フクシア(ホクシャ)とは
フクシア(ホクシャ)は細くてしなやかな枝にぶら下がるように花を咲かせるのが特徴で、咲き姿がイヤリングのようにかわいらしい人気の植物です。ピンク色やオレンジ色などたくさんの花色があり、下向きに生える性質を利用してハンギングバスケットにも利用されています。そんなフクシアの花の特徴や種類、育て方や増やし方などをご紹介します。
フクシアの基本情報
科名 | アカバナ科 |
属名 | フクシア属 |
別名 | 釣浮草(ツリウキソウ)、ホクシャ、ホクシア フクシャ、フューシャ |
開花時期 | 4月〜7月、10月〜11月 |
耐暑性 | 弱い |
耐寒性 | 弱い |
フクシアの特徴
小さいものでは草丈20cm〜30cm程度、大きいものでは草丈50cmほどまで成長する品種があるのが特徴です。赤色やピンク色のかわいらしい花を咲かせるフクシアは海外でも人気があり、品種改良が進んでいます。そのため現在では3,000種類以上の品種が存在しており、一重咲きや八重咲きなど咲き姿もさまざまです。
フクシアの花言葉
フクシアには「つつましい愛」「あたたかい心」「恋の予感」「信じた愛」「上品な趣味」「センスのよさ」「信頼」「交友」「好み」という花言葉がついています。素敵な花言葉がたくさんついているため贈り物にもぴったりです。枝からぶら下がるように咲く花がアクセサリーのように見える様子から「センスのよさ」や「上品な趣味」という花言葉がついたといわれています。
フクシア(ホクシャ)の育て方
フクシアは耐暑性や耐寒性が弱いため、置き場所を移動させたり水やりを工夫したりして枯らさないように管理しましょう。夏場は地植えや鉢植えではなくハンギングにして育てると、地面からの照り返しが防げておすすめです。開花時期が長くピンク色の鮮やかな花は花壇でよく映えます。そんなフクシアの肥料の与え方や切り戻し剪定の方法などを詳しくご紹介します。
育て方①置き場所
季節ごとに置き場所を変えて育てるのがフクシアを枯らさないコツです。また、雨が長く続くような場合や霜が降りる季節には病気にかかりやすかったり株が弱ってしまったりするため注意してください。フクシアの季節ごとに適した置き場所は以下のとおりです。
春〜夏の置き場所
春〜夏にかけては梅雨時期の雨と夏の強い日照り対策が必要です。春は気候がよいため日当たりと風通しのよい置き場所で育てましょう。気温が上がってきたら木の陰など涼しい場所に移します。雨が長く続くと土が多湿になってしまうため、雨が当たらない軒下へ移動させましょう。地植えにしている場合は、ワラやヤシ殻で株元を覆うと地面からの照り返しを防げます。
秋〜冬の置き場所
秋に日が短くなってくると日照時間が足らず花が咲かなくなってしまいます。フクシアは1日に12時間以上は明かりが必要です。屋外の場合は蛍光灯などの近くに置くか室内の明かりの灯っている部屋に取り込んでください。冬は霜に当たると枯れてしまうため早めに室内に移動させ、日当たりのよい窓辺で育てましょう。
育て方②用土
多湿が苦手なので水はけのよい用土で育てましょう。市販されている草花用の培養土を使用しても構いませんが、水はけをよくするためにさらに日向土の小粒を少量加えるのがおすすめです。自分で配合する場合は赤玉土に腐葉土を混ぜ込んだ用土を使用しましょう。ハンギングなどに吊るして育てる場合はパーライトを加えて用土を軽くしてください。
育て方③植え付け・植え替え
4月〜6月か9月に植え付けや植え替えをします。苗の状態で購入したものは購入後すぐに植え付けられますが、真夏と真冬は株が傷みやすいため避けたほうが無難です。鉢植えで育てている場合は根詰まりを防ぐために2年に一度の割合で植え替えましょう。鉢から優しく株を掘り出したら古くなった土を払い落とし、ひと回り大きな鉢に植え替えてください。
ハンギングバスケットにおすすめ
主に高い場所に飾るハンギングバスケットは、下に伸びていく性質をもつ植物にぴったりです。壁掛けにして飾る場合は「ウォールバスケット」とも呼ばれ、屋外だけでなく室内のインテリアとしても利用されています。フクシアの花はぶら下がるように咲く性質があるため、ハンギングバスケットに入れて育てるのもおすすめです。
