芍薬とは
芍薬は、春~初夏にかけて美しい花を咲かせる多年草です。日本では古くから薬用として親しまれてきました。現在は、主にその美しい花や爽やかな香りを楽しむ目的で栽培されており、非常に多くの品種が出回っています。性質としては耐寒性が強く庭植えに最適ですが、初心者の方にはやや難易度が高いかもしれません。失敗しない管理のポイントを学んでいきましょう。
芍薬の基本情報
学名 | Paeonia lactiflora |
別名 | パエオニア、エビスグサなど |
分類 | ボタン科ボタン属 |
形態 | 多年草 |
原産地 | 中国北部 |
開花時期 | 5~6月 |
芍薬は牡丹(ボタン)に近い仲間で、花の見た目も牡丹の花によく似ています。この2つの植物の大きな違いは、牡丹が「木」であるのに対して芍薬は「草」であるという点です。そのため牡丹は冬の間も枝が残りますが、芍薬は地上に出ている部分が枯れて、地下の根だけで冬を越します。
芍薬の育て方
芍薬は園芸店やホームセンターなどで苗を購入して栽培します。ほとんどの場合、苗に品種名や花の写真が印刷されたラベルがついています。好みの花色を選んでください。虫食いのあとや病気の兆候がないかをしっかりチェックしましょう。通販などを利用すれば一年中どの季節でも入手できますが、植え付けに最適な9~10月頃の購入をおすすめします。
育て方①栽培環境
芍薬は基本的に日当たりのよい環境を好みます。庭植えの場合は水はけと風通しのよい明るい場所に植え付けてください。株が大きく成長し根も張るため、なるべく広い場所で栽培します。日差しの強い時期は株元にワラやバークチップを敷いて、地面の温度が上がりすぎるのを防ぎましょう。鉢植えの場合は8号以上の大きな鉢に植え付け、明るい場所で管理します。
ポイント
- 地植えでも鉢植えでも、栽培する場所には十分な日当たりと余裕のあるスペースが大切です。
- 強い西日や乾燥は好みません。遮光ネットやマルチング材で対策しましょう。
育て方②用土
水はけがよく肥沃な土壌が適しています。庭植えの場合は植え付けの1週間ほど前に、腐葉土を混ぜ込みながら耕しておきましょう。鉢植えの場合は一般的な草花や野菜用の培養土で十分ですが、自分でブレンドするなら赤玉土(小粒)と腐葉土を6:4の割合で混ぜてください。また鉢底石として軽石を入れて水はけを確保しましょう。
育て方③植え付け
植え付けは9~10月頃に行います。植え付けの際は苗の上下をよく確認しましょう。植え方の手順は、
- 根についている土をきれいに落とす
- 赤い芽を上にして地面から3cm以上深く埋める
- たっぷりと水やりをする
ポイント
- 赤い芽のついているほうを必ず上にして、完全に土の中に埋めてください。植え方を間違えるとせっかくの苗が育ちません。
育て方④水やり
地植えの場合はほとんど水やりの必要はありません。雨が少なく乾燥が続く時期だけたっぷりと水やりをしてください。鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷり水やりをして、水分を切らさないように注意しましょう。水やりの際は花や葉になるべく水がかからないように気をつけます。
育て方⑤肥料
美しい花を咲かせるために十分な肥料が必要です。地植え、鉢植え共に、植え付けの際に元肥として緩効性(効き目がゆっくり)の固形肥料を土に混ぜ込んでおきましょう。新しい芽が出る春と花が終わったあとの初夏、冬越しをする前の秋にも追肥をしてください。また成長期には希釈した液体肥料を定期的に与えるとよいでしょう。
育て方⑥植え替え
芍薬はあまり植え替えを好まない植物です。庭植えの場合はなるべく植え替えをしないほうが無難でしょう。鉢植えの場合は根詰まりしやすいため、2年に1回程度を目安に植え替えを行ってください。植え替えの時期は植え付けと同じく9~10月頃が最適です。植え方のポイントをおさらいして、ひとまわり大きな鉢に植え替えましょう。
ボタニ子
次は上手に花を咲かせるための、芍薬の管理の仕方を解説します。