源平桃とは?
花桃(ハナモモ)の一品種である源平桃(ゲンペイモモ)。江戸時代に品種改良をされた源平桃は一本の木に紅白の花が咲く珍しい庭木です。近年になって人気を博してきた庭木で見頃には鮮やかな花を咲かせます。
源平桃の特徴
白と赤の花を咲かせるものや、絞り(色が入り混じっているもの)を含む三色を咲かせるものがあります。またその色の割合も年によって異なります。今年は何色が咲くのか楽しみになる庭木ですね。咲き分け桃とも呼ばれ、何重もの花びらが重なって咲くのが特徴です。中国などの中央アジアが原産で、バラ科サクラ属です。
なぜ色が違う花が咲くのか
通常は赤の花しか付けないはずの木に白い花が咲くのは突然変異で赤を発色する酵素が失われたためと考えられています。そのため、アントシアニンの発色ができず白になるのです。年によって色の割合が異なりうまく紅白に咲き分けていたのに白しか咲かなくなってしまったという例もあります。
アントシアニンは赤~紫~青色を呈する色素で、糖鎖(グルコース、ガラクトース、ラムノースなど)が結びついた配糖体の形で液胞に含まれています。
名前の由来
江戸時代にハナモモの品種改良によって生まれた源平桃。名前の由来は源氏と平家が日本を二分したことになぞらえて源平とつけられました。一本の木の中で紅白の勢力を競っているようです。源平桃が見ごろを迎える4月は奇しくも壇ノ浦の戦いで平家が滅んだ季節。感慨深いものがありますね。
源平桃は寿命が短い?
ハナモモの寿命は20年程度と言われますが、源平桃は突然変異で花を咲かせることもありそれより数年、寿命が短い品種です。限りある花の見頃の季節を大切に過ごしたいですね。
源平桃の開花時期
見頃の季節
開花時期は3月ですが東北や山間に植えられたものは5月に咲くこともあります。満開の時期も桜などと比べると少し長く楽しめます。場所によって桜と一緒に見られるもの、新緑と一緒に見られるものと様々です。
源平桃の名所
ハナモモの名所は各地にありますので寒暖の差で満開を迎える季節が異なります。訪れる時期を選んでぜひ行ってみてください。以下の名所は源平桃が見られると人気の場所です。
茨城県古河公方公園
3月下旬から4月上旬に見頃を迎えます。数種類のハナモモが1000本以上植えられているので見ごたえがあります。桃まつりも行われていて屋台やイベントなど見どころが多いです。公園内にある池に桃が映る姿が人気です。
静岡県カナメ神宮
源平枝垂れ桃の穴場スポットです。神社の鳥居と紅白の源平桃の取り合わせは見事で写真映えします。3月下旬には満開になりますよ。
長野県阿智村はなもも街道
長野県の山間にある阿智村の昼神温泉郷。はなもも街道は温泉街のそばにあり芽吹き始めた新緑との取り合わせがすばらしい観光スポットです。4月下旬に満開を迎えるので春の行楽シーズンにおすすめです。
源平桃の植え方
落葉樹で耐寒性・耐暑性があり植え方や育て方が簡単な源平桃。花色や葉の艶を良くするためには日当たりが重要なので半日は日光が当たるようにしましょう。11月から春先までに水はけのよい土地に植えます。盛り土をして小高い場所に植えれば水はけがよくなりますよ。肥料は冬場にたい肥などの有機肥料を与えましょう。
鉢植えでも育てられる?
花付きを良くするために日当たりが重要な源平桃。植え方も鉢植えを選べば状況に応じて動かせるので管理が簡単になりますよ。また、寒冷地では鉢植えでの育て方をおすすめします。鉢植えは冬場の剪定時に一回り大きい鉢に植え替えることで根詰まりの防止になります。鉢植えは倒れやすいので剪定もしっかり行いましょう。
挿し木での植え方
ハナモモは寿命が短いので気に入った木は挿し木で増やしてみましょう。接ぎ木には台木が必要ですが挿し木は簡単にできます。上級者向けですがぜひチャレンジしてみてください。花後の5月に新芽の付いた枝を10cm程度の長さで切り、先端から葉2、3枚を残して水揚げします。用土は挿し木・挿し芽専用土を使うと簡単ですよ。
挿し木は発根が難しい
特に源平桃は突然変異での品種であることも大きくなかなか発根しないようです。花後の剪定で切った枝を利用するつもりで気軽に挿し木してみましょう。運が良ければ発根して世代交代できるかもしれませんよ。
同じ場所には植えない
桃は何度も同じ場所に植えると弱ってしまいます。挿し木でせっかく根が出た苗を枯らさないために鉢植えか桃を植えたことのない場所へ植えましょう。
源平桃は挿し木か接ぎ木が必須
もともとは赤の花が咲く木が突然変異を起こした源平桃。それゆえ種で増やすと赤か白、どちらかの遺伝子しか発色しません。咲き分けの源平桃を増やす手段は挿し木か接ぎ木しかありません。人間の手によって生み出されたことがよくわかりますね。
花が咲かないときは
源平桃の花が咲かなくなってしまったという悩みをお持ちの方もいるでしょう。源平桃の寿命は15年~20年とそれほど長くはないのですがまだ若い庭木でも花が咲かないことがあります。そんなときは次の点を確認してみてください。
太陽の光は十分当たりますか
源平桃は太陽の光が大好きな植物。南向きの場所に植えると花付きが良くなります。鉢植えなら状況に応じて動かせますので花が咲かない場合はより日当たりの良い場所に動かしてみてください。
台木が伸びてきていませんか
接ぎ木で育てられて販売されることが多い源平桃。木の根元をよく見てみると接ぎ目がわかります。台木には病気や虫に強い木が選ばれることが多いですが、肝心の花が咲かないことがよくあります。台木が伸びてきて葉を出している場合は冬の時期の剪定で台木から伸びる枝を切りそろえましょう。
肥料のやりすぎの場合も
窒素成分が強い肥料をやりすぎると、植物が花や種をつけてくれないことがあります。その場合はリン成分が多い化成肥料や牛糞、鶏糞などをまくことで改善することがあります。
防虫・殺虫対策は万全ですか?
ハナモモは虫がつきやすい庭木です。薬剤を散布することで防虫対策をしましょう。放置していると花が咲かないどころか枯れてしまう場合があります。冬の時期はカイガラムシ対策に石灰硫黄合剤を、夏場はアブラムシ対策にスミチオン乳剤などを散布します。うどんこ病や黒星病など葉の異常を見つけた場合はすぐにサプロール剤などの市販薬剤をまきます。
剪定が重要
花付きを良くするため、また樹勢をそろえるためには冬の時期の剪定が重要です。風通しを良くすることで病害虫の予防にもなります。通常は2月に行いますが花芽の見分けがつきにくい場合は5月の花後に行いましょう。植え付けて2年目から行います。枝の根元から3芽程度を残して剪定しましょう。
花桃の種類
すでにご紹介の通り、源平桃はたくさんある花桃の品種の一つですが、そのほかの花桃も江戸時代初期に品種改良が行われて流通しました。そしてその後も、今までに多くの品種が作られてきました。花の色や形、咲き方で様々な種類に分かれますが、いずれの花桃も花を観賞するために作られたので実は小さくしぶくて食べることはできません。
花桃の品種一覧
- 「矢口」:ひな祭りに飾る桃の花として人気で、ピンクの八重です。
- 「菊桃」:菊にも似た花を咲かせます。
- 「照手紅」「照手白」:紅白に分かれ庭木として植えると見栄えが良いです。
- 「唐桃」:盆栽に使われる低木で密集した花が特徴です。
樹勢にも様々な形が
上記の品種に加えて、枝垂れ咲きや矮性の小さいもの、立ち性やコンパクトなほうき立ちなど様々な花桃があります。枝垂れ咲きの源平桃は見ごたえがあり特に人気の品種です。
まとめ
一本の木に二色の花が咲きなんともお得感がある源平桃。花が咲く前の丸いつぼみも可愛らしく花開くと一気に人目をひく豪華さです。花桃は見かけによらず育てやすい庭木ですのでお庭のシンボルツリーとして植えてみるのもいいですね。関東には源平桃が見られる観光地も多いのでぜひ訪れてみてくださいね。
せっかく植えた源平桃の花が咲かずに葉が出てきてしまったのはなぜ?