カキドオシとは?薬草としての特徴や効果や煎じ方・食べ方をご紹介!

カキドオシとは?薬草としての特徴や効果や煎じ方・食べ方をご紹介!

春になると、薄紫のかわいらしい花を咲かせるカキドオシ(垣通し)。空き地や道端にも咲いていて、日本人にはとても親しみのある野草です。薬草として知られ、ハーブティーも人気を集めています。今回はそんなカキドオシの効果や効能、利用方法についてご紹介します。

記事の目次

  1. 1.カキドオシとは
  2. 2.カキドオシの特徴
  3. 3.カキドオシの効果・効能
  4. 4.カキドオシの採取
  5. 5.カキドオシの見分け方
  6. 6.カキドオシの煎じ方
  7. 7.カキドオシの食べ方
  8. 8.まとめ

カキドオシとは

出典:写真AC

「カキドオシ(垣通し)」は、垣根を突き通すほど繁殖力が強く勢いよく成長することから名づけられ、古くから人々の間で薬草として利用されてきました。身近な場所にもよく生えており、日本人にとって大変なじみ深い山野草のひとつです。

カキドオシの基本情報

シソ目
シソ科
カキドオシ属
学名 Glechoma hederacea
和名 カキドオシ(垣通し)
開花期 4~5月
植生 多年生
原産地 アジア

さまざまな別称

出典:写真AC

カキドオシにはさまざまな別称があります。葉がお金の形に似ていることに由来する「連銭草(れんせんそう)」や「金銭草(きんせんそう)」、子供の疳(かん。夜泣きやひきつけのこと)を取るのに効いたことから「疳取草(かんとりそう)」などです。さらに青森県では「ヤマスミレ」、熊本県では「カキドクサ」など地域によって異なる呼び方もあり、さまざまなところで昔から親しまれてきたことがうかがえます。

カキドオシの分布

庭先にも道端にも、いたるところに自生しているカキドオシ。日本だけではなく海外にも分布し、人々に活用されてきました。

日本における分布

カキドオシは九州から北海道まで、幅広く分布しています。半日蔭の湿気の多い場所の方が育ちやすいですが、日の当たる場所でもあまり問題はなく、身近な場所でもよく見つけられます。

海外における分布

アジア原産のカキドオシは、中国や朝鮮半島、台湾、シベリア東部などにも分布しています。ヨーロッパではグレコマという名前の、葉に白い模様のあるタイプが広く知られています。

日本でも人気のグレコマ

グレコマは葉の白い模様が美しいので、園芸種としても人気があります。寄せ植えの一部に利用されたり、空き地や休耕地のカバークロップ(雑草を防止するために地表を覆う目的で利用される植物のこと)として活用されたりしています。日本では「西洋カキドオシ」という名前で呼ばれることもあります。

カキドオシの特徴

カキドオシの花

出典:写真AC

カキドオシの花は、大きさがおよそ1.5cm~2cm程度で、薄い紫色をしています。唇のような形状の花弁で、下唇の方が大きく、花びらには濃い紫色の斑紋があります。花の中に繊毛と呼ばれる白い毛が生えてることも特徴の一つです。4~5月に開花期を迎えます。

カキドオシの葉茎

出典:写真AC

カキドオシはつる性の植物です。はじめのうちは茎が立ち上がって成長していきますが、花が咲くころには地面を這うようになり、長さは長いものだと1mにも及びます。葉および茎には白い毛が生えていて、茎の断面が四角い点が特徴的です。この四角い茎は、シソ科全般の特徴でもあります。葉っぱは、ふちに切れ込みがある「鋸葉」です。

カキドオシの香り

カキドオシに見た目が似ている植物はたくさんありますが、最も特徴的なのはその香りです。シソ科植物であるため、シソのような芳香があります。

カキドオシの味

カキドオシは精油を含むことからミントのような清涼感のある味で、山野草独特の苦味も少し感じられます。ハーブティーにしても料理に使用してもさわやかな風味を楽しめます。

