ヒスイカズラの概要
希少な熱帯植物
ヒスイカズラ(翡翠葛)は、植物学上の分類ではマメ科(マメ亜科)に属する常緑つる性の熱帯植物です。独特な花びらの形と、宝石の翡翠のような美しいブルーグリーンの花色が目を惹きます。原産地はフィリピン諸島で、熱帯雨林の限られた地域にしか生息しません。近年では環境の悪化もあって数が減少しており、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストにも登録されています。
珍しい花色とユニークな花びらの形状から、人気上昇中の熱帯植物です。見頃の時期の花色は、まさに圧巻の美しさですよ。
でも熱帯植物だし、季節によって温度変化が大きい環境にも弱いから、「見たい」と思っても、日本だと見られる場所が限られているんだよね…。
名前の由来
和名・英名の由来
英名は「Jade Vine(ジェイド バイン)」と言います。Jadeは宝石の翡翠、Vineはつる(蔓)という意味です。翡翠のような花びらの色と、つる性植物であることに由来してます。和名の「ヒスイカズラ(翡翠葛)」は、この英名を訳したものです。
学名の由来
ヒスイカズラの学名は「Strongylodon macrobotrys(ストロンギロドン・マクロボトリス)」と言います。「Strongylodon」はギリシャ語の「strongyro(円い)」と「odon(歯)」の合成語です。ガクが丸い歯のような形状であることに由来しています。「macrobotrys」は長い房という意味です。これはヒスイカズラの花房が、1mに達するほど長いことに由来しています。
ヒスイカズラ(翡翠葛)の基本データ
学名 | Strongylodon macrobotrys |
目名・科名 | マメ目マメ科(マメ亜科) |
属名 | ヒスイカズラ属 |
英名 | Jade Vine(ジェイド バイン) |
原産地 | フィリピン諸島 |
開花時期 | 3月~5月 |
樹高(蔓高) | 5m~10m |
花色 | ブルーグリーン(翡翠色) |
ヒスイカズラの特徴
特徴①:開花期間が短い
ヒスイカズラの開花時期は、季節で言えば春から初夏にあたる3月~5月です。開花時期自体は長いのですが、一つの花の開花期間は短く、数日しかありません。花色も独特のグリーン色からブルーベリーのような色へと変化し、開花期間の終わりには、花びらがボトボトと落ちます。
「押し花にして花色を保存したい」と思う人もいるかもしれないけど、残念ながらヒスイカズラは押し花には向かないんだよね。
ヒスイカズラは押し花にしても、半年もすれば色が抜けて枯れてしまうんです。
特徴②:日本では温室栽培が必須
熱帯植物なので耐寒性に乏しく、10℃が限界です。しかも気温の変化が大きい気候にも弱いため、季節の変化によって気温も大きく変わる日本の場合、沖縄以外の地域は温室でなければ栽培できません。また、日本ではヒスイカズラの受粉を媒介してくれる動物がいないため、自然交配は不可能であることも大きな特徴でしょう。
沖縄以外の地域では温室栽培が必須なので、家庭で育てるのは難しいでしょう。見頃の時期のヒスイカズラを見たいなら、植物園へ行くことをおすすめします。
特徴③:コウモリによって受粉する
フィリピン諸島のヒスイカズラの受粉を媒介しているのは、オオコウモリです。オオコウモリが花の蜜を吸う際に、おしべとめしべにぶつかって受粉を助けています。
ヒスイカズラの花言葉
ヒスイカズラの花言葉は「私を忘れないで」です。一度見たら忘れられない幻想的な花色と、開花期間が短く数日で散ってしまう儚さが、このような切ない意味の花言葉を生んだのでしょう。
出典:写真AC