カルセオラリア(キンチャクソウ)とは
春先に開花するカルセオラリアという不思議な形の花を見かけたことはありませんか。カルセオラリアの花は巾着か小さい風船のような形で、和名はキンチャクソウ(巾着草)です。カルセオラリアは一年草が多いですが、冬を越す多年草(宿根草)もあります。また、草姿としては低木化するものがあります。
カルセオラリアの基本データ
名称 | カルセオラリア |
学名 | Calceolaria |
和名 | キンチャクソウ(巾着草) |
英名 | スリッパフラワー/ポーチフラワー |
分類 | ゴマノハグサ科・カルセオラリア属 |
形態 | 主として一年草、多年草(宿根草) |
原産 | 中米、南米、ニュージーランドなど |
開花時期 | 春~初夏 |
花の色 | 基調色は黃、赤、オレンジ、白、紫など |
花の大きさ | 径1~5cm |
草丈 | 一般に30cm程度(低木状のものは1m超) |
耐暑性・耐寒性 | ともに弱め |
育てやすさ | 多年草としてはやや難しい |
カルセオラリアの名前の由来
学名の語源はスリッパ
カルセオラリアの学名(Calceolaria)は、スリッパの意味であるcalceolusという古代ギリシャ語が語源だと言われています。また、カルセオラリアの英名の一つもスリッパフラワーです。ふくらんだ花の形がスリッパの丸みに似ていますね。
和名の由来は巾着袋
カルセオラリアという植物の名前を聞いたことがなくても、キンチャクソウ(巾着草)の和名を知っている方は多いのではないでしょうか。この和名は、まさしくカルセオラリアの丸々とした花の形が、巾着袋の形に似ていることに由来しています。類似しているものから名前をとるのは日本でも同じなのですね。
カルセオラリアの開花時期
冬の間、カルセオラリアはロゼット状の葉だけの姿で過ごし、春が訪れると花芽を現し開花します。花を大きくふくらませながら茎も伸ばしていき、ボリュームのある華やかな姿になります。さわやかな日差しに映える鮮やかでユニークな花は、初夏まで楽しめます。
開花時期は春先から初夏
開花したポットを鑑賞する
カルセオラリアの開花時期は春から初夏の3月~6月頃になります。春先に園芸店に並ぶ鉢植えやポットを購入し夏まで鑑賞するのが手軽な楽しみ方です。蒸し暑さに弱いため、残念ながら一般的には夏枯れしてしまいますが、管理次第で多年草として楽しめる品種もあります。
種から栽培して開花させる
カルセオラリアは夏越しに加え冬越しの難易度もやや高いのですが、種から栽培できます。涼しい秋の間に種まきをし発芽を促し、冬前にある程度まで成長させることが必要で、このタイミングが難しいといえます。その後、室内や温室で冬越しさせながら育て、春の開花を待ちます。
カルセオラリアの特徴
カルセオラリアの原産地は中南米などですが、改良や交配が進み数百種が存在します。種類ごとの細部のつくりはさまざまで、基調の花色も黃、赤、オレンジ、白などバラエティに富んでいる植物です。ここでは、よく園芸店で見かける一般的なカルセオラリアの花や葉っぱの特徴をご紹介します。
花の特徴
巾着袋のような花びら
カルセオラリアの花は2枚の花びらで構成されていますが、上唇に対し下唇が極端に大きいのが特徴です。上唇も若干ふくらんだ形をしていますが、なんと言っても目を引くのは風船のようにふくらんだ下唇です。向かい合った花びらの間の窪みには、雌しべと2本の雄しべがあります。
ビビッドな花色
販売されているカルセオラリアは、鮮やかで花の大きいもの、花つきが多いものが主流で、ユニークな形と相まってエキセントリックな印象があります。多い基調色は黄色系ですが、白や赤もあります。単色のものと、他の色でヒョウ柄のような模様が入っているものがあります。
葉っぱの特徴
カルセオラリアの葉っぱをよく見ると、ちりめん生地のようなシワと凹凸があり、非常に細かいうぶ毛があります。形はおおよそ卵型で、葉っぱの先に丸みのあるもの、尖ったものなどがあり、周囲は浅い鋸歯状です。茎をはさんで1対ずつ向かい合い、上下の対同士は重ならない位置につきます。
カルセオラリアの種類
カルセオラリアには、生育形態として、交配種に多い一年草、原種系に多い多年草や宿根草があります。また、草姿としては、低木のように背が高くなる種類があります。何百種にも及ぶカルセオラリアの中から、日本で見られる代表的なものをピックアップしてご紹介します。
一年草の品種
カルセオラリア ディンティ系
園芸種のカルセオラリアのほとんどは一年草の扱いになっています。ディンティなどを元とする品種がさまざまに改良され、花が大きくインパクトのあるものが主流です。中には多年草となり得るものもありますが、春に花を楽しんだあと、残念ながら冬越しできないことが多いです。
多年草(宿根草)の品種
カルセオラリア ビフロラ
宿根カルセオラリアまたは宿根キンチャクソウと言われるカルセオラリアの系統があり、冬越しができる多年草になります。写真のビフロラは南米の高山に自生する比較的寒さに強い種類で、日本では主に山野草として栽培されています。花は黄色の単色でシンプルな印象です。
低木状になるもの
カルセオラリア メキシカーナ
園芸種のカルセオラリアは草丈30cm程度のコンパクトなものが多いですが、低木状に背がが高くなる種類があります。写真のカルセオラリアメキシカーナはこぼれ種で増えることもあるようです。花の大きさは1cm程度と小ぶりで、全体的に野性味のある雰囲気です。
カルセオラリアの花言葉
カルセオラリアには多くの花言葉がありますが、求婚、愛情、幸せ、財産などにまつわる肯定的な意味や響きをもった花言葉ばかりです。見た目が不思議な形の花なので、もっと風変わりで独特な花言葉がありそうな印象ですが、安心して贈れる花ですね。
プロポーズと愛とお金の花言葉
主な花言葉一覧
- あなたを伴侶にします
- 強い愛情
- 幸福
- あなたに財産を捧げます
- あなたを援助します
プロポーズの言葉として適している
カルセオラリアの花言葉でまず挙げられるのは「あなたを伴侶にします」です。まさに求婚を意味する言葉をもっているので、ヨーロッパでは実際にプロポーズするときに贈られるそうです。さらに「強い愛情」や「幸福」といった言葉もあるので、愛を伝えるのに適した花といえるでしょう。
財産やお金を意味する言葉も
カルセオラリアの他の花言葉を見ると、財産やお金を意味する言葉も多いのです。「あなたに財産を捧げます」や「援助」は、お金や富に裏打ちされた具体的なプロポーズのようにも思えませんか。また、英名のポーチフラワーのポーチは財布の意味ですし、巾着にはお金を入れますね。
まとめ
カルセオラリアは日本の気候下では若干栽培が難しい植物ですが、種から育てたり交配を楽しんだりできる魅力をもっています。カルセオラリアに興味を持たれた方は、まずは春の開花時期に好みの花色や模様の鉢植えを求め、じっくり観察しながら楽しんでみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC