ラッパスイセンとは
ラッパスイセンはラッパズイセンとも呼ばれ、地中海原産のヒガンバナ科の植物です。西ヨーロッパに主に分布しており、ウェールズの国花でもあります。中央部分の副花冠がラッパのような形が最大の特徴です。独特な形状の花で、古くから親しまれています。
目 | ユリ目 |
科 | ヒガンバナ科 |
属 | スイセン属 |
学名 | Nercissus pseudonercissus L. |
和名 | ラッパスイセン |
英名 | Wild daffodil |
ラッパスイセンは日本で野生化している
比較的暖かい気候の海岸付近での野生化が確認されています。群生で有名なのが、越前海岸でしょう。ラッパスイセンの群生もあることから、福井県の県花に指定されています。しかし、暖かすぎる環境では花が咲かないため、沖縄では開花しません。寒さに強い品種ゆえでしょう。
ボタ爺
ボタニ子
春は見上げたら、桜!足元にはラッパスイセンね!
ラッパスイセンは神話にも登場する
スイセンの別名のナルキッサスがギリシャ神話に登場します。とても高慢な美少年ナルキッサスは、女神ネメシスを侮辱したことにより呪いをかけられました。水面に映る自身の姿に恋をし、かなわぬ想いから憔悴し死んでしまいます。水面を覗くような水仙がそのあとに咲いたのです。
ラッパスイセンの特徴①生命力が強い
ラッパスイセンの品種によって異なりますが、春の始まりを感じる前に開花する種類が多いです。開花の早い種類は秋から咲き始め、寒い季節を乗り切る生命力があります。ラッパスイセンの咲き始めで、暖かくなる時期がわかるのも魅力の1つでしょう。
ラッパスイセンの特徴②手間がかからない
ラッパスイセンはよい状態での栽培であれば、3~4年は咲き続けられます。4年以降は生命力が強いため群生しすぎてしまい、日光が当たりづらくなるためおすすめしません。水はけのよい、日光がよく当たる場所の植え付けと、植え付け時の肥料で毎年咲いてくれます。
ラッパスイセンの特徴③香りが強い
種類によって異なりますが、ラッパスイセンは透明感のある甘い香りと葉からの香りが特徴です。スイセンの香りは芳香性が強いことから、天然香料として利用されています。近年の品種改良で、バニラ・シトラス・スミレなどの香りがするスイセンもあります。
ボタ爺
品種改良されて香りの種類も増えたが、無香品種もあるんじゃぞ。
ボタニ子
香水やお部屋のフレグランスにもスイセンがあるのよね!香りが特に強いのは、タゼッタ系・二ホンスイセン・ジョンキルの3種なの!
ラッパスイセンの特徴④毒性がある
葉全体に毒があり、鱗形(りんけい)部分に多く含まれています。ヒガンバナ科植物のヒガンバナアルカロイドという物質が有毒成分です。誤って摂取しないように充分な注意が必要です。不用意に触れると接触性皮膚炎を発症する可能性もあります。
ラッパスイセン摂取による事故
ラッパスイセンの花が付いていない状態では、ニラと間違いやすいです。過去にスイセン販売業者がニラと間違ってスイセンの葉を販売し、食中毒症状が起きた例があります。また鱗形部分をタマネギと間違え、給食の材料として提供し小学生が食中毒発症しています。
ラッパスイセン摂取による症状
- 悪心・嘔吐・下痢
- 発汗
- 頭痛
- 昏睡
- 低体温
誤って摂取した場合、30分以内で食中毒を発症します。症状の多くは、悪心・嘔吐で、重篤な状態になる前に全量嘔吐します。誤って摂取することがないように、ラッパスイセンが休眠状態のときには、ほかの植物と間違えないように工夫することをおすすめします。
ボタ爺
自生しているスイセンもあるのを忘れてはいかん。ニラを栽培するときも、ちゃんとわかりやすくせんといかん!
ラッパスイセンの名前の由来
ラッパスイセンの名前の由来は奥深いです。水仙が日本に渡ってきたのは室町時代と考えられており、中国から日本に渡ってきた説が濃厚です。中国では、スイセンのたたずまいが仙人に見えたことからラッパ水仙と呼ばれていました。日本でもそのまま和名として使っています。
ボタニ子
ラッパのような見た目と水仙を合わせたのね。
ボタ爺
中国の古典には「天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」とあるぞ。古くから水仙は親しまれていたのじゃな。
ラッパスイセンの開花時期
品種によって異なりますが、早咲きで3月、遅咲きで5月から咲き始めます。品種によって植え付け時期も違うため注意が必要です。ラッパスイセンの多くが寒さに強いため、暖かい環境では育たないものもあります。屋内での栽培で花が咲かない原因になるでしょう。
群生地は他にもあるぞ。日本の寒さと暖かい気候がラッパスイセンに合うのであろうな!