてもおすすめです。
コンパニオンプランツとして
益虫を呼び寄せ、害虫を駆除する
コンパニオンプランツとは、益虫を呼び寄せる反面、根から分泌液を出し周囲の植物を害虫から守る役割を持つ植物をいいます。農薬を使用せず、植物のよい状態が保たれるのは嬉しいですね。セイヨウノコギリソウの場合、バラやいちじくとの組み合わせがおすすめです。
セイヨウノコギリソウの種類
ヤロウホワイト
定番の白いセイヨウノコギリソウですね。やはり野の花といった風情で群生させると見栄えがします。個体差はありますが、セイヨウノコギリソウは3年ほどで寿命をむかえてしまうといわれています。その前に挿し木などであらかじめ株を更新しておくとよいでしょう。
ヤロウピンク
ピンク色のセイヨウノコギリソウには、たくさんの種類があります。品種改良の結果、淡いピンクから鮮やかなピンクまでさまざまな園芸種ができました。白と並んで定番のセイヨウノコギリソウのイメージでしょうか。野趣あふれる雰囲気はナチュラルガーデンにぴったりです。
ヤロウレッド
目の覚めるような真っ赤なヤロウレッド。赤い花の種類もピンク同様にルビーレッド、レッドベルベッド、ポメグラネードなど、さまざまな園芸品種があります。矮性で倒れにくい品種もありますからガーデニングでの使い道の幅も広がりそうですね。
ワンダフルワンピー
やさしいピンクの色合いのワンダフルワンピーは園芸品種の1つで、草丈も50cmと低く草姿も乱れにくい性質です。広がりやすい一般的なセイヨウノコギリソウとは違い、ほかの植物とも馴染みやすいのが嬉しいですね。咲き進むと花が白っぽく変わるようすも楽しめます。
テラコッタ
咲き始めはノコギリソウには珍しい濃いオレンジ色で、徐々に黄色~アプリコットへと変化していく園芸品種のテラコッタ。花色の変化で長く楽しめそうですね。葉は若干シルバーがかった感じで大人のノコギリソウといった感じでしょうか。テラコッタは「素焼き」の意味からきています。
キバナノノコギリソウ
こちらのキバナノノコギリソウはキク科ノコギリソウ属ではあるのですが、学名は【Achillea filipendulina】となり、上記の品種たちとは違う種類になります。ハーブとしての効能は同じですが草丈が1mと大きく、花を密につけるタイプです。ワイルドな花姿もよいですが、シダを思わせる大きな葉も見ごたえがあります。
オオバナノコギリソウ
別名「スニーズワート」と呼ばれるオオバナノコギリソウ。学名は【Achillea ptarmica】と通常種とは種類が違います。葉がノコギリ状ではないので別種の植物のように見えますが、ノコギリソウの仲間なんですよ。オオバナノコギリソウには、パール、ノブレッサといった八重の園芸品種があります。
まとめ
セイヨウノコギリソウの特徴とともにいくつかの品種をご紹介してきました。セイヨウノコギリソウは開花の時期も長いので、広いスペースがありましたらいくつかの品種を混色させてるのもよいかもしれませんね。いつもとは少し違うヨーロッパの雰囲気が味わえるかもしれませんよ。それに庭に最強のメディカルハーブがあるなんて、ちょっと安心しませんか?
※散房花序:茎から上に伸びる花軸が下からついているものほど長くなり、最終的に花の高さが平面状に咲き揃うこといいます。下の画像の花の高さが全部同じぐらいになっているのがお分かりでしょうか。