育て方④水やり
土の表面が乾いてきたら水やりをします。多湿が苦手ですがあまりにも乾燥させてしまうと根が傷んで枯れてしまうため注意しましょう。夏場は朝の涼しいうちに水やりを済ませ、夕方になり気温が下がってきたら葉水で温度を下げます。冬場は休眠期に入るため、あまり水を吸わなくなるのが特徴です。そのため水やりは控えめにして、やや乾燥気味に育ててください。
育て方⑤肥料
肥料は真夏と真冬を避けて、1週間〜10日に1度株元に液体肥料を適量施しましょう。または植え付けのときの用土に元肥として緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおいても構いません。肥料の与えすぎは肥料やけを起こして枯れてしまう原因になるため、与えすぎないように気をつけましょう。枯れ始めている株や弱っている株に肥料は与えません。
育て方⑥切り戻し剪定
多湿に弱いため、梅雨が来る前にしっかりと切り戻し剪定をしておくのがポイントです。草丈の半分程度まで思い切って剪定しておくと、葉の量も減らせて風通しがよくなり葉や茎が蒸れてしまうのを防げます。切り戻し剪定は葉から余分な水分が蒸発し過ぎるのを防げるため、夏に適度な水分を保持できる効果もある大切な作業です。
フクシア(ホクシャ)の増やし方
フクシアは「挿し木」「株分け」「種まき」の3つの増やし方ができます。もっとも成功率が高いのは挿し木で、剪定で切り落とした枝が利用できるおすすめの方法です。そんなフクシアの挿し木や株分け、種まきでの増やし方に適した時期や方法をご紹介します。
増やし方①挿し木
挿し木は4月〜5月が適期なので、剪定で切り取った枝を使用して挿し木をするのがおすすめです。今年成長した若い芽の部分を先から10cm〜15cmほどの長さで切り取ります。赤玉土などの挿し木用の用土に挿し、水切れを起こさないように注意して発根を待ちましょう。
増やし方②株分け
株分けも挿し木と同じ4月〜5月にしましょう。大きく成長した株を選び根を傷つけないようにていねいに掘り起こしてください。込み入った根の部分を手で優しくほぐして簡単に分かれる部分で株分けします。新しい用土に植え付けたらたっぷりと水を与えて、根付くまで半日陰で管理しましょう。
増やし方③種まき
花後に種子ができるので、種を採取したい場合は花が終わっても剪定しずにそのまま残しておきましょう。しばらくするとさやが乾燥して黒くなってきます。完全に立ち枯れたらさやのついている茎を切り取り軽くふって種を採取してください。発芽の適温は20℃前後のため気温をみながら種まきをしていきます。土は深くかぶせず水をたっぷりと与えて発芽を待ちましょう。
フクシア(ホクシャ)の病気と害虫
フクシアは高温多湿が苦手です。雨が長く続くような梅雨時期には病気や害虫被害を受けやすくなります。また風通しの悪い場所で育てているとカビが原因の病気にかかってしまったり害虫が大量発生してしまったりするため注意しましょう。フクシアのかかりやすい病気や害虫被害をご紹介します。
灰色かび病
灰色かび病は名前のとおりカビが原因の病気で、感染した部分が灰色の楕円形状に変色していくのが特徴です。湿度が高くなる梅雨時期に発生しやすいため風通しをよくしたり、しっかり剪定して予防しましょう。感染した部分は薬剤を散布しても治せません。早めに切り取って処分してください。
オンシツコナジラミ
年間を通して注意が必要な害虫がオンシツコナジラミです。日本全国に分布しており見た目は白っぽく、成虫は羽が生えています。日本の侵略的外来種にも指定されている害虫で、葉や茎の汁を吸って成長していくため、発生してしまうとフクシアが枯れてしまうかもしれません。また排泄物が原因ですす病に感染してしまったり、葉がベタついてしまったりする可能性もあります。
ハダニ
ハダニは葉の裏などの見つけにくい場所に発生しやすいため、発見が遅れると大量発生してしまいます。ハダニに食害された部分は白く粉を吹いたようになり、光沢がなくなってしまうのが特徴です。水が苦手な性質があるため、定期的な葉水で予防できます。
次のページでは、フクシアの種類をご紹介します。