カキドオシの効果・効能

Photo bykerdkanno

カキドオシにはさまざまな効果・効能があり、民間薬として多様な場面で活躍してきました。1968年には、日本生薬学会で糖尿病改善効果が期待できることが発表され、薬草としてより広く知られることとなりました。

煎液は腎臓病や糖尿病、腎臓結石、膀胱結石、小児の疳に用います。

引用元:日本薬学会
引用元URL:https://www.pharm.or.jp/flowers/post_14.html

古くから薬草として利用されてきた

カキドオシは日本だけでなく、中国やヨーロッパでも生薬として利用されてきたといわれています。内服だけでなく外用薬として利用されることもあり、幅広い場面で役立つ薬草です。また副作用がないところもさまざまなところで重宝されてきた理由の一つだといえます。

カキドオシに含まれる有効成分

カキドオシには、ウルソール酸やコリン、サポニン、リモネン(精油)、カリウム塩などさまざまな有効成分が含まれています。それらの有効成分による効能や作用の一例をご紹介します。

ウルソール酸

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リンゴの皮に豊富に含まれているというウルソール酸。筋肉の萎縮を防止する作用があることから、減量時の筋力を維持する目的で利用されることもあります。また血糖値やコレステロール、中性脂肪の低下にも役立つと言われており、生活習慣病改善のために積極的に摂取したい成分です。近年では抗炎症作用やシワ改善効果も注目されています。

コリン

卵黄などに含まれるコリンは、血管を拡張させる効能があります。この効能によって血圧が低下し、高血圧の改善や予防に役立ちます。日本人の高血圧患者は4300万人にのぼるといわれているため、今はまだ正常値という人も予防を心掛けておくのがおすすめです。

サポニン

Photo bykerdkanno

サポニンには、抗酸化作用や血糖値の上昇を抑える、肝機能を整えるなど、さまざまな効能があります。サポニンはさまざまな植物に含まれる成分ですが、大豆サポニンや高麗人参のサポニンなど植物によって特有の作用をする場合もあります。

リモネン(精油)

リモネンは精油の一種。抗菌作用や免疫細胞の活性化に加え、代謝をあげる効果が期待できるのでダイエットにも役立つと言われています。

カリウム塩

カリウムは、ナトリウムの吸収を抑制し尿として排出しやすくする作用があり、これによって血圧を低下させる効能が期待できます。また腎臓病の改善にも役立つ成分です。

カキドオシの成分が効果的な病気

フリー写真素材ぱくたそ

カキドオシは含有するさまざまな有効成分や利尿作用によって、幅広い疾患に効果が期待されています。糖尿病の他にも腎臓病や腎臓結石、膀胱結石などが挙げられ、さらに消化器系の疾患にも効果があると言われています。また高血圧など生活習慣病の改善や壊血病の予防にも役立つ、優れた薬草です。

外用薬としての効果

濃く煎じた汁や生の葉などは外用薬としても利用でき、湿疹や水虫、たむしなどに効果があります。

煎液は腎臓病や糖尿病、腎臓結石、膀胱結石、小児の疳に用います。湿疹には濃い煎じ液を患部に塗布します。また、カキドオシには胆汁分泌促進や血糖降下作用があり、胃炎や酸性消化不良などの消化器系疾患にも有効であると言われています。その他、カキドオシは壊血病の予防と強壮薬として用いられ、水虫やたむしには生の葉を何回も擦り込むと良いようです。

引用元:日本薬学会
引用元URL:https://www.pharm.or.jp/flowers/post_14.html

他の薬草と合わせてさらに健康に

フリー写真素材ぱくたそ

単独でも体に嬉しいさまざまな有効成分を含んでいるカキドオシですが、他の薬草と組み合わせることでより病気の予防・改善効果が高まるといわれています。

一緒に摂取することが薦められている薬草 病名
クマヤナギ 胆石
ウラジロガシ 腎臓結石
ヤマノイモ、ドクダミ 糖尿病

健康のためには継続した摂取が大切

体にうれしい有効成分を含み、幅広い効果・効能を持つカキドオシ。健康を保つためには、継続して摂取することが大切です。副作用もないので、安心して毎日の暮らしに積極的に取り入れたいですね。

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